この記事は、浦添市との広域処理において中北組合が広域組合を設立する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止することを前提にして書いています。
溶融炉を廃止するための代替措置とは、簡単に言えば広域組合が広域施設を整備して供用を開始するまでの間、焼却灰の資源化を行うことになります。
浦添市や中北組合が最終処分場を整備していて残余年数に余裕(概ね15年以上)があれば資源化を行う必要はありませんが、残念ながら浦添市も中北組合も最終処分場の整備は行っていません。
しかし、広域組合が国の補助金を利用して広域施設を整備するためには、広域施設が完成するまで既存の最終処分場の残余年数を維持することができるごみ処理計画を策定しなければなりません。
したがって、焼却灰の最終処分を「外部委託」することはできないことになります。
ということで、下の画像をご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
浦添市にとって、中北組合の焼却灰の資源化は広域処理の生命線になります。なぜなら、焼却灰の資源化が困難になると、広域施設の整備に当たって国の補助金を利用することができなくなるからです。
しかし、中北組合の焼却灰は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)なので、外部委託による資源化の事例や実績がほとんどないという状況になっています。また、脱塩処理をして資源化を行っている事例や実績は、このブログの管理者が知る限りありません。
いずれにしても、「外部委託」による中北組合の焼却灰の資源化は、広域処理における補助金の利用を「担保」する施策としては浦添市の財政に累を及ぼす可能性のある施策になるので地方財政法第2条第1項の規定に抵触する恐れがあります。
広域組合が広域施設の整備に当たって補助金を利用するためには、事前に環境省の内諾を受けておく必要があります。そのためには、広域組合を設立する前に1市2村が共同で廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定しなければなりません。
したがって、仮に「地域計画」を策定したときに「外部委託」による資源化の段取りが付いていたとしても、広域施設を整備する前に「外部委託」が困難になった場合は「地域計画」を実現することができないことになるためアウトになります。
また、制度上は、広域施設を整備している間に「外部委託」が困難になった場合もアウトになります。その場合は、制度上、補助金を返還することになります。
このように、中北組合が「外部委託」によって溶融炉を廃止するための代替措置を講じる場合は、広域施設が完成するまで「綱渡り」のような状態が続くことになります。
「外部委託」は民間との契約になります。と言うことは、一般的には議会や住民に対する「担保」になりません。仮に民間が一部上場企業であっても、社会情勢が変れば突然キャンセルされる可能性があります。
また、これからは、どの企業においても温室効果ガスの排出量を削減するための施策を推進して行くことになります。
「外部委託」による焼却灰の資源化に関する技術は、どれもこれも国から温室効果ガスの排出量の大幅な削減を求められている技術です。また、塩分濃度の高い飛灰の資源化は更に手間のかかる技術になるため、焼却灰の資源化よりも温室効果ガスの排出量が増加します。
このため、中北組合が「外部委託」による飛灰の資源化を選択した場合は民間側から脱塩処理を求められる可能性もあります。しかし、飛灰の脱塩処理に関する技術はほとんど実績がないので、議会においても判断ができない状況になっています。
そうなると、「外部委託」による飛灰の資源化については、誰も先のことが読めなくなります。
したがって、このブログの管理者は、中北組合の溶融炉を廃止するための代替措置が「外部委託」である場合は、浦添市の職員が同意した場合であっても、議会の承認は受けられないと考えています。
下の画像は広域組合を設立した後で環境省の承認を受ける前に「外部委託」による飛灰の資源化が不可能になった場合のフローです。可能性がどの程度のものかは分かりませんが、ゼロではありません。
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※広域組合を設立する前に1市2村において「地域計画」を策定する場合は、国や県と協議をしながら策定することになります。このため、「外部委託」が認められない可能性もあります。その場合は、一般的には溶融炉を再稼動することになります。