足立区 学力テストで予算に差 区教委
東京都足立区教育委員会は二〇〇七年度予算案で、都と区が実施している学力テストの成績に応じて、同区立の七十二小学校と三十七中学校に追加的に配分している「特色づくり予算」の額に差を付ける方針を固めた。
特色づくり予算は、各校の要望に基づき、外国人講師や補習講師派遣費用などのために配分されている。本年度予算では約二億六千万円が計上された。
区教委によると、〇七年度予算案では、年に一回実施している都の学力テスト(小学五年生と中学二年生対象)と区の同テスト(小学二年生以上対象)の結果を踏まえて、各校をA-Dの四ランクに分類。Aランクは小学校で四百万円、中学校で五百万円が配分されるが、Dランクはともに二百万円にとどめる。
予算総額は本年度より一億五千万円増の四億一千万円の計上を予定し、増額分は各校の基礎経費の見直しによって捻出(ねんしゅつ)する。
同区では、通う学校を児童・生徒の側が選べる学校選択制を導入している。
区教委教育政策課は「学校の意欲を高め、区全体の学力向上が期待できる。全国でも例がないやり方ではないか」としている。同区は〇四年の都の学力テスト結果が、二十三区で最下位にとどまっていた。
『東京新聞』2006/11/4夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061104/eve_____sya_____005.shtml
教室から遠い憲法 公布60年、気を使い慎重さも
憲法が教室から遠い―。3日で公布から60年を迎えた日本国憲法。
長く社会の枠組みを支えてきた憲法を、次代を担う子どもたちが学習するのは主に小学校6年生の社会科からだ。安倍首相が改憲に意欲を見せる中、近い将来に憲法改定の国民投票に臨む可能性もある子どもたち。憲法を学ぶ意味はかつてなく増しているが、県内の現場教師の声からは、「偏向教育」と批判されかねない学習の難しさに加え、高校受験で比重が軽いとみたり、自身の勉強不足など理由に敬遠する教師も少なくない現実が浮かび上がっている。
「1つの考えを押しつけていると周囲に受け取られないよう、教材選びは慎重にしている」
2日、「公民」の授業で改憲論議を取り上げた塩尻市楢川中の岩下啓教諭(32)はそう話す。「憲法は身近な存在だと感覚的に身に付けていくことが大切だ」と考え、積極的に憲法の学習を進めている。この日は、改憲に意欲を示す安倍首相の発言を伝えた新聞記事を教材に使った。学校で購読している新聞だが、「この新聞でいいのかどうかも、気を使います」
学習指導要領には次のような一文がある。「憲法の基本的な考え方を中心に理解させるようにし、条文解釈に深入りしないように留意すること」(中学の公民的分野)
「憲法をめぐって政治的に議論が進む中、教育の『中立』を考えると、九条の問題などはどちらがいいとはますます言えないし、深く言わない方がいいと慎重になる」
南信地方にある中学の30代男性教諭は今学期、憲法については教科書を読み進める以外に展開しなかったという。
「憲法に関係した発言をすると、上からすぐに『偏向だ』といわれることもある」
小学6年生の授業で九条と平和について取り上げた北信地方の50代女性教諭は証言する。「授業後に校長に呼ばれ、『偏向教育をしている。保護者からも訴えがあった』と言われた」
「地理や歴史に比べると、公民は高校入試の出題でウエートが軽い。受験対策を考えると、どうしてもさらりとやり過ごしてしまう」
南信地方の中学に勤務する30代男性教諭は、憲法が教室から遠い理由に「受験」を挙げる。
「授業以外の用務もあって忙しく、実は今の政治状況もよく分からない。指針となる憲法教育の実践報告もない。自分が分からないのに、深くは教えられません」
東信地方の30代の小学校女性教諭は本音を語る。研究授業に熱心な信州だが、社会科教員らでつくる信州社会科教育研究会も「憲法そのものを扱う研究授業はまれではないか」(事務局)とする。
「教育現場に直結する問題だが、どの学校の職員室でも、教員同士で憲法や教育基本法の改定について話す場面はほとんどない」
憲法の理念を生徒に考えさせる授業を展開している喬木中(下伊那郡喬木村)の原英章教諭(57)は「教師が憲法から遠ざかっている」ことが気掛かりだと話している。
『信濃毎日新聞』11月3日(金)文化の日
http://www.shinmai.co.jp/news/20061103/mm061103sha8022.htm
【教育基本法】第8条(政治教育)
良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
