殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

パン屋のロバくん

2009年04月14日 18時23分17秒 | みりこんぐらし
ものすご~く昔

幼児の頃、月に一度くらいだろうか

家の前に「ロバパン」なるものがやってきた。


   ♪ロバのおじさん キンコロリ~ン…♪


子供のソプラノで歌が流れてくる。

この歌が聞こえたら、いても立ってもいられない。

鼻息も荒く、走って飛び出す。

それは屋台のパン屋さんだ。


ロバに屋台を引かせて売りに来るという大胆な商法に

我々幼児は狂喜乱舞。


家を飛び出したからには

屋台に接近したいのはやまやまだが

そこには大きな難関があった。


「ロバ」と呼ばれる大きな生き物だ。

なにしろやたらデカい。

時々「ブルル…」とかいって体をゆする。

怖くてちびりそうだ。


ロバは怖いが、ロバの持って来るパンは欲しい。

道路の反対側に立ち

買ってこい…と父を遠隔操作。

日本の幼児として、このめくるめくエンターテイメントに

参加しないわけにはいかないのだ。



   ♪チョコレートパンにあんパンに

    なんでもあります キンコロリ~ン♪


歌はそう言うが、ジャムパンと蒸しパンしか無かった。


ずいぶん長い間、あの生き物は「ロバ」だと信じていた。

ロバは、うちに来る時以外は

家でおじさんと一緒にパン作りに精を出し

時々ブレーメンの音楽隊に出ていると

信じ切っていた。


あの生き物が「ウマ」だと知るまでには

それから長い年月を要した。

「ロバパン」じゃなくて「ウマパン」…

ちょっとした衝撃であった。





コメント (20)
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