今月中旬、富山出身、ウィーンに留学し研鑽を積み、ソロ、アンサンブル、伴奏など幅広く活躍しているピアニスト、丸山美由紀氏のピアノリサイタルに行ってきた。
曲目は
ピアノソナタ第10番K.330 モーツァルト作曲
ピアノソナタ第31番作品110 ベートーヴェン作曲
休憩
交響的練習曲作品13遺作付き シューマン作曲
モーツァルトのピアノソナタ、はつらつとした印象だった。このハ長調の曲、譜面だけ見たら弾きやすそうで私もチャレンジしたことがあるのだけど、心残る演奏にするのには非常に難しい曲だと感じる。第2楽章のしっとりと歌いこんでいた雰囲気がよかった。
ベートーヴェンのピアノソナタ、沼のようなこの曲だが、曲の奥底にある深いものをがっつりとつかみ、示されたような気がして、とても印象に残った。悲しみから昇華へと解放されるまで、そして解放された時の光の美しさ、曲が進むとともに私も、力を与えられたような気がした。「寄り添うこと」そのものが音楽の真の役割だとプログラムに書かれていたが、その思いが伝わってきた。
シューマンの交響的練習曲、遺作、そして改訂版では省かれている曲も全曲演奏という精力的な内容だった。曲に愛情を抱き真剣に向き合ってこられたのが沢山伝わってきた。技術的に難しいと言われるエチュードも情熱的な演奏でぐっときた。また、本人が最も好きだとプログラムに書かれていた遺作バリエーションⅤの究極の美しさにはぞくぞくきた。私もこの曲大好き!本当に嬉しかった。
各曲への愛情がたっぷりつまった音楽にうっとり、温かく幸せな気分になれ、勇気づけられたひとときだった。足を運んで本当によかった。