2017年8月8日
大阪府教育庁教育長 向井正博 様
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会
◎ 大阪府教育庁による森友学園の「認可責任」を問う質問書
5月18日、貴教育庁と私たちの間で「団体協議」を行いました。その後、私たちの新たな質問書に対して、6月16日、貴教育庁は「回答」を行いました。しかし、「回答」では、貴教育庁・大阪府私学審議会(私学審)が「小学校審査基準」を満たしていない森友学園を「認可相当」とした経緯と責任について明確に答えるものではありませんでした。7月10日には、大阪府議会で籠池氏の参考人招致が行われ、籠池氏の新たな証言もでています。それを踏まえ、改めて貴教育庁に森友学園の「認可責任」を問う質問書を提出します。具体的な回答を求めます。
【1】塚本幼稚園の「教育勅語」教育について
(1)5月18日に行われた私たちとの「団体協議」において、貴教育庁は、塚本幼稚園の「教育勅語」教育について幼稚園側に「確認はした」が、「指導はしていない」(2017年2月段階)と回答しました。さらには、塚本幼稚園の「教育勅語」教育の実態について「10年前から知っていた」とも回答しました。
貴教育庁は、塚本幼稚園の「教育勅語」教育がマスコミ等から厳しく批判される前からその実態を把握しておきながら、なぜ、指導をしてこなかったのか明らかにしてください。
(2)貴教育庁は、塚本幼稚園での「教育勅語」教育について、文科省に確認し「教育勅語の効力は1948年に失われているが、道徳心を養うということは重要であり、目的や効果に照らして、幼稚園の設置者が十分に考慮して、建学の精神に従って活用してもらうことには問題ない」と返答があったことを回答しました。しかし、文科省に確認したところ、問い合わせの「記録さえない」との回答でした。
いつ、誰から、どのような形で返答をもらったのか、明らかにしてください。また、貴教育庁の問い合わせ記録等の提出を求めます。
(3)貴教育庁は、「教育勅語を唯一の価値観だとするような指導をするのは不適切である」と回答しています。言うまでもなく教育勅語は、1948年の衆参両院での失効・排除決議によってその指導原理性は全面的に否定され、廃棄を最終的に確認しました。「唯一の価値観」でなければ教育勅語を指導原理とする教育が可能であるかのような貴教育庁の回答は、歴史的事実をねじ曲げるものと言わざるを得ません
。そこであらためて質問します。貴教育庁は、教育勅語を「唯一の価値観」ではなく、多様な価値観の一つとしてであれば、学校での指導原理になると考えていますか。
【2】塚本幼稚園でのヘイト文書の訴えに対する対応について
(1)貴教育庁は「団体協議」(5.18)の場において、「保護者が来られたら速やかに事実確認している」と回答しました。
しかし、2016年12月12日、塚本幼稚園の保護者からヘイト文書の抗議があったにもかかわらず、貴教育庁は12月20日に初めて塚本幼稚園HPで文言を確認し、21日に塚本幼稚園に電話し、翌月の1月12日に塚本幼稚園を訪問しています。その間、12月22日には、森友学園の「認可問題」を審議する私学審が開催されています。その場において、事務局からは保護者の申し出について一切報告しませんでした。
私学審委員からの質問に対しても事務局は「今事実を確認している段階で、事実として確定しているわけではないので、今日の段階ではお出ししていない」と発言しています。さらに私学審委員が「何年かの間に退園された保護者の方から、私学審とか幼稚園連合会にかかってきた電話が1件や2件ではないというのも事実です」と発言すると、事務局は「件数的には同じ方がかけてきている」「私どもで調べたのは2年間で、それ以前は事実として確認していません」と発言しました。
これらの事務局の対応と発言は、あまりにも保護者の申し出を軽視しているとしか考えられません。なぜ、12月22日の私学審に報告するために、早急に調査をしなかったのか、明らかにしてください。
