いきなりですが、浦添市と中北組合(実質的には中城村と北中城村)における広域処理が実現するとした場合(このブログの管理者は実現して欲しいと考えています)、実現するまでの国(防衛省を含む)の評価は、こんな感じになります。
原寸大の資料(画像をクリック)
平成27年度における中北組合(中城村・北中城村)に対する国の評価は「国の政策に非協力的な自治体」になります。しかも、平成25年度までは浦添市と同様に「国の政策に協力的な自治体」だったので、何の措置も講じずに溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っている中北組合については、国の評価としてはかなり低くなります。したがって、中北組合が広域処理を推進する場合は、パートナーである浦添市のためにも焼却灰の民間委託処分を中止して「国の政策に協力的な自治体」になる必要があります。
ちなみに、環境省の財産処分の承認基準によると、浦添市と中城村と北中城村の1市2村で設立する広域組合が中北組合の溶融炉を引き継いだ場合は、新たに設立した広域組合が補助金の交付の目的に従って溶融炉の使用を続けることを求めています。このため、広域組合を設立する前に代替措置を講じて廃止しない場合は補助金の交付の目的に従って溶融炉を使用するために再稼動することになります。そして、国の政策に従って長寿命化を行うことになります。
下の画像は、環境省の財産処分マニュアル(全文は上のリンク先にあります)にある広域処理に関する部分を抜粋したものです。朱線はこのブログの管理者が引きました。字が小さくて読めない場合は原寸大の資料をズームアップしてご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
浦添市と中城村と北中城村の1市2村は広域組合を設立する前に環境省や県と協議を行い共同で「地域計画」を策定することになります。
したがって、広域組合が中北組合から引き継いだ溶融炉の再稼動も長寿命化も行わずに焼却灰の民間委託処分(中北組合のごみ処理計画)をそのまま継続することにした場合の環境省の評価は、こんな感じになります。
原寸大の資料(画像をクリック)
(注)中北組合は国の補助金(財源は国民の税金)を利用して整備した溶融炉を「運転経費が高い」という理由で休止して焼却灰の民間委託処分を行っています。しかし、今度は国の補助金を利用して浦添市と共同で新しいごみ処理施設を整備することを考えています。そして、このブログの管理者の調査によれば、新しいごみ処理施設が完成するまでは溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を続けて行く予定でいます。
上の画像のように、浦添市と中城村と北中城村が広域組合を設立する前に1市2村で「地域計画」を策定するときに、中北組合が焼却灰の民間委託処分を中止する措置(溶融炉の再稼動を除く)を講じていない場合は、中城村と北中城村は国の政策(廃棄物処理施設整備計画等)に対して非協力的な自治体とみなされるので、浦添市と広域組合を設立した場合は、その広域組合も国の政策に対して非協力的な自治体とみなされることになります。そのため、広域組合は広域施設の整備に当たって国の補助金を利用することはできないことになります。
浦添市は溶融炉を長寿命化して最終処分場の残余年数を維持するために焼却灰の資源化を推進しています。
しかし、中城村と北中城村は「運転経費が高い」ことを理由に溶融炉を休止したまま長寿命化も行わずに焼却灰の民間委託処分を続けて行くつもりでいます。したがって、どうしても国の補助金を利用したいということであれば、まず、中城村と北中城村が広域処理のパートナーである浦添市と同じように「国の政策に協力的な自治体」になることを国に約束しなければなりません。
浦添市もそう考えているはずです。そうでなければ、浦添市も溶融炉を休止しているはずです。
このブログの管理者が知る限り、国内に「運転経費が安い」溶融炉は1つもありません。
浦添市の溶融炉も「運転経費が高い」はずです。しかし、国の政策に従って最終処分場の残余年数を維持するために中北組合のほぼ1年前に整備した「運転経費の高い」溶融炉の長寿命化を行い広域施設が完成するまで稼動を続ける予定でいます。
国から見た場合は「運転経費が高い」という理由で溶融炉を休止することは理由になりません。
