世の中、WBCに明け暮れています。
と、少々斜に構えてはいますが、何の何の専門的な知識もないまま、ばあさん楽しみに応援しております。そして、ふっと母のことを思い出します。母は生きておれば今年123歳になったはずの、明治女でした。
「野球のある日は好かんねえ。ドラマが見られんし・・・」
その頃、山口のような地方都市では、NHKとあと一つ民間放送があるだけでした。
「それにしても、あのボールを投げる人は上手だねえ、あんな細いバットに当てるんじゃからねえ。それも動いているバットにじゃから」と言っておりました。
野球一色のワイドショーの中に、何が切っ掛けだったのでしょう、学校の授業の始まり。終わりの合図の音についての話し合いが行われていました。
おせっちゃんの頭は過去に遡っていました。
頭に浮かんだのは、職員室の窓の外にぶら下げられたた、スイスで見たカウベルのような鐘、そのの中心から下に伸びた綱を握って打ち鳴らす小使さんの姿でした。そう、カンカンという鐘の音で時間を知るのでした。
とここまで書いて、いやこれは本当に体験したことかな、映画の一場面で見た映像を経験したことと思い違えているかもしれないと思ったことです。昔々のお話ですから。
記憶力のとみに衰えた夫とは話し合いが難しいのですが、少ない会話の一場面です。
「父は正午の合図を”どんが鳴る”と言ってたわ。軍隊では空砲を打っていたのね」
「私は甲子園の試合の開始終了の合図のサイレンは嫌いなのよ」
「どうして」
「警戒警報・空襲警報がサイレンだったでしょう。子ども心におびえていたのを思い出すんだもん。あの音は聞きたくない音」
世界の雲行きはなんだか波乱含みで、いやな気配も感じられますが、野球で盛り上がっておられる幸せを感謝しつつ今宵は侍日本を応援しましょう!!