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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京都総合防災訓練における自衛隊と子どもの危ない関係

2017年04月09日 | 平和憲法
  《子どもと教科書全国ネット21ニュース》
 ◆ 子どもたちが狙われている
   ~東京都総合防災訓練における自衛隊の接触の例
渥美昌純 米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会

 「ビッグレスキュー東京2000~首都を救え~」を覚えているだろうか。
 総理大臣が緊急災害対策本部長として参加。内閣安全保障・危機管理室を中心に警察庁、防衛庁(当時)などが訓練支援という形で実施。銀座で装甲車が走り、全線開通前の都営大江戸線に自衛隊員が乗った訓練と言えば思い出す人もいるだろう。
 これ以降も23区と三多摩が一年交替で東京都・○○市(区)総合防災訓練として9月第1週または8月第4週の休日に開催されてきた。
 訓練内容はガレキで通行できない主要幹線道路を通行できるようにする道路啓開訓練、山間部の土砂災害と孤立集落のヘリコプター支援訓練など地域性を考慮、自らの身を守る自助や住民やボランティアなど地域の助け合いで守る共助の要素を強め、行政等による支援である公助を弱める方向で進んでいる。
 そのため陸・海・空の三自衛隊が約7100人参加した2000年総合防災訓練と比べ2016年総合防災訓練は約100名と自衛隊の参加は大幅に減少。にもわらず毎年自衛隊が参加する理由は何か。
 そもそも東京都と各自治体が連携と言いながら、都立高校の生徒参加が中心で、市区町村の小学校や中学校の参加は多くない。
 市区町村の小学校や中学校の参加手順は以下になる。
 まず、総合防災訓練担当の東京都総務局から東京都教育委員会教育長に対し「○○年度東京都・○○市(区)合同総合防災訓練への小・中学校への児童・生徒の参加等について(依頼)」が出る。
 その後、都教育委員会教育長が各市区町村教育委員会に対し同様の依頼文を出す。これを受け各教育委員会が地域小中学校に対し要請する形である。
 だから直接に東京都の防災担当局から各小学校・中学校に参加要請するという形ではない。
 従って各自治体の判断で小学生や中学生が参加するかどうかが決定され、参加しない例が多い中、参加した具体例が2015年の東京都・立川市合同総合防災訓練である。
 2015年の東京都総合防災訓練は東京、埼玉、千葉、神奈川、横浜、川崎、千葉、さいたま、相模原で構成される九都県市合同防災訓練を兼ね、開催は9月1日火曜日である。そのため町会や商店会から多くの参加者を見込めない。
 九都県市防災訓練は総理大臣が参加し講評を行う。だから主催者は見学者や参加者を増やさなければと考え、いつもの都立高校生徒への協力だけでなく、自治体を通じての公立小学校や中学校への協力要請を強めるに違いない。
 自治体は安全保障関連法可決前で政治的な混乱を理由に参加を断ることはせず協力するだろうと推測した。
 当日までの流れは事前に私たちが推測した方向に進んだ。それどころか当日には私たちが予測していない事態まで発生してしまった。
 東京都総務局長から東京都教育委員会教育長へ『平成二七年度東京都・立川市合同防災訓練への都立学校生徒の参加等について(依頼)』が出されたのは3月12日。
 これを受け東京都教育委員会教育長比留間英人名で関係都立学校校長と各区市町村教育委員会教育長に『平成二十七年度東京都・立川市合同総合防災訓練への参加協力について(依頼)』が提出されたのは3月27日。
 ここまでは例年通りであったが、この後が違う。

 東京都総務局総合防災部防災対策課長と立川市市民生活部課長名で5月12日に第四中学校校長、第六中学校校長、大山小学校校長に対し『平成二十七年度東京都・立川市合同総合防災訓練への参加協力について(依頼)』が出され、5月14日には第二小学校校長に対し『平成二十七年度東京都・立川市合同総合防災訓練への参加協力について(依頼)』が出された。
 その結果、都立高校の生徒だけでなく、立川市の公立小学生や中学生も多く参加した。
 内訳は第二小学校の2年生が89名。
 大山小学校の4年・5年・6年の94名。
 第四中学校の2年生が138名。
 第六中学校の2年生103名の合計424名である。

 これ以前で公立小学校、中学校の児童生徒の参加人数が一番多かったのは東日本大震災翌年の2012年の東京都・目黒区合同防災訓練の小学生87名、中学生42名の合計129名であり、それと比較して約三倍の児童、生徒の参加であり、いかに今回の児童、生徒の参加が突出したかが分かるだろう。
 ◆ 防災訓練=総合学習=遠足、見学
 しかも当初は、東京都総合防災訓練への参加は総合学習の時間と説明したが、小学校低学年に総合学習の時間を使うのはおかしいと指摘したら、今度は遠足・見学を使うなど参加のためになりふり構わない姿勢をとった。
 その上、訓練当日、第二小学校の児童が陸上自衛隊練馬駐屯地の第一普通科連隊が展示していた軍事用車両に乗り込むという前代未聞の事態まで発生した。
 そもそも軍事用車両に乗り込んだ小学二年生に自衛隊が合憲か違憲かを巡って論争が起き、自衛隊合憲判決は一度も出たことがない事実を理解しているとは思えない。
 また自衛隊の位置づけが変化している時に自衛隊車両に乗り込む政治的影響力に思いが至らない。
 ここまで教育現場に警戒感がないのかと愕然とした。

 訓練終了後、実行委と立川自衛隊監視テント村連名による「立川市は、児童・生徒の自衛隊車両への搭乗やマスコットとの触れあいを、今後も防災訓練等で行うのか」との質問に対し、立川市長清水庄平名で「通常の立川市単独で行う総合防災訓練では、考えておりません」と否定したものの、「今回の児童・生徒の自衛隊車両への搭乗やマスコットの触れ合いは、「展示の見学」の一環なのか、位置づけを明らかに」との質問には、「総合防災訓練の中の展示・体験訓練の一環」と回答しており、今後も教育現場の判断一つで同様な事態がおこる可能性は否定出来ない。
 2016年は東京都が九都県市の幹事でなく、九月第一日曜日に防災訓練を実施した。
 前年のように地域の小学校・中学校に協力依頼を出し、児童・生徒が大量に参加するかもとの不安は危惧に終わった。
 学校単位の協力依頼でなく、地域町会、商店街などを使う形で、自衛隊の参加も炊き出しへの参加、展示ブース脇の車両展示など目立った変化はなかったが、展示ブースの前に「自衛隊東京地方協力本部新小岩募集案内所」の看板を出したことが気になった。
 東京地方協力本部とは都及び都民の総合的な案内の担当であり、募集課の役割は自衛官の募集業務を実施することにある。新小岩募集案内所は訓練会場の葛飾区及び江戸川区の担当である。
 これらから総合防災訓練の参加にかこつけ自衛隊へのリクルートを進めるのが展示ブースを出した真の目的ではないか。
 安全保障関連法案「施行」を受け、自衛隊の隣員募集は一段と困難を迎えていると言われる。その穴埋めとして防災訓練を通じ自衛隊が教育現場への関わりを強める危険性はないのか。
 「教え子を戦場に送るな」はスローガンなのか,それとも実行されるのか。教育現場だけでなく地域住民も注目する必要があろう。(あつみまさずみ)
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 112号』(2017.2)

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