おせっちゃんの今日2

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一漁師の言葉

2023-05-10 14:33:20 | 言葉

「困った時の折々のことば」。ブログダネが尽きた時、頼りになるのが「折々のことば」です。
悲しいことに、鷲田清一さんが解説を書いてくださっているのだけれど、力不足でそれが理解できないことが度々のおせっちゃんです。
ここ最近普通の方の、普通の言葉が取り上げられています。今日はそれを。

『お酒もうれしいけど、俺たちが持ってきたカメで何が分かったのか知りたいなあ』

この言葉をさっと読んだとき、「カメ」を酒と関係づけて「甕」だと思い込み、分からんと思ったのでした。落ち着いて解説を読んでみました。甕は亀でした。
ウミガメの生態を研究する木下千尋先生は定置網にかかった亀を漁師から譲り受けている。お礼に一升瓶を持参していた。ある時こう言われたのだそうです。

漁師さんを馬鹿にしたわけではないでしょうが、一杯やってよとのお礼に酒をというのはよい考えだと思っていたのでしょうか。でも、同じ海で暮らす亀は漁師さんにとっては仲間だったのでしょう。どういう研究がなされ、どういうことが分かって来たのかどこまで研究の成果が上がったのか、酒よりはその方が知りたかったのでしょう。自分たちより偉いと思う学者様が、どういう研究をなさったか、知りたかったのでしょう。ごもっとも。

木下先生はイラスト入りの一冊の本にまとめて手渡したとのこと。以後協力者も増えたと言います。

木下先生は研究で判明したことを人々に還元するところまでが研究だと学んだのだと言います。
言葉づかいの小さなつながりで、人と人がより一層結びつきます。