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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

君が代不起立をゼロに見せたい大阪府教委、東京都教委

2017年04月09日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ 卒業式から排除される「君が代」不起立の教師
   2016年度の東京都の入学式では被処分者がゼロ
(週刊金曜日)
平舘英明(ひらたてひであき・ジャーナリスト)

 今年もまた「君が代」不服従の教師が卒業式から排除された。
 大阪府の特別支援学校教師、奥野泰孝さん(59歳)は、昨年に引き続き、卒業式に参列する人の車を誘導する駐車場係を命じられた。昨年は管理職から「君が代」起立斉唱の意思確認があったが、今年はそれすらなかった。奥野さんの人事はここ数年、高等部2年生の担任だ。入学式も卒業式も式場内に入れないための措置だ。
 奥野さんは「管理職は府教委から『奥野を絶対に式場に入れるな』と指示されている。それほどまでに不起立を0%にしたいのか」と憤る。
 大阪府は「君が代」斉唱を義務づけた「国旗国歌条例」と、同じ職務命令違反を3回繰り返すと免職と規定した「大阪府職員基本条例」を施行し、卒・入学式の「日の丸・君が代」を強制している。
 奥野さんはキリスト教徒だ。
 戦前、「君が代」は国家神道と結びつき、天皇を「神」と認めないキリスト教徒は迫害された
 「君が代」は思想・良心の自由(憲法19条)だけでなく、信教の自由(憲法20条)の侵害につながる。一方で、奥野さんはすでに2回処分を受けており、免職の可能性も否定できない。
 今年の卒業式には奥野さんの支援者が校門に集まり、「立たない自由がある」とのボードを掲げ、生徒や保護者、職員にビラを配った。
 奥野さんは「人権を大切にする社会をつくる。それを生徒に示すには(府教委の)脅しに屈するわけにはいかない」と話す。
 不起立の教師を式場から排除する動きは東京都でも見られる。
 東京都では、卒・入学式において教職員が「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱するよう義務づけた「10・23通達」(03年)以降、校長の職務命令に従わなかったとして、のべ478人の教職員が処分されている。
 東京都立石神井特別支援学校に勤務する田中聡史さん(48歳)は、卒・入学式の「君が代」斉唱時に起立斉唱しなかったとして、10回連続で処分を受けてきた。処分内容は3回目までは戒告、4回目以降は減給10分の1(一ヶ月)が続いている。
 ◆ 途絶えた連続処分
 今年度の卒業式。田中さんは小学部3年生の担任だったが、小学部1年から3年生は式には出席せず、教室で活動することになった。これは「田中はずし」ではないのか。
 校長は「校内の人事だ」と説明したが、田中さんは疑っている。都立高校の現場では不起立する教師を3年生の担任にはしない傾向にあるからだ。
 田中さんは「実は、16年4月の入学式も2、3年生は参列しなかった。(10・23通達以降)被処分者がわたし1人の年もあったが、16年度の入学式ははじめて被処分者がゼロになった。節目を感じる」と話す。
 田中さんが、東京都を相手に処分の取り消しを求めた東京「君が代」裁判第4次訴訟は3月15日、東京地裁で結審した。4次訴訟の原告は14人。田中さんを含む7人が現職の教師だが、学校現場は「10・23通達」後に採用された教師が多数を占め、強権的支配への迎合が進んでいる。
 それは子どもにも影響する。田中さんは16年3月、元気に「君が代」を歌う卒業生を目の当たりにした。体験したことのない光景だった。
 安倍政権は、保育所の保育指針改定案に、「国旗」「国歌」に「親しむ」との文言を盛り込んだ。幼稚園の教育要領に合わせたかたちだ。
 安倍晋三首相の妻が講演した「森友学園」の幼稚園では、園児に「教育勅語」を暗唱させていた。幼保の段階から「日の丸・君が代」や「愛国心」の刷り込みがはじまろうとしている。
 田中さんは「京都では1950年代、天皇を駅から御所まで送るのに小学生が沿道で『日の丸』を振らされた。なぜ『日の丸・君が代』に抵抗する人が少数派なのか。教育の戦争責任を戦後も批判しきれずに、今に至っているからだ。少数者として問い続けていきたい」と語る。
 少数派の闘いは続く。

『週刊金曜日 1130号』(2017.3.31)

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