先週週末、東京へ行ってきました。 「季節風大会」に初参加するため。
「季節風」とは、なんぞや? と言われそうですが、実は私も昨年入会するまで、この同人誌の存在も知りませんでした。
全国の児童文学の書き手が、年一回、東京は本郷に集結して1泊2日の合宿をする――それが、「季節風大会」というわけなのですが、行ってみて驚いたのなんの。
かなりのカルチャーショックでありました。
東京大学近くの古~い、古い旅館で催されるというので、すぐ足を運んだ私ですが、最初は旅館(鳳明館というところ)の佇まいに、びっくり。だって、あんまりに古びて、時代を超越してるんだもの。「こりゃ、絶対戦前の建物だわ」と確信し、聞いてみたら、戦前はおろか明治の頃にさかのぼるのでは? のお言葉。
そして、廊下には、レトロなというか、時代から取り残された風情のトイレと洗面所が……洗面所は長~いタイルに蛇口がずらりと並び、コップが上にいくつも並べられている。真正面には、窓があり、その向こうにはこじんまりした庭が見える。
そして、原稿の合評をする部屋(泊まる部屋でもある)は古びた畳がしかれ、机をギシギシに並べて、白熱の論評が行われるのでした。何だか、昭和の昔に帰ったみたいな感じ。
はっきり言って、生原稿を読むのって疲れます。私も初めて書いた長編に少し手を入れて220枚近くの枚数になったのですが、それ以上の枚数の方が何人もいらっしゃいました。生原稿というのは、精製されていない穀物のように、「生」のままの香りが濃厚なのかもしれません。
ジャンルごとに分科会という、グループに分かれ、それぞれが10人くらいで構成されています。互いの原稿を容赦なく、手厳しく批評しながら、気持ちの良い空気が流れていたのは、初対面であるにもかかわらず、「同志」だという意識の表れだったのかも。
これは、あのケロリン風呂桶であります。この旅館には地下に降りるみたいにして、古色蒼然とした木の階段があり、女性用とさししめされている方には、何と「ローマ風呂」の表示が! ローマ風呂とは何ぞや?と入浴を楽しみにしていた私。 答えは……円形に黄緑色のタイルが張られた大衆浴場。
そりゃ、古代ローマの公衆浴場のように壮麗なものを期待していたとは言いません。でも、「円形」というところだけ、確かにローマを彷彿とさせて、思わず笑ってしまいました。
そして、ここで初めて使った「ケロリンおけ」。 黄色い洗面器なんだけれど、何とも愛らしく、ファンになってしまいました。
名前だけは知っていた「ケロリン」に会えたのも、うれしいですね。
翌朝、二日目の合評が行われる前、作家の方に連れて行って頂いた東京大学への散歩。昔、訪れた時も思ったけれど、赤門は重厚で、朱色が美しい。
日曜日のせいもあって、学生の姿はまったく見えません。「三四郎池」への道を降り立つと、雑木林のような木々が覆いかぶさって、池というよりまるで深い「淵」のようです。
ここも、昔来たことがあるのですが、こんなところだったかな? 池の水は薄緑によどんで、太った鯉(東大生が、エサをやっているのだろうと推測)が幾匹も、悠々と泳いでいました。
時がとまったような旅館と、そこで行われる長時間の合評。聞けば、季節風には、今、200人ちょっとの会員がいるのだそう(38回目の大会というから、ずっと続いてきたのですね)。 世界は広いとしみじみ思います。
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