東京都足立区教育委員会は二〇〇七年度予算案で、都と区が実施している学力テストの成績に応じて、同区立の七十二小学校と三十七中学校に追加的に配分している「特色づくり予算」の額に差を付ける方針を固めた。
特色づくり予算は、各校の要望に基づき、外国人講師や補習講師派遣費用などのために配分されている。本年度予算では約二億六千万円が計上された。
区教委によると、〇七年度予算案では、年に一回実施している都の学力テスト(小学五年生と中学二年生対象)と区の同テスト(小学二年生以上対象)の結果を踏まえて、各校をA-Dの四ランクに分類。Aランクは小学校で四百万円、中学校で五百万円が配分されるが、Dランクはともに二百万円にとどめる。
予算総額は本年度より一億五千万円増の四億一千万円の計上を予定し、増額分は各校の基礎経費の見直しによって捻出(ねんしゅつ)する。
同区では、通う学校を児童・生徒の側が選べる学校選択制を導入している。
区教委教育政策課は「学校の意欲を高め、区全体の学力向上が期待できる。全国でも例がないやり方ではないか」としている。同区は〇四年の都の学力テスト結果が、二十三区で最下位にとどまっていた。
『東京新聞』2006/11/4夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061104/eve_____sya_____005.shtml
教室から遠い憲法 公布60年、気を使い慎重さも
憲法が教室から遠い―。3日で公布から60年を迎えた日本国憲法。
長く社会の枠組みを支えてきた憲法を、次代を担う子どもたちが学習するのは主に小学校6年生の社会科からだ。安倍首相が改憲に意欲を見せる中、近い将来に憲法改定の国民投票に臨む可能性もある子どもたち。憲法を学ぶ意味はかつてなく増しているが、県内の現場教師の声からは、「偏向教育」と批判されかねない学習の難しさに加え、高校受験で比重が軽いとみたり、自身の勉強不足など理由に敬遠する教師も少なくない現実が浮かび上がっている。
「1つの考えを押しつけていると周囲に受け取られないよう、教材選びは慎重にしている」
2日、「公民」の授業で改憲論議を取り上げた塩尻市楢川中の岩下啓教諭(32)はそう話す。「憲法は身近な存在だと感覚的に身に付けていくことが大切だ」と考え、積極的に憲法の学習を進めている。この日は、改憲に意欲を示す安倍首相の発言を伝えた新聞記事を教材に使った。学校で購読している新聞だが、「この新聞でいいのかどうかも、気を使います」
学習指導要領には次のような一文がある。「憲法の基本的な考え方を中心に理解させるようにし、条文解釈に深入りしないように留意すること」(中学の公民的分野)
「憲法をめぐって政治的に議論が進む中、教育の『中立』を考えると、九条の問題などはどちらがいいとはますます言えないし、深く言わない方がいいと慎重になる」
南信地方にある中学の30代男性教諭は今学期、憲法については教科書を読み進める以外に展開しなかったという。
「憲法に関係した発言をすると、上からすぐに『偏向だ』といわれることもある」
小学6年生の授業で九条と平和について取り上げた北信地方の50代女性教諭は証言する。「授業後に校長に呼ばれ、『偏向教育をしている。保護者からも訴えがあった』と言われた」
「地理や歴史に比べると、公民は高校入試の出題でウエートが軽い。受験対策を考えると、どうしてもさらりとやり過ごしてしまう」
南信地方の中学に勤務する30代男性教諭は、憲法が教室から遠い理由に「受験」を挙げる。
「授業以外の用務もあって忙しく、実は今の政治状況もよく分からない。指針となる憲法教育の実践報告もない。自分が分からないのに、深くは教えられません」
東信地方の30代の小学校女性教諭は本音を語る。研究授業に熱心な信州だが、社会科教員らでつくる信州社会科教育研究会も「憲法そのものを扱う研究授業はまれではないか」(事務局)とする。
「教育現場に直結する問題だが、どの学校の職員室でも、教員同士で憲法や教育基本法の改定について話す場面はほとんどない」
憲法の理念を生徒に考えさせる授業を展開している喬木中(下伊那郡喬木村)の原英章教諭(57)は「教師が憲法から遠ざかっている」ことが気掛かりだと話している。
『信濃毎日新聞』11月3日(金)文化の日
http://www.shinmai.co.jp/news/20061103/mm061103sha8022.htm
【教育基本法】第8条(政治教育)
良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
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