郎女迷々日録 幕末東西

薩摩、長州、幕府、新撰組などなど。仏英を主に幕末の欧州にも話は及びます。たまには観劇、映画、読書、旅行の感想も。

野口武彦氏の楽しい「ゴシップ史観」

2006年02月10日 | 幕末文化
野口武彦氏の最新刊『大江戸曲者列伝―太平の巻』を読みました。
週刊新潮に連載された『OH! EDO物語』をまとめられたもので、一話一話は短い、歴史のゴシップ、「蔭の声」なんです。
先生ご自身が、「ゴシップ史観」と名付けておられますが、それこそ『今昔物語』のようで、大江戸説話集とでも申し上げたい佳作です。
『坂の上の雲』と脱イデオロギー で書きましたように、司馬遼太郎氏のめざしたものが「近代説話」なのだとすれば、野口武彦氏は、司馬氏の後継者、といえるかもしれないな、と、思いはじめているところ、です。
しかも野口氏の場合、語り口はおもしろいのですが、資料には忠実でおられます。

今回は「太平の巻」で、続いて「幕末の巻」も出されるそうです。
とはいえ、「太平の巻」も江戸後期の題材が多いですし、幕末まで踏み込んでいて、よく知られた話もあるんですが、うそ! と驚くような話もあります。
一番受けましたのは、「奥様と雪隠」です。
江戸も幕末に近いころ、旗本の奥方だった井関隆子。この方の日記が残っているそうなのですが、古典文学の教養が深く、ウンチクを傾けて、文字通りの臭い話、つまりトイレ系の話を、王朝文学の香気につつんで、語っておられるのだとか。

「幕末の巻」が待たれます。


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