啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「春の妖精」

2023-03-04 19:04:55 | 山野草
 「セツブンソウ」 キンポウゲ科
 埼玉県小鹿野町、両神小森堂上には、日本一の規模を誇るという「セツブンソウ」の自生地がある。この季節になると、この小さな可憐な花に会いに行く。待ち焦がれた春の花だ。草丈10cmほど、淡い白い色の花は、茎に1つしか咲かず清楚そのもの。1枚・2枚・3枚・・花びらは5枚のものが多いが、6枚・7枚も確認された。よく整備された園内を、花びらの枚数を確認しながら散策していると、「花びらは、12枚も確認されているけれど、花びらに見えるものは、実はガクですよ」とガイドさん。「黄色の花もあるんですよ」と指さされた先には、花も茎も黄色の個性的なセツブンソウ。初めてみました。よ~く観察すると、もっとたくさんの発見があるかもしれない。スプリング・エフェメラル・・「春のはかない命」と呼ばれるように、もうじき花も終わり。なお、漢字では節分草と記す。節分の頃に花を咲かせることに由来。

黄色のセツブンソウ。珍しいです。
 
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「サラシナショウマと魚釣り」

2022-09-09 18:57:07 | 山野草
 初めての魚釣り、佐久穂の抜井川。ここは、人気のある川なので、釣り人が多いというが、当日は一日中小雨が降り、あいにくの天気。魚がいそうなポイントを数か所回ったが、透きとおるきれいな川に、魚のいそうな気配はいま一つ。「あのあたりに糸を垂らして」と言われても、糸が長くて思うようにならない。しかも、片手で竿を持つなんて、すぐに腕が疲れてしまう。「このポイントは、大学院卒業クラスの魚ばかりだから、そう簡単にはつれない」と言われたけれど、それでも1回くらい手ごたえがあってもよさそう・・・。結局、今回は徒労に終わってしまった。
 また、抜井川には、二筋に流れる「乙女の滝」という素敵な滝がありました。雨に濡れた樹木の葉は艶めき、森の静けさの中で、勢いよく流れ落ちる滝の音や川のせせらぎに心が癒された。
 川へ下っていく途中に、目に飛び込んできたサラシナショウマの群生。草丈1mはこえる。花径をすーと長く伸ばし、その先にはブラシのような白い花。林の中をびっしり埋めるその様子に、秋らしさを感じさせる。因みに、サラシナ(晒菜)とは、若い葉をゆでて水にさらして食べることからが語源という。

  乙女の滝
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「蝉時雨」

2022-08-23 20:45:08 | 山野草
「ナンバンキセル」 ハマウツボ科
 久方ぶりの竹沼散歩。周囲およそ4㎞。沼の周りの山道は、樹木で覆われ、夏は木陰を、冬は暖かい日差しで、散歩を愉しむ人々を迎えてくれる。土の道は足に優しく、湖面を渡ってくる風は肌に心地良い。大きく「ふぅ~」と息を吸い込み深呼吸。この山道は、勿論車も通れるが、たとえ、ゆっくり走ってくれたとしても、土が乾いていれば、土ぼこりがたち、正直、閉口する。そして、何よりの楽しみは草花の宝庫であり、お気に入りの場所だ。お盆が過ぎたこの頃では、秋草がたくさん咲いている。さらに、今日の竹沼は、蝉の大合唱。その鳴き声は、余計に暑くなるような気がするが、自然の中で聴いていると、暑さよりは夏の風物詩といった感がある。夏に蝉が鳴かなかったら、それはそれで寂しい。季節の変わり目、なかなか天気が安定しなく、山登りも小休止。最近では、夕方になると、虫の声に耳を傾ける今日この頃だ。
 「それって、ナンバンキセルですよね」。写真を撮っていると、散歩中の女性に声をかけられた。ナンバンキセルは漢字で「南蛮煙管」。昔、南蛮人が日本に持ち込んだパイプのこと。この植物が、似ているのでつけられた名前と記憶している。別名「オモイグサ」(思い草)の名も。人が、もの思う様子を想像したものというが、こちらの名前の方がロマンチックかも。
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「もやい結び」

2022-08-18 19:06:15 | 山野草
「ホトトギス」  ユリ科
 「まず、普通に輪っかを作って、短い方のひもを自分の方に引っ張ると、ひもが真っすぐになる。そしたら、輪ができるから短い方にひもを入れて・・・この結び方を”もやい結びっていうんだよ」。その人は木の枝にひもを通し、いとも簡単にタープを張った。この結び方、覚えていたら便利かも・・。最初は、短いひもの方ばかり気にして、うまくいかない。何度も何度も練習して、やっと結べたもやい結び。この結び方、昔、見た記憶がある。何やら、手品みたいだなあ~と思いながら見た記憶。「もやい」とは、船につなぎとめるための結び方とのこと。実際、確かに強固な結び方だし、ほどけにくい。多少、風が吹いたとしても、タープの結びめはびくともしない。けれど、一旦、自分でほどこうとおもえば、スルスルと簡単にほどける。いつか、結ぶそのシーンが来るか来ないか分からないけれど、知っていると便利でしょうか。時々、練習をしないと忘れそうだけれど・・。
 半日陰の林の中で咲いていた黄色い花のホトトギス。ホトトギスといえば、鳥を思い浮かべるが、4月頃日本に来て9月頃に帰る渡り鳥。花の斑点模様が杜鵑の胸の模様にたとえてつけられた名。
まだまだ夏の盛りだけれど、ホトトギスが咲き始めると、何とはなしに秋の気配を感じさせる。
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「ばあばも楽じゃない」

