城郭都市設計史Ⅸ

2015年12月25日 | 湖と城郭都市

 

【中世の彦根 1】

● 多賀大社に繋がる道

春になると、ここ近江は春まつりで大賑いです。比叡山
鷲大津坂本の山王祭、羽柴(豊臣)秀吉の城下町長浜の
曳山祭、豊臣秀次の城下町近江ハ幡の左義.長祭を始め
として、盛大な春祭が琵琶湖を巡って繰り展げられる。

多賀大社でも年中を通して様ざまな神事が斎行される。
くから両季御祭礼といわれ、四月中午日(現在は22
日)を中心とする春の祭にくらべると、霜月祭(大官祭)
は密やかな神事である。

昔は四月卿神事とか単に御祭礼と呼んでいたが、明治以
降は古例大祭が正式名称になる。鎌倉時代の占文書によ
ると、祭使と馬L役というこ大の大祭の主役は、その時
代の大社の経営や神事のすべては、御家人として威勢を
誇っていた多賀氏と河瀬氏という「重大氏人」が神官家
として事に当っていた。

祭使は、多戮氏と河瀬氏という御家人層から交替でつと
め、後者は犬上東西両郡内の郷
民の中から指瞑する。
の後、時代の流れに応じていろいろと変遷はあったが、
現在も前者は御便殿と称して多賀町内から、後者を馬頭
人といって大上
郡と旧犬上郡の区域の彦根市から選出し
昔は正月四日に行っていましたが、現在は.1月3日に
御使殿羗定式を行う。、

その後、御使殿、馬頭人それぞれの古例によって神事を
積み重ねて四月二十二日の大祭を奉仕し、数日後の神上
げ式をすませてその大役を終える。大祭の前日の宵宮の
夕刻、本社の南方.一キロに鎮座される胡宮神社の神儀
か当初に渡御する。

さて、御使殿と馬頭の両頭人は、祭礼当日、本社の神前
で神馬の口取りの儀式などを終えて大上川右岸の「賓台
の社」に向う。終ってさらに対岸の「鴻の本の社」にお
供を上げ、神の馬の日取りの儀式を行う。

 

この大上川を挟む両社の両頭人の儀礼は、犬上郡内のた
めの豊饒を
祈願する。また、大祭当日の御輿は、神主以
が供奉して、まず杉坂山の麓の栗栖の地に鎮座する調
宮に渡御する。
大禰宜と調宮の禰宜がこの神輿の前で、
鉾を持ったまま祝詞を奏上古
儀がある。

さて、大神は杉坂より麓に降り、疲れて「くるし(苦しい
)」と言うので、以後、
村の名を「栗栖」としたと伝承
される。調
宮の行事が終ると、御輿の行列は、大社前を
通り抜け、打龍の馬
場に渡る。ここに揖取神社という末
社があり、その前に御輿を
とどめ、神供や神楽を幸り、
御使殿や
馬頭の神馬の口取り式が行なわれる。そして、
両頭人に神主から「富の木」を渡す式もある。「富の木」
とは洞窟の神木の柱の小枝で、御輿にもこれを挿し、供
奉の者もすべてこれを挿頭したり腰につける。これは調
宮に渡るまでの御輿や供奉者とは、異なった状態標示で
ある。

この調宮神社の境内には桂の大木が桂家一門により大切
に守り伝えられていて、祭礼に渡御された御輿鳳輦(ほ
うれん)にその小枝を飾り、供奉者.同も冠や鳥帽子に
もこれを挿し出発する。そして、多賀の西南の町はずれ
の胡宮に近い「打込み馬場」(打敏の馬場)で、御便殿
と馬頭人に宮司によりこの桂の枝を渡す儀式を行うこと
を「富の木渡し」である。早苗のことを神事では冨草と
呼ぶのと等しく、豊饒のご神徳の随もった小枝を授ける
意昧に解される。

