過去1年間で最も「面白い」と評価されたエンターテインメント小説に贈る文学賞「第8回山田風太郎賞」の選考会が23日、東京都内のホテルで開かれ、池上永一さん(47)=那覇市出身=の作品「ヒストリア」(KADOKAWA)が選ばれた。
県出身者の同賞受賞は初めて。池上さんは題材になったボリビアのコロニア・オキナワの人たちに「喜んでもらえる」と笑顔で語った。
同賞は、戦後日本を代表する大衆小説家・山田風太郎に続く有望な作家を発掘するためにKADOKAWAが2009年に創設した。池上さんの作品について選考委員は「沖縄ではまだ戦争が続いているというメッセージが伝わってくる」などと評価した。
「ヒストリア」は、ボリビアを舞台に沖縄戦で家族を失い、魂(マブイ)を落としてしまった主人公の物語を描いている。池上さんは「テンペスト」や「レキオス」など、沖縄を舞台に独自の小説を発表してきた。