啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「イワベンケイ」

2011-07-31 09:54:24 | 山野草

聖岳の山頂に近いガレ場、山頂の岩場に一際鮮やかな緑が小さく群れている。イワベンケイ(岩弁慶)が咲いていた。漢字の表記から義経の家来の弁慶の覆面姿=いわゆる弁慶の立往生を類推したものでは?と思っていた。和名の由来を解説しているものも見当たらない。

「イワベンケイ」はベンケイソウ科の多年草。高山の岩場やガレ場に咲く。雌雄異株で、黄色っぽい花(緑色がかった)をつけるのが雄株というから、この株は多分雄。調べて見るとこの植物はなかなか面白い。光合成の仕方やハーブとしての効能など特徴がある。

“CAM型光合成”をするのだそうだ。CO2の取り込みをするのが夜で、昼に還元するのが特徴の一つだそうだ。砂漠など水分環境の悪いところに生きる植物(多肉植物など)に多い方式。昼に気孔を開くと水分を失うので、夜になったようだ。

薬効もいろいろ紹介されている。太く長い根があり、乾燥するとバラのような芳香がありハーブとして使われるとか。このほか①気分を高揚、欝状態を軽減する効果②精神的・肉体的な疲労回復のためヨーロッパなどで民間療法で使われてきたハーブ③新陳代謝を促す効果ーなど書き込まれている。

“疲労を癒し、高山病を改善する効果”まで期待されるとなると大変だ。ちょうど高山病を発症し始める高度に自生している。疲れたとき、そのまま噛んで効果が出るものではないだろう。効果があったら、この植物は絶滅してしまう。
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「ハクサンボウフウ」

2011-07-30 08:55:20 | 山野草

夏の高山、亜高山の草原で頭を一つ上に出し大きな白い花を咲かせる植物がある。何種類もあるのだが、皆似たような形をしており、素人の私には区別がつきにくい。セリ科の植物は葉の形も、花のつき方など似ている部分が多く、微妙に違っている。ハクサンボウフウ、シラネニンジン、シラネセンキューetc。今日の素材も、ネットで調べてみたが一番近いのがハクサンボウフウ。間違っていたらご指摘いただきたい。

「ハクサンボウフウ」はセリ科カワラボウフウ属の多年草。高山植物。聖岳の登山道脇で小聖岳に向かう草むらに生えていた。花のつき方が見事で、シラネセンキューに似ているが、葉の形がニンジンに近いセンキューとは違っているし、同様にシラネニンジンでもない。葉の切れ込みが小さすぎるような気もするが、ネット上の画像を何件もチェックした結果、ハクサンボウフウに決めた??


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「ウサギギク」

2011-07-29 08:14:16 | 山野草

聖岳への登山道は薊畑で分岐する。ここから高度を上げるに従い植生も微妙に違ってくる。急登のガレ場に差し掛かれば変化が明確になる。その前の明るい草地に聖平の草原には無かったウサギギクを見つけた。登山道脇に1本だけしっかりと咲いていた。

「ウサギギク」はキク科の多年草で高山植物。小聖岳に差し掛かる前の草むらに、シナノキンバイやミヤマキンポウゲとは違う鮮やかな黄色が際立っていた。葉の形がウサギの耳を思わせることから名がついているようだ。黄色い花からキングルマの別名もある。

菊の仲間は多い。その中で、姿が美しいわけでもないし、花が立派なわけでもない。種が最も多いといわれるキク科の中で、私が好きなのはこのウサギギクとこれに良く似たアズマギク、ノコンギクなど秋の野菊。ただ山道に生えているということだけの理由だが。

※薊畑の地名がここ数日で何回か出てきたが、未だに呼称が判らない。薊はアザミと読むのだと思う。友人から地名を聞いたのだが覚えていない。便ヶ島(たよりがしま)の登山口から延々と登ってきて、稜線にようやく出たところ。標高で2400メートル。聖岳にはここから左に分岐して登る。わからない漢字でも、パソコンなら書ける。パソコンなら調べられるのだろうが、調べないで載せてしまうのがわたしらしいところ???まっいいか・・。この地名、ご存知の方がいたら教えてください。
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「ミヤマカラマツソウ」

2011-07-28 08:49:22 | 山野草

聖平小屋は2200メートルの鞍部にある。聖岳への分岐“薊畑”から標高で200メートルほど下がった場所。小屋に下る急坂のガレ場で植生の回復に向けた作業をしている人たちがいた。草原の一角にネットを張り囲っている人たちもいた。この写真を撮るため、ネット張りをしている人に草原に入る許可を請うと、快く承諾してくれた。そして「昔は、聖平の一帯は、今の時期ニッコウキスゲで覆われていた。鹿の食害で、今はキスゲが殆ど見られなくなった」と教えてくれた。見渡したが、ミヤマカラマツソウの後ろに写った数株のニッコウキスゲしか見えなかった。