朝から栗栖と賓台と二手に別れて出発した行列が打龍に
て合流し、打ち揃って大社に向う。これを「本渡り」と
いい、行列は表門を潜り大社に還る。還御の後、両国人
は本社の社前で奉幣の儀を行う。これまで県人として、
その身に奉戴していたご神霊を、本社にかえす儀礼を行
う。ここで両頭人は常態に復する。

※ 多賀大社社務所:多賀入社滋賀県犬上郡多賀町多賀
  六〇四 0749-48-1101



 

【佐和山城郭都市考 5】 

● 「門前町」の成り立ちと都市の構造 

 

門前町は、中世以降、庶民等の信仰を集めた各宗教・宗
派の総本山や有カ・有名な神社仏閣等の参道沿道に形成
されたまちである。近世以前、神社仏閣等の周辺には、社
寺関係者とその信者か主に立地・集積して寺内町か形成
されていた。江戸時代に入り、全国で盛んになった庶民
信仰
と、五街道をはじめとする街道・往還の整備や宿場町
の形成
により、有名な神仕仏閣への参詣といりた物見遊
山の旅か増
え、これら参詣客を相手にする商工業者等か
集積した都市と
して繁栄する。

門前町の都市構造は、参詣の中心である神社仏閣の門前か
ら延びる参道に沿って、まちなみが展開される場合が多
い門前町で唯一の県庁所在地である長野市の善光寺門前
町のように、より大き
な門前町では、表参道を含めていく
つかの参道や街道が形成され、複合的な構成になった場合
もあ
る(上図)。なお、神社の沿道に形成された町(例えば
近年に再生・整備された伊勢神宮の内宮おは
らい町等)の
場合は、鳥居前町と呼称することかある。

重要伝統的建造物群保存地区のうち、門前町として区分
されているものは、比叡山延暦寺や日吉
大社の門前町の「
大津市坂本」、京都市内から愛宕神社へ通じる優宕街道に
沿う「京都市嵯峨烏滸
本」、ハ坂神社、法観寺、清水寺など
の門前町として古くから眼わった「京都市産寧坂」の3箇
所のみも
あるものの、江戸時代に流行した伊勢詣・おかげ
参りや讃岐の金比羅宮参詣、信濃・善光寺参
詣等か示す
ように、歴史ある門前町が多く現存している。

 

門前町は、中心的存在である苛院や神社の門前に宿坊や
商人達が集積
して、栄えたまちであり、陣社・仏閣への
巡礼から
江戸時代の一般大衆への参詣の膏及や涯街道の
整備伴っ
て冷にけりて発展したまちである。

神社や寺院等の施設は、門前町の中心的施設であり、それ
ぞれの特徴を形づくっている。
本堂や本殿等といった境
内の施設の他、参道沿に配された山門や鳥居、燈篭等は門
前町の重要な構成
要素である。

神社仏閣に向かう参道両側に、門前町の掘海は山門や宿
肪、鳥居前町の場合、御師の住居
か並ぶ沿道型のまちなみ
を形づくり、また、参道沿いの若木等の特徴をもつ。多

くは、主要な街道とつなかっており、宿場町の特徴を持っ
ている。この他の特徴としては、参道沿いに神官
等の屋敷
等か立地している。神社・
仏閣のある境内の前面には河
川や水路か設けられているが、これは神社・仏閣の領域
を聖
域とし、俗世間との結界として配置し、双力の世界を
結ぶ橋を渡ることで、俗世間から聖域へ
いざなうといっ
た意味を特つことか多い。

【エピソード】     

         

  

 

          16年度新年会(案) 

日時 2月6日(土)か2月13日(土)のどちらかで
   開宴18:00~20:00まで  

場所 彦根市内西今町 『水幸亭』050-5871-1454
会費 寿司懐石(6千円+飲み放題酒代1・2千円)
送迎 幹事が責任もって手配します。
                              幹事敬白   

