いろはにぴあの(Ver.4)

音楽、ピアノ、自然大好き!

若き天才の邂逅 オール・ブラームス・リサイタル

2019-12-17 | ピアノ、音楽

 チェロとピアノによる、オール・ブラームス・リサイタルを聴きに行ってきた。チェロ伊藤悠貴氏、ピアノ渡邊智道氏という、才能溢れた若手演奏家による演奏会だった。

<プログラム前半>

ブラームス作曲

愛の誠 作品3-1

別離 作品19-2

私の王女よ 作品32-9

五月の夜 作品43-2

子守唄 作品49-4

愛の歌 作品71-5

野の寂しさ 作品86-2

メロディのように 作品105-1

私の歌 作品106-4

休憩

<プログラム後半>

ブラームス作曲

3つの間奏曲 作品117

チェロ・ソナタ第1番ホ短調 作品38

アンコール

ブラームス作曲 

ふたりそぞろ歩く 作品96-2

 前半は歌曲をチェロとピアノで。こんなに豊かな歌曲をブラームスは作っていたんだ。決して目で見ることも手でふれることもできないのに、聴いているうちに、懐かしい人や情景が、目の前に浮かんできたとともに、温かい思い出、切なかった思い出、普段の生活では蓋をしていた感情の部分にまで、触れられたような気がした。ピアノは出だしでしっかり歌の世界観を提示しながらも、歌が始まると、チェロと共同作業、ハーモニーを感じ尊重しながら音楽を築き上げていく。チェロの表現の幅の豊かさにも鳥肌がたった。しっかり、歌っていた。そして余韻。コーダでの繰り返し部分で噛みしめるような、名残を惜しむようなところ、曲も終わりたくない終わりたくないと言っているところも印象的だった。

 後半、作品117。甘く儚く幻のような世界が紡ぎ出される。ゆりかごに揺られているような気分に。作品117-2、切ない歌が胸を打ち感極まる。この3曲の中で今回私が最も印象に残った作品117-3の前半、内声やバスが大切にされ濃厚な響きとなっていていた。ここまで深みのある曲だったのかと再発見。その後羽ばたいていくところ永遠の世界へ、曲が進むにつれて涙腺崩壊。

 チェロソナタもぞくぞくしっぱなし、始まりの低音部からメランコリックな世界、チェロの音色の豊かさに心奪われっぱなしだった。第2楽章の中間部に夢のような世界と情景が浮かんできたところが。この世の最も美しいものが濃縮されて示されたような気がした。第3楽章、主張しすぎず、でもお互いに立ち位置はしっかりとしており。チェロもピアノも、ブラームスの作った音楽そのものを、何よりも大切にしているというのが感じられた。ブラームスも絶対に、喜んでいると思う。

 そしてアンコールの「ふたりそぞろ歩く」、なんて愛情にあふれた美しい音楽なのだろう!歌の中では、一番、気に入った。歌詞をみて、納得!「すべてが美しかったのだ、ぼくの思っていたことは天井のように明るかったのだと」(参考リンク)。Op.96の4つの歌曲のうちの2曲目、かけがえのない、贈り物だった。

 素晴らしき演奏会だった。この場にいて演奏を聴くことが出来て本当によかった。ぜひまたお二人で演奏してほしい。CDも出してほしいな。


明治村 そしてピアノコンチェルトを聴きに

2019-12-17 | 日記

 先週末は愛知県に出かけてきた。東京に来て以来帰省以外初めての新幹線の旅。

 なんとなく気になっていた明治村。高校の修学旅行の時に行ったときはおぼろげな記憶しかなかった。今回行って、予想外に豊かな自然に囲まれていたという事実と、保存されている遺産の豊富さに驚き心打たれた。おすすめです。

 ずいぶん高いところにある建物。何だろう?

 酒蔵だった。ずいぶん大きな桶が入っている。

 こちらの教会は聖ザビエル天主堂。

 中はまるでヨーロッパ。グレゴリオ聖歌だろうか、美しいアカペラが流れていた。

 呉服座。江戸時代の名残を残す芝居小屋。歌舞伎、落語、浪曲、講談、漫才等が演じられた。演説会にも使われたという。

 SLもあった。こちらは残念ながら動いていないけれど。

 ちゃんと走っている電車もあった!周りの紅葉とよきコントラストをなしている。

 

 明治3年に点燈されたという品川灯台。

 村の東側にある湖が素晴らしかった。この季節だから紅葉ともよきコントラストをなしていて。。。

 

 紅葉狩りの余韻も楽しんだ。

 

 明治村、こんなによいところだったとは!

 その後、愛知県に行こうと決めた当初の目的の達成へと。渡邊智道さんがピアノラフマニノフのピアノコンチェルト第2番を名古屋大学のオーケストラと演奏するということと、何名か行かれる方がいるということを知り、いてもたってもおれなくなり行くことにした。高速バスを降りた後中心地にある芸術劇場へと向かうつもりで、時間的にも余裕があると構えていたのだが大きな誤算、結局タクシーに乗りぎりぎりに会場へと飛び込んだ。 

 ラフマニノフのピアノコンチェルト第2番、ピアノは1912年生まれのスタインウェイCD75を使用。演奏開始、今まで聴きなれたラフマニノフと何かが違う。迫力や熱量よりも、音楽の流れや美しさに焦点が。若々しくエネルギーに溢れたオケと溶け合い、ひたすら、美しかった。そんな中で、特にソロのところでためがなく推進力が感じられるところが印象的だった。難しいところも守らずに攻めて。細かいところにも心を配り繊細に。ラフマニノフはこのように演奏していた、だからこのように音楽を作りたい、という意思が感じられた。オーケストラの団員さんの真摯な情熱も感じられた。胸いっぱいになりました。