草加市議会は、6月定例会で可決・成立した「草加市動物の愛護及び管理に関する条例」の内容と主なポイントを条文にそってまとめました。この条例に込めた想いです。
草加市動物の愛護及び管理に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、市、市民及び飼い主等の責務を明らかにし、動物の愛護に関し必要な事項を定めることにより、動物愛護精神の高揚を図るとともに、動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止し、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進に寄与することによって、人と動物に優しいまちをつくることを目的とする。
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草加市議会で策定した動物愛護条例は、理念としての位置づけで、飼い主への啓発活動や動物虐待防止に向けた取り組みを推進していくことが目的です。
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しかし、法令で都道府県知事の権限とされている事業者への立入調査などについて、草加市は権限委譲を受けていないため市条例では行使することができません。(中核市の川口市や越谷市は権限を行使できます)
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そのため、条例では補足しきれない部分や権限不足、実効性の担保といった課題がありますが、動物愛護に関する理念の共有、啓発活動の強化、動物虐待の防止、関係機関との連携強化、犬猫殺処分ゼロ目標達成への貢献など、多くの期待が寄せられています。 権限を持つ関係機関と連携しながら、飼い主への啓発活動や動物虐待の防止に向けた取り組みなど、具体的な施策をみんなで連携して推進していくことが重要となります。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑴ 動物 人が飼養(保管を含む。以下同じ。)する動物で、哺乳類、鳥類及び爬虫類に属するものをいう。
⑵ 飼い主 動物の所有者(所有者以外の者が飼養する場合は、その者を含む。)をいう。
⑶ 動物取扱業者 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第12条第1項第4号に規定する第一種動物取扱業者又は法第24条の3第1項に規定する第二種動物取扱業者をいう。
(基本理念)
第3条 人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
⑴ 動物は命あるものであることに鑑み、みだりに排除してはならないものであるとともに、動物が人の生活環境内に存在しているという認識の下に行われること。
⑵ 人と動物との関わりから生ずる諸問題の多くが人の生活様式に起因するものであることに鑑み、人が自らの問題としてこれらの諸問題の発生に関する予防その他の方策が必要であるという認識の下に行われること。
⑶ 動物の生態、習性、生理及び疾病並びに人と動物とに共通する感染症に関する正しい知識の普及及び公衆衛生の確保のための方策が必要であるという認識の下に行われること。
⑷ 豊かな情操を育てることに資するものであるという認識の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、この条例の目的を達成するために必要な施策を講ずるとともに、動物の愛護について実践する市民、市民団体等との連携に努めること。
2 市は、法第25条第7項の規定に基づく協力要請があった場合においては、県と協力し事態の解決に努めること。
- 条例の目的達成のためには、動物愛護に取り組まれている市民や市民団体への支援・連携が必要不可欠であることから、(市の責務)でその旨を明記しました。そのことによって、一方向的に市民へ責務を求めるのではなく、市も明確に責務を負っていることを表現しました。市議会がつくる条例らしさがここにあります。
- 2項で埼玉県との協力についても明記しました。
(市民の責務)
第5条 市民は、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進に向けて、動物の愛護について、市が行う施策に協力するよう努めること。
(飼い主になろうとする者の責務)
第6条 飼い主になろうとする者は、動物の飼養に先立ち、当該動物の習性、生理、生態等に関する知識の習得に努めるとともに、飼養する動物を選択する際には、飼養の目的、現在及び将来にわたる生活環境等を考慮し、終生飼養できる動物を選択するよう努めること。
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飼い主に対する責務だけでなく、(飼い主になろうとする者の責務)も設けました。
(飼い主の責務)
第7条 飼い主は、命ある動物の飼い主としての責任を自覚し、動物を適正に飼養するよう努めるとともに、自らが飼養する動物に起因して生ずる事案について責任を負う者であるとの自覚を持たなければならない。
(動物取扱業者の責務)
第8条 動物取扱業者は、埼玉県動物の愛護及び管理に関する条例(平成10年埼玉県条例第19号)第4条の2に基づき、社会において果たすべき自らの役割を認識して、関係法令を遵守することはもとより、動物に関する最新の知識の習得及び情報の発信に主体的に取り組むとともに、市が行う施策に協力するよう努めること。
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他自治体の理念条例にはあまり設けられていない(動物取扱業者の責務)を設け、埼玉県条例について触れるとともに、市が行う施策への協力を明記しました。
(飼い主の遵守事項)
第9条 飼い主は、飼養する動物について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 動物の種類、習性等を理解し、飼養する動物の健康及び安全を保持するとともに、適切なしつけをすること。
⑵ 動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するよう努めること。