 

  

      

  【脚注及びリンク】
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  1. 中山道 高宮宿場町|彦根市
  2. 中山道 高宮宿 彦根観光協会
  3. 宿駅散策 近江中山道中絵巻:高宮宿 
  4. 中山道 道中記 第64宿 高宮宿
  5. 中山道 高宮宿/高宮宿から愛知川宿
  6. 滋賀県彦根市 高宮宿 Japn Geographic
  7. 彦根市西葛町籠町~高宮宿-街道のんびり旅
  8. 高宮町~鳥居本宿-ひとり歩み-ひとり歩きの
    中山道 2004.4.9
  9. 彦根文化遺産 中山道と宿場町 高宮宿高宮ま
    つり・高宮布
  10. 日本写真紀行 鳥居本宿~64高宮宿
  11. 中山道高宮宿 馬場憲山宿
  12. 高宮宿 栗東歴史民族博物館民芸員の会のブログ
  13. 新高宮町史 自費出版デジタル
  14. いのちの神様 多賀大社
  15. 歴史まちづくりの特性の見方・読み方 国土技術
    政策総合研究所 2013.04.11
  16. 近江百人一首  滋賀県立近代美術館
  17. 近江百人一首 滋賀県文化振興事業団∥編集 滋賀
    県教育委員会 1993年 S-9100- 93 p.14
  18. 淡海万葉の世界 藤井五郎∥著 サンライズ出版
    2000年 S-9100- 00 p.233
  19. 萬葉の近江 滋賀アララギ会∥編 白川書院 1971年
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  20. 滋賀文化のススメ
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  22. ラウフェン・アム・ネッカー Wipipedia
  23. 彦根巡礼街道
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  26. 「続・城と湖のまち彦根-歴史と伝統、そして-」中
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  27. 中島一元彦根市長 Wikipedia
  28. ドイツ:ニュルティンゲン市「市民による自治体
    コンテスト1位のまち(1)」 池田憲昭
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  50. 田附城(田付城) 近江国(彦根)
  51. 荒神山古墳現地説明会 開催要項(案)彦根市
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    絹と明察』(4):ヘルダーリンの『帰郷
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  55. 城郭都市 Wikipedia
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  58. 三ツ屋城 近江国(彦根)
  59. 「清涼寺・七不思議 」/『日本伝承大鑑』
  60. 曹洞宗 清涼寺(せいりょうじ) 
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  68. 佐和山城 Wikopedia
  69. 石田三成 Wikipedia
  70. 佐々木十代之屋形太郎判官定綱 Wikipedia
  71. 第一章 鎌倉・南北時代の石部近江守護佐々木氏
    の成立
  72. 佐和山城 彦根市民の飲み水を守る会
  73. 石田 正継 Wikipedia
  74. 佐和山城跡の公式パンフレット 彦根観光協会
  75. 彦根藩並近郷往古聞書
  76. 彦根古図部分(滋賀大学経済学部附属資料館所蔵)
  77. 井伊家年譜
  78. 佐和山藩 Wikipedia  
  79. 丹羽長秀 Wikipedia  
  80. 『新修彦根市史』の紹介 | 彦根市
  81. 彦根古図略図 彦根市
  82. 金亀山彦根寺の観音堂 ―近江西国第14番 金亀山
    北野寺とも
  83. 淡海文庫 44 「近江が生んだ知将 石田三成」 太田
    浩司 サンライズ出版
  84. 佐和山城 [5/5] 大手口跡は荒れ放題。現存する移築
    大手門は必見 | 城めぐりチャンネル
  85. 中井均 『近江佐和山城・彦根城』サンライズ出版2007
  86. 滋賀県彦根市 専宗寺 JAPAN-GEOGRAPHIC.TV
  87. 彦根御山絵図 彦根三根往古絵図など古絵図デジタル
    ・アーカイブ化に、彦根市立図書館  2012.05.27
       

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