なぜなら、溶融炉の「運転経費が高い」のは当たり前だからです。
そんな当たり前のことを国が溶融炉を休止又は廃止するための理由として無条件で認めたら、国内にある溶融炉のほとんどが休止又は廃止になるでしょう。
また、無条件で認めた場合は、焼却炉を整備していれば焼却灰の民間委託処分を行っていても焼却炉の更新に当たって国の補助金を利用することができるようになるので、「運転経費が高い」溶融炉(ガス化溶融炉を含む)を整備する自治体はなくなってしまうかも知れません。
したがって、溶融炉を整備している自治体が溶融炉を休止又は廃止して新たにごみ処理施設を整備するために国の補助金を利用したいのであれば、「最終処分場の残余年数を維持できる代替措置を講じなさい」ということになります。
これは、廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に基づいて国が決めたルールなので、市町村が勝手に変えることはできません。環境省や防衛省であっても勝手に変えることはできません。「国が決めたルールに従うのが嫌なら自主財源でごみ処理施設を整備しなさい」というのが国の考え方です。
下の画像は、最初の画像を修正したものですが、①浦添市との覚書を締結するときに中北組合が焼却灰の民間委託処分を中止することを約束して、②広域組合を設立する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止するという流れになっています。
浦添市は中城村と北中城村と広域組合を設立する前に共同で「地域計画」を策定することになりますが、その時に環境省と協議を行うことになります。その場合は、おそらく浦添市が代表者的な立場で協議を進めるはずです。しかし、浦添市としては中北組合の溶融炉を広域組合が引き継ぐという前提では環境省と協議を行うことはできません。なぜなら、広域組合が中北組合の溶融炉を引き継ぐと広域施設を整備する前に溶融炉を再稼動して長寿命化を行う前提で協議を行うことになるからです。
したがって、浦添市と環境省としては中北組合(実質的には中城村と北中城村)が確実に「国の政策に協力的な自治体」になっている状態でなければ、「地域計画」を策定するための協議を進めることはできないと考えます。
原寸大の資料(画像をクリック)
なお、市町村が行うごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、新設等)に対する国の財政的援助(補助金の交付)に当たって、環境省は市町村のごみ処理計画(地域計画を含む)が環境大臣が定めた基本方針に適合していることを要件としていますが、国としては政府が閣議決定している廃棄物処理施設整備計画(原案は環境大臣が策定)の達成を図ることを目的として補助金を交付しています。
つまり、環境省であっても廃棄物処理施設整備計画の達成を図ることができないごみ処理施設の整備に対しては、財政的援助を与えることはできないことになります。もちろん、環境省の職員や防衛省の職員が閣議決定している廃棄物処理施設整備計画を無視して補助金の交付に関する事務処理を行うことはできません。
下の画像が、市町村に対する国(防衛省を含む)の財政的援助に関する「掟」になります。この「掟」は重要な「掟」なので、覚えておいて下さい。
(注)閣議決定されている廃棄物処理処理施設整備計画に適合しない市町村のごみ処理施設の整備に関する府省庁の補助制度は、廃棄物処理法の規定(第5条の4)に違反することになります。
原寸大の資料(画像をクリック)
という前提で、今日は、広域処理に関する浦添市と中城村と北中城村の平成28年度予算案に関する事務処理について考えてみます。
前置きが随分と長くなりましたが、ここからが「本題」です。
このブログの管理者は、かつて仕事の関係で「法令遵守」に関する講習を受けたことがあります。
そのときの講師に教えていただいたのは、「法令は抽象的な文章で構成されているので、実務者が法令に違反しないためには、実務の内容に従って法令の文章をできる限り具体的に書き改めること」ということでした。
そこで、広域処理を検討している浦添市と中城村と北中城村が、来年度の予算案を議会に提出する事務処理について、適用される地方財政法の規定をできる限り具体的に書き改めてみました。
しかし、なぜ地方財政法なのか?