2022-08-12 17:21:17 | 山野草
 「ウバユリ」  ユリ科
 山の日、お盆と休日が続き、外出する機会が多い中、台風8号が発生。明日は、関東甲信に接近の可能性との情報。山の日と、土曜日にはさまれた金曜日も休日となり、息子たちは数日間の連休。ということで、家族そろって、早めの帰省。抗体検査を受けての帰省なので、ある意味安心して迎えられた。せっかく田舎に帰ってきたのに、天気が今一つはっきりしないため、予定していた山での散策は断念せざるを得ない。代わりに、玄関先にプールを設置し、水遊びグッズを浮かべながら、孫たちは大騒ぎ。というか、兄弟同士、おもちゃの取り合いで、ひと騒動。跳んだり跳ねたり、家の中はまるで運動場・・日常と違う日々もあと少し・・頑張るしかないかぁ~。
 花を水平に咲かせる独特な形をしたウバユリ。この花が咲く頃には、葉っぱが落ちてなくなり、その姿を、何と、歳をとった女の人の歯に例えての命名というから、失礼しちゃうわね~。一度見たら忘れられない程のインパクト。草丈、1mほど。
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「湖畔のコテージ」

2022-08-08 15:46:30 | 山野草
 「フシグロセンノウ」  ナデシコ科
 猛烈な暑さを避けるため、向かった先は榛名湖畔。木陰のなるべく平らな場所、目の前には美しい姿の榛名富士がドーンと見える水辺に、テーブルや椅子を設置。季節の果物、トウモロコシ、漬物・・そして枝豆・・とくれば、勿論ビールも。
 水辺には、子供達とともに家族で水遊び、魚釣り、読書を愉しむ人、シートを敷いて昼寝をしている人、恋人達もちらほら、なかにはパソコンを開き仕事(?)かな・・それぞれ思い思いの時間をのんびり愉しんでいる。ご馳走は、何といっても美味しい空気と、とびっきりの涼しさ!家でのクーラーは長時間あたっていると、身体の節々が痛くなるけれど、天然のクーラーは身体に優しい。時折、モーターボートが勢いよく走りさり、水辺にはちゃぷんちゃぷんと、ちょっとした波が立ち、目にも耳にも涼しさを感じさせる。
 鳥のさえずり、湖や森をつたわってくる優しいそよ風。誰に気兼ねすることもなく、自由を、自然を満喫する贅沢なひと時。こんな過ごし方があったのかと、今更ながら、気づかされた。メインディッシュはお手軽だけど、どこのレストランで食べるより美味しい食事!勿論、コーヒーは言うまでもない。
 評論家の吉沢久子氏が、ある書物の中で、フシグロセンノウについて書いていた。
「野の花の中で鮮烈な印象を受けてから、好きになった花は、フシグロセンノウ。夏の昼下がりの山路に、他の草や花がうち萎れている中で、ただ一輪、深い朱色のナデシコのような花。凛とした花にみえ、人の心に何かを残す花なのだろうか」と。
 榛名周遊道路の脇に、他の草花に抜きんで目立っていたフシグロセンノウ。何度でもデートしたい花です。
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「心の中のアルバム」  イワウチワ  タムシバ

2022-06-10 18:06:14 | 山野草
 今年も「この日」が来てしまった。生涯、忘れることがないあの日。そして、あの日の出来事は、決して逃げてゆかない。当ブログ「啄木鳥の詩」は、夫が3年間、自身がそれを引き継いで9年も経とうとしているのに、今でも彼のブログに訪問してくださっている方が、たくさんいらしてくれる。彼の趣味は山歩き、山野草に触れることを楽しみにしていた。退職後は、毎日のように山に行っていたと記憶している。パソコンに向かい、頭を傾げたり、物思いにふけったり、花を図鑑で調べたり・・楽しそうに文章を書いている背中が、今も心の中にやきついている。思い出はどこへも行かないし、温もりもどこへも行かない。いつも心の中に広がっている。そしてそれは、いつでも心の中のアルバムから引き出せる。
 夫の登った山を一つでも多く登りたいと思い、今年から山歩きを始めた。1月から数えたら、今まで19の山を登った。一緒にいけなかった反省もあり、彼が帰宅してから、私に話してくれた山や草花を、一緒に楽しみたいと考えるようになった。
 人生は短編だ。様々な人と糸でつながり、よられながらこれからも歩み続けたいと思っている。
 奥利根に咲いていたイワウチワ(岩団扇)。丸い団扇型の葉っぱから、10cm位の茎をのばし、その先に淡いピンク色の花を咲かせる。岩陰や岩場に咲く花なので、イワの名前が付いたようだが、個体は、雑木林の木の陰に、かなり群生していた。清楚でとっても可愛い花だ。