(2)貴教育庁は「団体協議」(5.18)の場において、塚本幼稚園側の言い分を聞くだけで、保護者からの聞き取りは「行っていない」と発言しました。なぜ、保護者からの聞き取りを行わなかったのか明らかにしてください。
児童虐待など保護者からの申し出があった場合、貴教育庁では通常、園・学校側からの言い分を聞くだけで、保護者・子どもからの聞き取りはしないのでしょうか。
【3】私学審による「認可相当」判断について
森友学園は、小学校設置「申請」を行ったとき、小学校用地を自己所有していませんでした。これは明白な「小学校設置審査基準」に反しています。
しかし、貴教育庁は「(土地所有の)相当程度の確実性がある」と判断し、「認可要件を満たす」としました。これは、規則や法令に厳格なはずの行政の取る態度としては、あまりにも不可解です。そこで、以下の点について具体的な回答を求めます。
(1)貴教育庁が「相当程度の確実性がある」と判断した根拠を具体的に明らかにしてください。2017年3月23日の大阪府議会参考人質疑で私学審梶田叡一会長は「国からの確約」とも発言しています。どのような「確約」があったのか具体的に明らかにしてください。「確約」の根拠となる事実の提示も求めます。
(2)「審査基準」や「認可要件」は明文化されたものであり、その適用は透明性と公平性、厳格性に基づいて行わなければなりません。適用のあいまいさは、そく便宜供与の疑いに発展しかねません。
「相当程度の確実性」という将来の見込みにもとづいて、「認可要件を満たす」と判断することは、行政手続きとして適当なのでしょうか。また、このような前例はあったのでしょうか。
【4】森友学園の「認可相当」判断への政治家・首長の関与について
(1)4月6日、貴教育庁は、認可申請に関して4件の政治家からの「問い合わせ」を認めています。中でも中川隆弘府議(大阪維新の会)は、籠池理事長(当時)から要請を受けて、2015年1月、私学課に対して認可手続きの進捗状況と臨時審議会の日程を問い合わせ、その内容を籠池理事長に伝えています。
中川府議の問い合わせ日時と内容、事務局からの回答について、具体的に明らかにしてください。問い合わせ記録などの公開も求めます。
(2)平沼赳夫衆院議員(当時、日本維新の会国会議員団代表)が、森友学園が認可申請を出す前に、私学課に「クレーム」をつけていました。その内容について、私学課職員は「学園の理事長に対する職員の対応が悪い」という内容だったとしています。
平沼議員の問い合わせ日時と内容、事務局からの回答について、具体的に明らかにしてください。平沼議員の問い合わせ記録と私学課職員への聞き取り記録の公開も求めます。
(3)報道では、安倍昭恵夫人は塚本幼稚園で講演し「安倍晋三から」と100万円を寄付したとされる2015年9月5日の前日、奈良学園大学で梶田叡一私学審会長と同席していたことが指摘されています。
これは事実なのでしょうか。昭恵氏と梶田氏とはどのようなやり取りをしたのか、明らかにしてください。
(4)7月10日の大阪府議会参考人質疑の中で籠池氏は、私学の設置基準緩和について「大阪府は当時、規制緩和がまだ行われていなかった。文科省に問い合わせ全国の資料を集めた。が、3年間大阪府は動かなかった。そのころ東徹府議会議員(当時)をとおして(府に)お願いした。」と発言しています。
小学校設置基準の緩和に関して、東議員から問い合わせなどはあったのでしょうか。あったのなら、どのような内容だったのでしょうか。
(5)籠池氏は参考人質疑の中で、「畠成章先生には『大江生活文化部長、総務部長に話して置く。松井君にも言っておく』と言われた」と発言しています。
この発言のように畠府議(当時)から大阪府行政サイドや松井知事に対して、働きかけ、問い合わせなどがあったのかどうか、明らかにしてください。
以上
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