「ミヤマカラマツソウ」はキンポウゲ科の多年草。高山植物。色とりどりのお花畑の中で、清々しい緑色の葉と白い花が印象的。花がカラマツの葉の付き方に似ることからこの名がついたという。白く花弁に見える部分は雄シベが集まったものだそうだ。

聖平小屋に周辺がニッコウキスゲで埋め尽くされるほど見事に群生している大分古い写真が張られていた。ガレ場の再生、植生の回復への努力が始まったことなども紹介されていた。毒草のため食害にあいにくいバイケイソウだけが増えるのでは味気ない。

聖平にはハクサンフウロやクロトウヒレン、ヨツバシオガマ、シナノキンバイやミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲなど数は少ないが色々な高山植物が見られた。お花畑の復活を祈る。
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「バイケイソウ」

2011-07-27 08:35:08 | 山野草

今日、至仏山に登る予定で早起きした。家を出ると小雨。日中は晴れると思い車を出した。藤岡ICから高速に乗って直ぐの電光表示板。“長岡ー練馬間雨 走行注意”の表示。繊細な同行者?もおり、山中で雨に降られたら大変と思い急遽断念。高崎ICでUターンした。時間があるからできる、優雅な?決断。今日は一日悶々としそうだ。

「バイケイソウ」はユリ科の多年草で高山植物。調べて見ると花が梅、葉がケイランに似ているのでこの名がついているという。聖岳の拠点とした聖平(小屋、2200メートル)の周辺に、草原から飛び出すように高く、元気よく咲いていた。草丈は7,80センチの大型。まだ花が咲き始めたばかりで緑色が濃いが、房状に2センチほどの花を付け、盛花時には少し白っぽく見える。

新芽の頃にはギョウジャニンニクやオオバギボウシと良く似ており、間違って食べられ中毒を引き起こすことが良くあるというので要注意。中毒の症状が重いと血圧の低下で死に至ることもあるとか・・・。

名前と葉の様子が似た植物で夏の高山の定番に“コバイケイソウ”がある。群馬の山では湿原や草原で群生しているのを良く見かけるが、大抵は「コ」タイプ。花の部分が違うだけで、非常に良く似ているだけに、何故だろうと思う。まだ、私の経験が少ないだけなのだろうか。
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「ユウスゲ」

2011-07-26 08:58:18 | 山野草

この写真、何となくだが上手に撮れた様な気がして早めに掲載してみた。オオムラサキがいた竹沼。堤防沿いに植栽されているものである。夕方の4時頃に駐車場に車を停めた時にはまだ咲いていなかった。1周すると約一時間だが、今にも降りだしそうな雨雲のせいもあるのかも知れないがポツポツと咲き出していた。翌日の朝には枯れてしまう“一夜花”である。

「ユウスゲ」はユリ科の多年草でワスレナグサ属だという。ユリ科は想像しやすいが、ワスレナグサの仲間と言われてもピンと来ないものがある。葉がスゲ(管)に似ていて、黄色い花を咲かせ、夕方の咲くのでユウスゲ(夕管)。別名ではキスゲ(黄菅)と呼ぶ。花びらの部分は形がニッコウキスゲに良く似ているが、花の色がユウスゲは澄んだ黄色なのに対し、ニッコウキスゲはやや橙色がかった黄色にみえる。葉や花茎なども微妙に違っているが・・・。

夕刻に咲き、翌朝には枯れてしまうはかない命を思ってしまうが、花茎には次々と蕾が咲くのを待っているから心配ない。黄色が目立つ大きな花は、一夜の内に受粉を完了させるほどの華やかさを秘めているのかもしれない。
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「オオムラサキ」

2011-07-25 08:40:01 | 里山

昆虫を紹介するのは当ブログでは初めてか?散歩コース“竹沼”の周回道でオオムラサキを見つけた。今月20日の夕方のこと。樹液を出しており、カナブンやスズメバチなどが集まっているナラの木。目の高さの位置でしかも数メートルの至近距離。2羽のオオムラサキが初々しい青紫の光沢のある羽根を開閉していた。残念ながらその時、カメラを持参しておらず不発。昨日、同じ場所でようやく写真を撮ることができた。

「オオムラサキ」はタテハチョウ科の大形の蝶。国蝶に指定されている美しい蝶。雄は青紫の光沢を放つ美しい羽を持つが、雌は青紫ではなく茶色系の地味な羽。とにかく気品のある蝶々である。この蝶、今まで何回か見たことがあるが、木の上など離れた位置からでしかない。こんなに近くで、標準レンズで撮っても見られる絵が取れたので感激だった。

