誕生時より体重が2倍に増え、順調に成長する赤ちゃんを抱く台湾人女性=24日午後8時すぎ、那覇空港
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沖縄を旅行中に妊娠7カ月で出産した台湾人女性(20)が24日午後9時すぎの便で、赤ちゃんと無事、那覇空港から台湾に向け出発した。3月30日に884グラムで生まれた赤ちゃんは約2倍の1600グラムまで体重が増えた。「順調に成長している」と経過を見守っていた南部医療センター・こども医療センターの医師・宮城雅也さんも太鼓判を押す。女性は「健康に育ってくれてほっとしている。支援金など多くの支援に言葉もない」と謝辞を表した。
赤ちゃんは男の子で、低体重で生まれるも女性の完全母乳の下、すくすくと育っていった。出産予定の時期と同じ、現在40週目に入ったことから、出国の運びとなった。
支援金は24日現在、2千万円に達し、分娩費や入院費用に約800万円、台湾に同行する医師や看護師の付き添い費用に20万円を充てる。支援を呼び掛けた琉球華僑総会の張本光輝会長は余剰金を今回のような事案への対応策に使うよう県に寄贈する方針だ。300に上る寄付者の中には匿名の人もおり、張本会長は「何らかの形で感謝を表したい」と強調した。
赤ちゃんは丈夫でたくましく育ってほしいとの思いを込め「山」にちなんだ名前を付けられた。女性は「この子が3歳になったら沖縄にまた来たい。歩く元気な姿を支えてくれた人々に見せたい」と再来沖を誓った。
※事の発端(過去記事)
医療費600万、言葉通じない 台湾人客、早産で窮地
2016年4月19日
妊娠7カ月の台湾人観光客の女性(20)が沖縄旅行中の3月30日に、出産が早まり、急きょ南部医療センター・こども医療センター(南風原町)で884グラムの子を出産した。同病院や受け入れ先では中国語での対応ができず、母親とのコミュニケーションが困難で、現在、県内の台湾出身者らがボランティアで通訳している。県内の一部医療機関では多言語への対応や外国人患者に向けての医療サービス環境の構築を進めているが、まだ十分でないのが現状だ。
夫(23)と3月29日に来沖した女性は、30日午前4時ごろに破水。那覇市の沖縄協同病院に緊急搬送された。赤ちゃんの体重が1500グラム以下と推定されたため、南部で唯一未熟児の特別医療措置が受けられる南部医療センターに再搬送された。女性と家族は現在、離島や北部地域から病児や家族を受け入れる「がじゅまるの家」に宿泊している。
女性の夫は「赤ちゃんの健康状況や医療費用の支払いなどに非常に悩んでいるが、これまで助けてくれた医者らに感謝したい」とも述べた。
がじゅまるの家で活動するNPO法人こども医療支援わらびの会の儀間小夜子理事は「緊急医療などを受けた外国人患者の心のケア態勢がまだできていない」と指摘した。
赤ちゃんは南部医療センターで特別医療措置を受けており、医療費用は最低でも約600万円かかるという。しかし、出産は海外旅行保険の補償対象外のため、夫婦は医療負担に追われている。
県内在住の台湾出身者でつくる「琉球華僑総会」は夫婦に約100万円を寄付する予定で、張本光輝会長は「無事に帰国できるよう支援がほしい」と寄付を呼び掛けた。問い合わせは同会(電話)098(862)9153。(呉俐君)