⑶ 動物の鳴き声、悪臭、羽毛等により人に迷惑をかけないよう飼養環境を整備し、周辺の生活環境の保全に努めること。
⑷ 動物がその命を終えるまで愛情をもって飼養するよう努めること。ただし、やむを得ず継続して飼養することができなくなったときは、適切に飼養することができる者に譲渡する等し、決して放置しないよう努めること。
⑸ 飼養する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖を抑制するための適切な措置を講ずるよう努めること。
⑹ 動物によって健康を害する者がいることにも十分配慮するよう努めること。
⑺ 動物の逸走の防止のための措置を講ずるとともに、逸走したときは、自らの責任において捜索し、捕獲するよう努めること。
(犬の飼い主の遵守事項)
第10条 犬の飼い主は、飼養する犬について、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)及び草加市ポイ捨て及び飼い犬のふんの放置の防止に関する条例(平成18年条例第21号)を遵守するとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 譲渡する場合は、出生後8週間は当該犬とその親を共に飼養してから譲渡するよう努めること。
⑵ 他人へのかみつき、とびかかりその他の危害行為を予防するとともに、飼養施設の内外を常に清潔に管理するよう努めること。
⑶ 飼養状況に適した頭数を把握し、みだりに繁殖することを防止するため、不妊手術、去勢手術その他の適切な措置を講ずるよう努めること。
- パブリックコメントで寄せられたご意見をもとに、(2)の記載を「他人へのかみつき、とびかかりその他の危害行為」と具体例を提示しました。
(猫の飼い主の遵守事項)
第11条 猫の飼い主は、飼養する猫について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 譲渡する場合は、出生後8週間は当該猫とその親を共に飼養してから譲渡するよう努めること。
⑵ 疾病への感染及び不慮の事故を防止し、周辺の生活環境を保全するため、屋内で飼養するよう努めること。
⑶ 飼い主の飼養環境から逸走するおそれがある場合は、不妊手術、去勢手術その他繁殖を制限するための措置を講ずるよう努めること。
⑷ 首輪、名札等により自己の所有を明らかにするための措置を講ずるよう努めること。
- (3)について、パブリックコメントのご意見をもとに協議を重ねた結果、原文では屋内飼養できないケースを記載していましたが、逆に屋外飼育の根拠とも捉えられかねない懸念等を踏まえて、逸走させないための措置に限定した条文に改めました。
(飼い主のいない猫との関わり)
第12条 飼い主のいない猫に対し、繰り返し餌を与える者は、当該猫の繁殖を防止するために必要な措置を講じた上で、適切な給餌及びふん尿の処理に努めること。
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無責任な餌やり等の行為と、地域猫活動や保護猫活動等との違いを明確にしました。また、第4条の市の責務として「動物の愛護について実践する市民、市民団体等との連携に努めること」と規定することなどにより、動物愛護活動の発展を目指しています。
(災害時等の対応)
第13条 市及び飼い主は、台風、大雨、地震等自然災害に加え、火災等の非常災害が発生した場合(以下この条において「災害時」という。)に備え、及び災害時に対応するため、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。
⑴ 市は、災害時において、市民と相互に協力し、避難所における飼養する動物との同行避難等の動物を保護するために必要な措置を講ずるとともに、日常からの啓発活動等をすること。
⑵ 市は、被災動物の支援のために、支援団体等との災害時における協力関係を築くこと。
⑶ 飼い主は、日常から災害時における動物の適切な飼養のための準備をすること。
⑷ 飼い主は、災害時における同行避難等に当たっては、動物が苦手な者や動物によって健康を害する者、他の避難者にも配慮するとともに、避難所の決められたルールに従うこと。
⑸ 飼い主は、避難所において、飼養する動物が自己の所有であることを明示すること。
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飼い主からの関心が高いペットの同行避難をはじめとする災害時の対応を具体的に記しました。
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ワーキンググループで埼玉県から聞き取り調査を実施した際、「市町村にお願いしたいこと」として、担当者から「災害発生時にペットを飼う人が安全に避難できるよう、あらかじめ避難所におけるペット飼育スペースや受付手順を決めるなど、ペット受け入れ体制の整備を進めていただきたい」といったご意見が寄せられました。当条例の制定により、こうした取り組みの推進に繋げていきたいです。
(国等との連携)
第14条 市は、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の実現に向け、効果的に施策を展開するために国、埼玉県その他の地方公共団体との連携を図るよう努めるものとする。
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殺処分ゼロの取り組みや多頭飼育をはじめ各種課題について、県など関係機関との情報共有や連携に改善の余地があることがワーキンググループの調査で浮き彫りになったことを踏まえて、(国等との連携)を設けました。
(その他)
第15条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和6年8月1日から施行する。
[動物愛護条例を徹底解説!特集記事]
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- 【草加市】動物愛護条例を制定! 経緯をまとめました
- 【草加市】動物との共生へ! 新たな動物愛護条例の内容とポイント
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