20日の夕方に見た2羽は、カミさんも一緒に見たが、青紫に輝いていた。スズメバチと樹液の多い場所を争うように羽根を開閉していた。24日に撮影できたこの個体は、羽根が青紫に輝いていない。“雌”かも知れない。光線の関係かもしれない。写真の蝶の近くに、もう一羽いたのだが、台風に痛めつけられたのか、後ろ側の羽がぼろぼろに欠けており、動きが鈍かった。蝶の成虫がどれくらい生きるのか知らないが、時間で変化で輝きを失ったのかもしれない。理由は無いが、2回見た2羽のオオムラサキは同じ蝶と思っている。
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「コマクサ」と「グンナイフウロ」

2011-07-24 08:23:32 | 山野草

“高山植物の女王”という評価が妥当かどうかを判断するのは人夫々だが、高山のガレ場や砂礫地で可憐な姿で迎えてくれる。と言いながら、私の少ない高山での経験ではまだ“本物のコマクサ?”に出会ったことが無い。手厚く保護されているものは草津白根山や湯の丸(池の平)など各地で見ることができる。唯一、自生しているのを見たのは数年前の烏帽子岳でわずか数株。稜線沿いの踏まれたら大変と言う場所にも自生しており、白花の株だった。今年、その辺を探したが見当たらなかった。この写真は、烏帽子岳の一角で撮ったもの。一般の登山者は行かない場所。現在は保護されている。

「コマクサ」はケマンソウ科の多年草。ケシ科に分類することもある。今更いう事でもないが、花の形が馬の顔の形に似ていることから名がついた。あえぎながら登る岩場で、この花を見つけたら多分癒されると思う。花は2センチ余り、草丈でせいぜい20センチほどの可憐な花だ。

美しいもの(人?)には“棘がある”と言うが、この草は棘が無くても全草が毒なのだそうだ。食べようとする人はいないと思うが、食すると嘔吐や体温の低下、心臓の麻痺などにつながるという。

「グンナイフウロ」はフウロソウ科の多年草。烏帽子岳と湯の丸山の鞍部から烏帽子の稜線に上がるまでの道沿いで見かける。蜜が美味しいのだろうか、ハチや小さな虫たちが集まっている。花に時期に花柄は傾いているが、鞘状の実をつける頃には直立する。薄紫の花が清々しい。

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那須「茶臼岳」

2011-07-23 09:07:18 | 低山歩き

ロープウェイで9合目まで行き、山頂までの歩行時間は40分ほど。那須岳の主峰「茶臼岳」には様々なアプローチがあるが、一番軟弱なルートで歩いてきた。那須岳という山頂はなく、茶臼岳や最高峰の三本槍(1917メートル)、朝日岳(1896メートル)など5山の総称を指している。関東の最北端に位置し、朝日岳は福島県と接している。

「茶臼岳」(1915メートル)は活火山で、山頂中央の旧火口は静かだが、外側から数箇所で噴煙を上げている。山頂から東~南に広がるはずの関東平野は雲海に隠れている。北側の福島県側から西側にかけての展望は雄大。100名山にふさわしい格を持っている。

110人ほど乗れる関東では最大とか言うロープウェイ駅を降りて歩き出す。森林限界を越えたのではなく、活火山だけに植物は何も無くイタドリがところどころにある程度でザレ場の連続。本格装備の人から軽装の人まで色々混じっている。夏休みに入って、林間学校の小学生の一団が登っており、これには閉口するが仕方が無い。喧騒のなかで頂上に着いた。5-6分で頂上火口を一周できる。同行者1名にまだ余裕が残っていそうに見えたので“隣の峯までもう少し歩こうか”と提案したが、軽く一蹴されてしまった。



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「ミヤマハンショウヅル」

2011-07-21 05:10:35 | 山野草

湯の丸から烏帽子岳を初夏に歩く時楽しみな花がミヤマハンショウヅル。平地の林の縁に咲く“ハンショウヅル”は、5-6月にミヤマ種と比べもう少し赤が強くピンクがかった明るい花(ガク片)を付ける。

「ミヤマハンショウヅル」はキンポウゲ科でセンニンソウ属のつる性植物。烏帽子岳の稜線に上がり、頂上が近くになった辺りにクロマメノキなど低木や草に絡まるように独特の形をした赤紫の花柄を突き出している。亜高山帯を自生の場としておりミヤマの名がついた。キンポウゲの仲間で、センニンソウグループと言われても、どちらもしっくりこないが・・・。

花びらに見える赤紫の部分はガク片。花弁はなく、この中に多数の雄シベと雌シベがあるという。花柄から下向きに咲く花を半鐘に見立てたものでツル性だからこの名が付いている。平地タイプの方が、釣鐘を連想しやすい形をしている。
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