がんと診断されたたのは2000年の事でした。
その後、生きているうちにと 衝かれたように各地を旅行したものでした。
山陰地方から北陸地方まで、温泉地を巡ったものでした。
温泉津(ゆのつ)、玉造、三朝、湯村、皆生、湯郷、湯原、城崎、奥津・・・
それぞれに風情を漂わせた温泉地でしたが、
一番に気に入ったのは奥津温泉郷の「奥津荘」でしたね。
ほんの小じんまりした温泉郷の小さな旅館でしたが、何ともいえぬもてなしでした。
温泉と言えば、これまたほんの小じんまりしたかけ流し湯がありました。
石積みの中央部は底が分からない程深くてね、その真下から温泉が湧き出ているのでした。
昔、お殿様が浸かった時には、余りにも気に入って鍵をかけて独り占めしたことから、
「鍵湯」と呼ばれてきたそうです。
部屋に内風呂もあるのですが、二階の渓流に面した家族風呂がまたいいのですね。
翌年も再度出かけて連泊したほどでしたね。
私の冥途の土産にと廻った温泉巡りでしたが、
妻も思い出として喜んでいたから結果良かったのかな・・・・皮肉な事ながら
これは湯村温泉への行き帰りに立ち寄った竹田城址です。
当時は訪れるもの誰一人いなくて、荒涼の冬景色でしたね。
ほぼ山頂まで車で登れました・・・今では考えられない人らしい。