このところ、ハゲしい話が続いたので
今日はほのぼのする話を書いてみよう。
またOL時代の同僚。
アコちゃん。20才、独身。
あどけな~いお顔に、ダイナマイトバディ。
男性社員、このテの格差は大歓迎らしい。
社内のアイドルだ。
請求書に貼る切手の周囲にある白いギザギザを
ことごとくハサミで綺麗に切り取り
「出来ました!」
と満足そう。
いいの、いいの。
かわいいから、許しちゃう。
アコちゃんは、謎の女だ。
「この町が好きなんです~。
どこにも行きたくありませ~ん。
彼氏なんかいませ~ん。
お休みはいつも家族と家にいま~す」
いつもそう言うけど、社内のちょっとした買い物を頼むと
レシートはなぜか毎回、遠く離れた都会の店。
仕事の帰りにたまたまアコちゃんの車の後ろになる。
さっき別れる時は
「今日は疲れたから、アコは早く家に帰って寝ま~す」
と言っていたのに、家とは逆方向。
しかもラブホテルの方向へ躊躇なく左折。
周囲に民家は無く、ホテルの先は山。
地方在住のかたはご存知だろうが
こういういかがわしく後ろめたい場所は
人里離れた寂しい所にあり、100%車で入る。
ホテル集合、ホテル解散…田舎においてそれは
かなりの上級者を意味しているのだ。
他の若い女子社員は
アコちゃんの言動が全部計算だと主張する。
「女だけで飲み会の時は、コットンシャツにジーンズなのに
男性がいる時は必ずニットで来るんですよ!」
特に社内恋愛をしている子は、彼氏の視線の先を心配して
気が気ではないらしい。
そう言われりゃ、そうかも。
薄手のニットの下で、惜しみなく揺れる巨乳に
男性社員クギ付けだもんな~。
同じ土俵上にいない私は、気楽である。
ある朝、アコちゃんがなかなか出勤してこない。
やがて木の棒をツエに、血を流して会社に現われた。
その痛々しい姿に、一同騒然。
「どうしたのっ?!何があったのっ?!」
アコちゃんはドアによりかかり、遠い目をしてつぶやく。
「…川に…落ちた…」
出勤途中、会社のそばを流れる小川に車ごと転落したと言う。
医者だ、レッカ-だ…の騒ぎが終わり
上司が保険申請のために改めて事情をたずねる。
「で…なんで落ちたんだ?」
「バッグが足元に落ちたんです…。
それで…取ろうと思って…」
「じゃ、よそ見だな?」
「前は…ずっと見てました…
急にハンドルが…動かなくなって…」
「じゃあ整備不良?」
「まだ新車です…」
イラの上司は、事情聴取を私にタッチ。
「アコちゃん、最初から落ち着いて話してごらん」
アコちゃんは話し始める。
…助手席に置いたバッグが落ちたので
手を伸ばして取ろうとした。
そしたらカーブになったので、ハンドルをきろうとしたら
肩がはまってハンドルが動かず、そのまま河原を滑り落ちた…
「ちょっと待て…」
上司が言う。
「肩ってのは、なんの肩?」
「私の肩…」
アコちゃんは自分の左肩をさすりながらつぶやき
「なぜ!」
みんなは同時に叫ぶ。
「アコちゃん、どうしてハンドルに肩がはまったのかな~?」
「…わかりません…」
「じゃあ、バッグはどこから手を伸ばしてとったのかな~?」
「ハンドルの輪っかの間から…」
不毛な会話はもうよせ…ハゲた上司はつぶやいた。
今日はほのぼのする話を書いてみよう。
またOL時代の同僚。
アコちゃん。20才、独身。
あどけな~いお顔に、ダイナマイトバディ。
男性社員、このテの格差は大歓迎らしい。
社内のアイドルだ。
請求書に貼る切手の周囲にある白いギザギザを
ことごとくハサミで綺麗に切り取り
「出来ました!」
と満足そう。
いいの、いいの。
かわいいから、許しちゃう。
アコちゃんは、謎の女だ。
「この町が好きなんです~。
どこにも行きたくありませ~ん。
彼氏なんかいませ~ん。
お休みはいつも家族と家にいま~す」
いつもそう言うけど、社内のちょっとした買い物を頼むと
レシートはなぜか毎回、遠く離れた都会の店。
仕事の帰りにたまたまアコちゃんの車の後ろになる。
さっき別れる時は
「今日は疲れたから、アコは早く家に帰って寝ま~す」
と言っていたのに、家とは逆方向。
しかもラブホテルの方向へ躊躇なく左折。
周囲に民家は無く、ホテルの先は山。
地方在住のかたはご存知だろうが
こういういかがわしく後ろめたい場所は
人里離れた寂しい所にあり、100%車で入る。
ホテル集合、ホテル解散…田舎においてそれは
かなりの上級者を意味しているのだ。
他の若い女子社員は
アコちゃんの言動が全部計算だと主張する。
「女だけで飲み会の時は、コットンシャツにジーンズなのに
男性がいる時は必ずニットで来るんですよ!」
特に社内恋愛をしている子は、彼氏の視線の先を心配して
気が気ではないらしい。
そう言われりゃ、そうかも。
薄手のニットの下で、惜しみなく揺れる巨乳に
男性社員クギ付けだもんな~。
同じ土俵上にいない私は、気楽である。
ある朝、アコちゃんがなかなか出勤してこない。
やがて木の棒をツエに、血を流して会社に現われた。
その痛々しい姿に、一同騒然。
「どうしたのっ?!何があったのっ?!」
アコちゃんはドアによりかかり、遠い目をしてつぶやく。
「…川に…落ちた…」
出勤途中、会社のそばを流れる小川に車ごと転落したと言う。
医者だ、レッカ-だ…の騒ぎが終わり
上司が保険申請のために改めて事情をたずねる。
「で…なんで落ちたんだ?」
「バッグが足元に落ちたんです…。
それで…取ろうと思って…」
「じゃ、よそ見だな?」
「前は…ずっと見てました…
急にハンドルが…動かなくなって…」
「じゃあ整備不良?」
「まだ新車です…」
イラの上司は、事情聴取を私にタッチ。
「アコちゃん、最初から落ち着いて話してごらん」
アコちゃんは話し始める。
…助手席に置いたバッグが落ちたので
手を伸ばして取ろうとした。
そしたらカーブになったので、ハンドルをきろうとしたら
肩がはまってハンドルが動かず、そのまま河原を滑り落ちた…
「ちょっと待て…」
上司が言う。
「肩ってのは、なんの肩?」
「私の肩…」
アコちゃんは自分の左肩をさすりながらつぶやき
「なぜ!」
みんなは同時に叫ぶ。
「アコちゃん、どうしてハンドルに肩がはまったのかな~?」
「…わかりません…」
「じゃあ、バッグはどこから手を伸ばしてとったのかな~?」
「ハンドルの輪っかの間から…」
不毛な会話はもうよせ…ハゲた上司はつぶやいた。