リストのコンソレーションの1番は祈るように美しい曲です。短いながらもドラマチックな中間の盛り上がり部分では天から光が舞い降りてくるようです。短い中にハーモニーの美しさを味わうこともできます。たださすがリスト、指はしっかり広げるようになっています。たとえば画像で示した27小節のまるで囲んだ左手の「ラ」と「シ」がそうですね。おそらくここはあのリストの膨大で技巧的な曲から考えたら取るに足りない序の口の広げ方なのだと思いますが、あえて採りあげました。この場合低音部の「ラ」と「シ」、本来ならば同時に弾くべきなのでしょうね。それが最も美しいと思います。しかし無理だとしたらラを優先かしら、とか、下から上へのアルペジオもいいかも、などとせこい発想も浮かびます。そういう逃げ道を今から考えるのはあまりいいものではないので、ひとまず指を広げる練習からですね。リストは手の大きな人に優しい作曲家だと思いますが、それだけではおさまってほしくないですしね。独自の魅力的なワールドをお持ちの方だとお見受けしているので。
1番の演奏をさがしてみました。今回載せるのはEdith Farnadi(1921‐1973)というハンガリーのピアニストの演奏です。今回の演奏で初めて知ったEdith Farnadiさん、フランツリスト音楽院に7歳で入学し17歳でディプロマを取得、9歳でデビューし、12歳でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を演奏したとのことです。音楽院在学中に Franz Lizst Prize(この賞があのフランツ・リスト国際コンクールなのかははっきりしていません)を2度受賞しました。なのでリストの演奏には定評のあるピアニストだと思います。古くて音質は悪いのかもしれませんが、魅力的な演奏だと思いました。1956年の演奏です。演奏もですが古そうなレコードやジャケットの写真にもわくわくします!