どこの家庭でもそうだと思うが
初孫というものは、何かと気になるらしい。
私が幼児と呼称される状態になった頃
祖父が私の外見に、ある問題を発見する。
「この孫は、首が短いんじゃなかろうか…」
明治の美人は、首が重要だったらしい。
「和服を着ても、日本髪を結っても
首が肝心」
というのが祖父の主張だ。
そこで祖父は、秘策を思いつく。
私の頭を両手で持ち上げ、1分ほどぶら下げるという大胆な方法だ。
そうすれば、体の重みで首が伸びるのではなかろうか…と踏んだのである。
首長族よりワイルド。
祖父は毎朝、毎晩、欠かさずそれをやる。
自然のままでいい…と家族に反対されてもきかない。
その習慣は、小学校3,4年まで…
つまり、成長した私を持ち上げるのが困難になるまで続いた。
挟まれた両耳あたりが少し痛いが
目線がひょいと高くなるのは、なかなかの気分だった。
持ち上げられなくなると、祖父は逆立ちを命じた。
頭の重みで首が伸びるのではなかろうか…と言うのだ。
その頃になると、私も自分の容姿の水準が
あまり高くないことに気付き始めていた。
私は美しくなるために、祖父の号令のもと
毎朝、毎晩進んで逆立ちをした。
首がなんとかなったあかつきには
顔もどうにかなるんじゃないだろうか…という
根拠の無い希望に燃えていた。
現在、私の首の長さは普通。
努力の甲斐があったのか無かったのか、結局わからない。
日常生活で和服を着る者は少ないし
日本髪など誰も結わない。
首が長い短いなど関係ない時代になった。
それより、顔の部品をなんとかする方法は無かったのか…と思うが
祖父も、改善可能なのは首のみ、と感じていたのだろう。
無駄な年月であった。
初孫というものは、何かと気になるらしい。
私が幼児と呼称される状態になった頃
祖父が私の外見に、ある問題を発見する。
「この孫は、首が短いんじゃなかろうか…」
明治の美人は、首が重要だったらしい。
「和服を着ても、日本髪を結っても
首が肝心」
というのが祖父の主張だ。
そこで祖父は、秘策を思いつく。
私の頭を両手で持ち上げ、1分ほどぶら下げるという大胆な方法だ。
そうすれば、体の重みで首が伸びるのではなかろうか…と踏んだのである。
首長族よりワイルド。
祖父は毎朝、毎晩、欠かさずそれをやる。
自然のままでいい…と家族に反対されてもきかない。
その習慣は、小学校3,4年まで…
つまり、成長した私を持ち上げるのが困難になるまで続いた。
挟まれた両耳あたりが少し痛いが
目線がひょいと高くなるのは、なかなかの気分だった。
持ち上げられなくなると、祖父は逆立ちを命じた。
頭の重みで首が伸びるのではなかろうか…と言うのだ。
その頃になると、私も自分の容姿の水準が
あまり高くないことに気付き始めていた。
私は美しくなるために、祖父の号令のもと
毎朝、毎晩進んで逆立ちをした。
首がなんとかなったあかつきには
顔もどうにかなるんじゃないだろうか…という
根拠の無い希望に燃えていた。
現在、私の首の長さは普通。
努力の甲斐があったのか無かったのか、結局わからない。
日常生活で和服を着る者は少ないし
日本髪など誰も結わない。
首が長い短いなど関係ない時代になった。
それより、顔の部品をなんとかする方法は無かったのか…と思うが
祖父も、改善可能なのは首のみ、と感じていたのだろう。
無駄な年月であった。