タムシバ (モクレン科)
  標高の高い山に生える。コブシによく似ているが、花がやや細長い。
  
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「ギンランとキンランと」

2022-05-12 18:39:41 | 山野草
「あの花が、どうか、どうか盗掘されていませんように・・」その花の名はギンラン。数年前‟関東ふれあいの道”を友人とハイキングしている時に、遊歩道の端の、今にも踏まれそうな場所に咲いていたギンラン。今年もあの花に会いたい・・。この辺りだったかしら?もう少し先かな?確かに、見つけたのは、この辺りなんだけど・・心配しながら歩いた入ると・・あっ、ありました!見つけました。良かった。盗掘されていなかった。ホッ・・。あっちに1本、こっちに1本という具合にギンランが咲いていたのです。この美しさと気品の高さを、何に例えたらいいでしょうか。半開きの状態で咲く姿がより一層美しく、かわいらしく、胸を締め付けるのです。
 十分に堪能した帰りがけ、木の階段の脇に1本、そして雑木林の中に1本・・「あ~、キンラン!」何とラッキーなことか。またまた興奮してしまった。めったに見ない花だけに、見つけた時の喜びは大きい。花が白い色は、銀色に例えてギンラン。一方、キンランは黄色い花色。花の名前は、ほとんど夫に教えてもらった。キンランとギンラン、その名の対比はすぐに覚えた。どうか、この美しい花を、来年も見ることが出来ますように。そして、人は優しく自然に近づいて、決して壊さず、自然を愛してゆきたいものだ。

ギンラン

 
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「冬浅し」

2021-11-07 18:43:27 | 山野草
「フユノハナワラビ」 ハナワラビ科
 暦のうえでは、本日‟立冬”。冬の気配が現れてくるころだが、実際にはさほど寒くもなく、まだまだ秋の風情。それでも、収穫のすんだ田んぼを見れば、どことなく冬めいた姿に、驚かされることもあるものだ。
 公園の芝生の上には、枯れ葉が風に運ばれカサカサと音をたてて舞う。小さな子供たちは、それらを両手いっぱいにかき集め、勢いよく空高く放り投げる。枯れ葉はまた風の流れに乗り、遠くに飛んだり、まるで踊っているかのように舞い落ちる。なんともほほえましい光景。その芝生をよく見れば、ところどころにワラビに似た植物。フユノハナワラビだ。あまり目立たないので、ともすれば見落としてしまう。おそらく知る人ぞ知る植物なのかもしれない。草丈10cmほどで、葉は秋に出て青いまま冬を越す。シイ、カシなどの林のもとに生育して、春には姿を消してしまう。個体は赤城自然園で撮影。花言葉「再出発」
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「今日は投票日」

2021-10-31 11:12:37 | 山野草
「シラネセンキュウ」 セリ科
 「投票しようがしまいが、世の中そんなに変わらない」よく耳にする言葉。本当にそうだろうか。特に、若者層の投票率が低いことから、県内某大学のゼミでは、「どうしたら学生を投票箱まで導けるか」のアイデア出し合い、例えば学内にポスター掲示、チラシの配布、メールなどでの呼びかけ等々を行い、投票に行くきっかけを作っているとのこと。学生からは、現状満足、政策が複雑、政治ネタは格好悪い、危機意識なし・・等々のほかに、下の世代から政治教育の必要性の声も上がったという。確かに、選挙権の年齢が満18歳以上からに引き下げられ、高校生にもその権利があるけれど、学校教育の中で政治教育はほとんど行われない。しかし高校生にもなれば、日々の生活の中で問題意識を持ったり、政治に対する意識を持とうとすれば、新聞、ネット、衆院選特集もTVの各局で組まれ、情報は世の中にあふれている。行動しなければ何も変わらない。投票することで、開票速報に興味も沸く。たかが一票されど一票。自分の意思をその一票に投じたい。
 日光の白根山に多く、最初この地でしられたというシラネセンキュウ。センキュウ(川芎)は、中国原産、同じセリ科でとても香りが強い植物とのこと。その姿によく似ていることからの命名という。茎の先にたくさんの小さな花をつけ、山の林の縁など少し暗い場所でもよく目立つ。葉の緑と白い小花で、まるで線香花火の様に美しく、山で出会えば写真を撮りたくなるほど惹かれる。
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