三線演奏支援装置を製作した那覇工業高校3年の山城慧音さん(左)と指導した上原英之教諭=2日、浦添市の同校
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全身の筋肉が徐々に萎縮する筋ジストロフィー患者の三線演奏を支援する装置を開発した高校生がいる。那覇工業高校グラフィックアーツ科3年の山城慧音(さとね)さん(17)だ。障がい者のバンド「ケントミファミリー」のメンバー、西平直樹さん(29)=沖縄市=のために、光センサーを組み込んだコントローラーに指をのせるだけで弦を押さえることができる装置を約2年かけて作り上げた。装置を試した西平さんは「今までよりもきっと楽になるだろう。演奏が楽しみだ」と話した。
障がいがある親族が身近にいた山城さんは、幼い頃から「障がいがある人の役に立つ物を作りたい」という思いを心に秘めていた。高校入学後、筋ジストロフィー患者のための三線演奏支援装置を製作していた上原英之教諭(34)と出会い、その研究を引き継いだ。
西平さんは、筋ジストロフィーの症状が進行し、上原教諭が製作した押しボタン型コントローラーでボタンを押すのが困難になっていた。山城さんは上原教諭と西平さんの元に通い、ボタン式に代わり、握力を必要としない光センサーを組み込んだコントローラーに改良した。コントローラーに指を軽くのせるだけで、機械が三線の弦を押さえる仕組みだ。
改良で苦労した点は、コントローラーの持ち手であるグリップ部分の形や、弦を支える機械の角度の調整だ。「(グリップ部分の)1ミリの違いで指が動かなかったり負担が大きくなったりする」。現在も微調整を繰り返し、改良を重ねているという。
山城さんの開発は、研究者の間でも話題になり、9月26日に琉球大学で開催された電子情報通信学会九州支部の学生会講演会で、高校生として初めて研究成果を発表した。
西平さんは、年間60回以上、各地で演奏会を行っている。西平さんは「今後は右手の弾く操作も難しくなるから、それも支援装置を作ってくれたら」と期待を寄せた。
山城さんは、11月下旬に恩納村の沖縄科学技術大学院大学で開かれる国際学会でも発表する。(新垣若菜)