答えは簡単です。
ごみ処理を市町村(設立済の一部事務組合等を含む)が単独で行う場合は、事務処理に多少の「過失」があっても、それは「自分達」の問題として解決をすることができます。
しかし、これから「他の市町村」と広域処理を推進しようとする場合は、事務処理に1つでも「過失」があると、他の市町村に迷惑をかける可能性があるからです。そうなると「自分達」の問題だけでは済まなくなります。
特に、中城村と北中城村は平成26年度から国の計画に従うことを拒否してごみ処理を行っているので、「過失」がないように十分に注意をしなければならないことになります。
その「過失」を最少化するための法令が地方財政法になります。
もちろん、浦添市も中城村や北中城村に迷惑をかける可能性はあります。しかし、浦添市は昔も今も一貫して国の計画に従ってごみ処理を行っているので、「他の市町村」に迷惑をかける可能性は少なくなります。
と言うことで、まずは、浦添市に対して迷惑をかける可能性の高い中城村と北中城村の事務処理について考えます。
中城村と北中城村の事務処理において重要なのは、浦添市との広域処理を推進することを決めたことによって、休止している溶融炉は再稼動や長寿命化を行わずに廃止することが決定していることです。
広域処理を「実施」することを決めた訳ではないので、「廃止」することは決定していないという反論はあると思います。しかし、広域処理を「推進」するのであれば、「廃止」を前提にした予算案を議会に提出する必要があると考えます。
なぜなら、中城村と北中城村の場合は「廃止」を前提にしなければ広域処理を「推進」することができないからです。
これまでは、中城村と北中城村には溶融炉を再稼動する可能性が残されていましたが、浦添市との広域処理を「推進」する場合は、再稼動と長寿命化を回避しなければなりません。
したがって、予算案の提出に当たっては、上の画像の右側にある修正が必要になると考えます。
特に地方公共団体が所有している財産の運用に関する第8条の規定については、中城村と北中城村の財政に直結している規定になるので、修正は必須要件になると考えます。
【地方財政法第8条】
地方公共団体の財産は、常に良好な状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。
※そもそも中北組合(地方公共団体)が所有している(廃止していない)溶融炉(財産)を休止している(運用していない)場合は、所有の目的(焼却灰の資源化を推進して最終処分場の残余年数を維持すること)に応じて効率的に運用していない(しかも、所有の目的に反して焼却灰の民間委託処分を行っている)ので、そのことだけでこの規定に違反していることになると考えます。
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次は、「他の市町村」に対して迷惑をかける可能性の少ない浦添市の事務処理について考えます。
浦添市の場合は単独では国の政策に従って事務処理を行っているので、第8条の規定はクリアしています。しかし、広域処理を推進する場合は「他の市町村」と共同で事務処理を行っていくことになるので、第2条第1項及び第4条第1項の規定が問題になります。
特に、「他の市町村」が国の政策に反して事務処理を行っている場合や国の政策に反する可能性のある事務処理を行っている場合は、常に事務処理に対する確認をしておかないと、自分のところだけでなく、「他の市町村」の財政に累を及ぼす可能性が高くなります。
例えば、浦添市が中城村や北中城村に対して焼却灰の民間委託処分を続けることを認めるような事務処理(協議会の設立や覚書の締結等)を行うと、浦添市だけでなく中城村と北中城村も国の補助金を利用できなくなってしまいます。
したがって、「他の市町村」が中城村と北中城村である場合は、予算案の提出に当たって上の画像の右側にある修正が必要になると考えます。
なお、「法令違反」を裁判で争う場合は、法令の規定よりも法令の立法趣旨(つまり、なぜその法令が施行されているのかという理由)の方が遥かに重要なポイントになります。
言うまでもなく、地方財政法は「地方財政の健全性を確保」することを目的として施行されています。
その前提で考えると、中城村や北中城村、そして浦添市においても、広域処理に関する平成28年度の予算案を議会に提出する場合は、画像の右側にある修正が必要になると考えます。
特に第4条第1項の規定については、修正を行わないと法令に違反する可能性が高くなります。
なぜなら、中城村と北中城村に代替措置を講じて中北組合の溶融炉を廃止する意思がない場合は、平成28年度において浦添市と中城村と北中城村が広域処理を推進するために支出する予算が無駄になるからです。
【重要事項】
あり得ないこととは思いますが、浦添市が供用開始から10年を経過すれば長寿命化を行わずに無条件で溶融炉を廃止することができる(そして、焼却灰の民間委託処分を行っていても国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化や更新ができる)と考えている場合は、浦添市も同じことができたことになるので、焼却炉だけ長寿命化して溶融炉の長寿命化は行う必要はなかったことになります。
あるいは、浦添市の焼却炉は昭和時代に整備したものなので、焼却炉と溶融炉を廃止しても国の補助金を利用して新しいごみ処理施設を整備することができたことになります。
浦添市は平成14年度に整備した溶融炉を平成24年度に長寿命化しています。一方、中城村と北中城村は平成15年度に整備した溶融炉を平成26年度から休止しています。しかし、中城村と北中城村は溶融炉の再稼動や長寿命化を行わなくても国の補助金を利用して新しいごみ処理施設を整備することができることになります。
したがって、浦添市の財政のことだけを考えれば、平成24年度にごみ処理施設の長寿命化を行ったことは地方財政法第4条第1項の規定に抵触している可能性があることになります。
【地方財政法第4条第1項】
地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
※溶融炉(設備)の経過年数が10年を超えれば廃止しても国の補助金を利用して新たなごみ処理施設(建物を含む)を整備することができるとした場合、平成24年度において浦添市の焼却炉(設備)の経過年数は10年を遥かに超えていた訳ですから、長寿命化を行うときに焼却炉も廃止して新たなごみ施設を整備した方が、最少の経費で目的を達成する(市民のために適正なごみ処理施設の整備を行う)ことができたと考えます。