いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

日本歌曲 その流れをたどって

2011年08月05日 | ピアノ・音楽

 一昨日は歌のコンサートに行ってきました。歌の先生も出られました。会場は上野の旧奏楽堂で、日本の歌を複数の方が歌われる名曲ガラコンサートでした。(なのでその日は速攻で会社を退社しました。できるときにはそうしたいものですね(ワルの発想))出演された歌手の方たちはソプラノ7名、メゾソプラノ1名、テノール1名、バス1名の10名でした。

 演奏された曲目は

鉾をおさめて 時雨音羽・詩 中山晋平・曲

波浮の港   野口雨情・詩 中山晋平・曲

鐘が鳴ります 北原白秋・詩 山田耕作・曲

からたちの花 北原白秋・詩 山田耕作・曲

松島音頭   北原白秋・詩 山田耕作・曲

浜辺の歌   林古渓・詩 成田為三・曲

紫陽花  北山冬一郎・詩 團伊玖磨・曲

落葉松  野上彰・詩 小林秀雄・曲

ワルツ 岩淵達治・詩 武満徹・曲

うたうだけ 谷川俊太郎・詩 武満徹・曲

小さな部屋で 川路明・詩 武満徹・曲

さようなら 秋山邦晴・詩 武満徹・曲

サルビア 堀内幸枝・詩 中田喜直・曲

すずしきうなじ 三好達治・詩 中田喜直・曲

アマリリス 長崎透・詩  中田喜直・曲

鳩笛の唄 清水みのる・詩 中田喜直・曲

金子みすず詩による童謡歌曲集「ほしとたんぽぽ」より 中田喜直・曲(歌と朗読)

 つゆ こだまでしょうか まゆとばか さびしいとき いぬ つち こころ みんなをすきに わたしとことりとすずと たいりょう おさかな つもったゆき わらい ほしとたんぽぽ

「山辺の花に寄せて」より  堀内幸枝・詩 中田喜直・曲

 うつぎの花 蕎麦の花

いちばんみじかい抒情詩 寺山修司・詩 前田佳世子・曲

キャベツの芯に  寺山修司・詩 前田佳世子・曲

ひとりぼっちがたまらなかったら  寺山修司・詩 前田佳世子・曲

戦争は知らない   寺山修司・詩 前田佳世子・曲

ハ? まどみちお・詩 前田佳世子・曲

 びっくりしました。日本の歌ってこんなに豊かだったとは思いませんでした。多種多様でエネルギーに満ち溢れていました。歌詞(中には聴き取れないところもありましたが)と曲が同時に耳に入ってきたので器楽曲を聴くときには使わないチャンネルを使ったような気がします。客が非常に多く年齢層は全体的に高かったです。マイクがあったわけでもないのですが、テレビの歌番組に近い華やかな雰囲気がありました。歌手の方たちの声もそれぞれの方たちによって個性が違っていて、歌とともに独自の世界が作られていて本当に素敵でした。声という、その人の肉体そのものの楽器を常に磨き上げ続けてきた方たちにエネルギーをいただいたような気がします。ピアノ伴奏もよかったです。演奏も難しそうな曲が多かったのですが、歌をしっかりと引き立てながらもともに世界を作り上げていました。

 私の知っている歌は「浜辺の歌」と歌で習った「波浮の港」「こだまでしょうか」「ほしとたんぽぽ」に入っている「ほしとたんぽぽ」「こだまでしょうか」で、その歌が登場するとほっともしたのですが、知らない歌にも素晴らしい歌がたくさんありました。歌詞も曲も魅力的でした。曲に関していうと、中山晋平氏や山田耕作氏の曲は、ちょっと古いと思いつつも独自の味わいがありました。武満満氏の曲は難解なイメージがありますが、歌はほんのり洋風がかった雰囲気の(フランスっぽい感じがしました)洒落た歌が多くてびっくりしました。前田佳世子さんの曲は現代的な雰囲気でありながらメッセージ性が強い感じがしました。ちょっとうまくは言い表せなかったのですが、よかったです。そして中田喜直氏の曲はとにかく美しく力強く、まっすぐに心に染み入る魅力にあふれていました。涙腺を緩くさせる作曲家でもあります。(歌を習った収穫の一つに、作曲家中田喜直氏の魅力と偉大さを知ったということがあります。名前だけはよく拝見していましたが、本当に素晴らしい作曲家だと思いました。)ちなみに歌の先生は童謡歌曲集「ほしとたんぽぽ」をもう一人の方と交代で歌いました。本当に素晴らしかったです。最後の「ほしとたんぽぽ」二重唱では涙腺が緩くなりました。金子みすずの特集はいろいろなところでやっているということらしいので、ぜひ「ほしとたんぽぽ」は聴きに行きたかったのですが、こういう形で聴くことができてうれしかったです。

 ただ最後にみんなで歌った歌が歌詞カードなしの「われは海の子」だったのはきつかったです。歌詞を忘れていて・・・(汗)まだ「ふるさと」だったらよかったのですが・・・しかしみなさんしっかり歌っていました。さすが人生の先輩たち。ちょっと肩身が狭かったです。今度こそ~。

 ちなみに隣の席には音楽とは縁がなかったものの突然歌やピアノを習い始めたというおじさん(いや、紳士です)がいたのですが、その人がまことに楽しい方で、「ブラボー」と言われるし、習っている歌の教室では自らソロを買ってられるし、何かの応援がよかったらしく某大学からお声がかかったりという話をされていました。こういう人たちがいる、ということを知ったのもコンサートに行ってよかったと思えたことの一つです。