《月刊救援から》
◆ 辺野古NOの民意は揺るぎない!
機動隊派遣違法訴訟は不当判決
◆ 総選挙の結果は「引き分け」
一〇月三一日行われた総選挙では、自民・公明が議席数を大きく減らしたものの過半数を維持し、期待された政権交代は実現しなかった。
「辺野古新基地建設」が初めて争点となった今回の選挙では、市民連合と政策協定を結んだ立民、共産、社民などは反対を明確に掲げたが、自民、公明、維新は推進、国民はあいまいな態度を示すなど、各党の姿勢が問われた。
沖縄では、1、2区で辺野古新基地建設に反対する候補が当選したが、3、4区で自民が議席を取り、「引き分け」となった。
「オール沖縄会議」から保守の金平グループが撤退したことなどが影響したのだろうか?岸田政権は、過半数を取ったことで「辺野古基地建設が支持された」として今後更に強硬な施策を打ってくるのではないか。
辺野古新基地NO!の民意は変わらない。十分な警戒と批判が必要だ。
◆ 名古屋高裁判決から大きく後退した東京高裁判決
一〇月二九日には、五年前の二〇一六年七月に沖縄・高江での米軍ヘリパッド建設強行のため警視庁機動隊を派遣した違法性を問う住民訴訟の高裁判決が行われた。
同訴訟の第一審は、建設現場である北部訓練場Nーゲート前にあった現地住民のテントと車を撤去したことを違法と認定しながらも派遣自体は適法だという矛盾した判断だった。
しかし高裁判決は、被告・東京都や当時の警備部長で現警視庁副総監が証人尋問でその違法認定に反論すらしなかったにもかかわらず、敢えて違法性はなかったと言及、警視庁・都の主張に全面的に従属する不当判決だ。
一〇月七日には、愛知県警機動隊の派遣を問う訴訟で名古屋高裁が、派遣決定手続きに違法性があったとして、当時の県警本部長に派遣費用を賠償させるよう愛知県に求める判決を行った。
そこでは、Nーゲート前のテントと車を撤去した点も違法と指摘しており、派遣自体は合法としたものの画期的な判決だ。
東京高裁の判決は、そこからも大きく後退した、まさに司法の国に対する政治的色彩を帯びた「忖度判決」だ。
◆ 八月に強行されたサンゴの移植に早くも危機的な結果
一方、玉城デニー知事の「許可」条件を踏みにじって八月に強行された、大浦湾に生息するサンゴの移植については早くも危機的な結果が発生している。
一〇月一五日、日本自然保護協会とヘリ基地反対協議会が移植地点を潜水して調べたところ、辺野古漁港沖合の岩場に移植されたサンゴは全体が砂や土砂をかぶり、一部が死んでいたという。
工事の影響かどうかは断定できないとしているが、元々生存率二割と言われ、移植先の環境影響予測もしていない杜撰さが原因ではないだろうか。
一〇月二一日には、沖縄県から意見照会を受けていた日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会が、「高水温期の移植は避けるべきだ」と回答していた。
防衛局は「専門家の助言を踏まえて適切に実施している」というが、実際には、サンゴの専門家のいない「環境監視等専門委員会(委員長・中村由行・横浜国立大学大学院元教授)」という御用学者集団が「助言」していただけだ。
◆ 資料提出要求も無視し、協議も行わないまま着工に踏み切った美謝川の水路切り替え工事
一〇月一日には、埋め立てに伴う美謝川の水路切り替え工事が着工された。辺野古ダムを経て大浦湾にそそぐ美謝川の水路を北側に大きく変更する工事は、多様性に富む大浦湾の生態系への影響も大きい。
新基地容認の渡具知市長は「協議は不要」と判断を放棄。
県は、防衛局が提出した林地開発協議書に不備があると、資料提出を求めたが、防衛局はこれを無視し、協議も行わないまま、着工に踏み切ったのだ。
どこまでも傲慢で民主主義住民の声を無視するしか能のない防衛官僚の醜い姿だ。
◆ 相次ぐPFASの流出に頬被りする米軍
また、米軍から流出した、泡消火剤に含まれる発ガン性物質である有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の影響が広がっている。
米軍キャンプハンセンのある金武町で昨年六月実施した水質調査で、国が定めた暫定指針値・目標値(一リットル当たり五〇ナノグラム)以上のPFASが検出されていたことが一〇月一日分かった。
町は上流部の地下水源二か所での取水を止めたとするが、約一〇日間放置しており、また現在まで公表していなかった。
キャンプハンセンには三〇年以上前から一〇〇%県水道局の水道水が提供されており、町の隠蔽体質と米軍優先の姿勢に批判が高まっている。
相次ぐPFASの流出に対して米軍は明確な証拠を示さないまま関与を否定し、立ち入り検査すら認めない。
基地周辺の住民の健康、生活が脅かされている事態が続いているにも関わらず、国・防衛省は形式的な「照会」をするだけで、強く米軍に抗議・情報開示要求をしない。
いつまで米軍に従属した植民地根性に毒されているのか。
◆ 大幅設計変更への玉城デニー知事の「不承認」の行方
注目されている、大幅設計変更への玉城デニー知事の「不承認」は、県の部暑で慎重に検討されていると言われるが、判断が遅いことを捉えて国土交通相から「是正指示」が出されたり、国・防衛局から「不作為の違法確認訴訟」を起こされる可能性がある。
これまでいくつもの訴訟で行政・立法の暴走をチェックする役割を放棄し、国策に従属した判断を下してきた司法は、またもや地方自治、住民の意思を踏みにじるのだろうか。
「不承認」を決定したとしても、「私人」に成りすまして、行政不服審査を請求し、知事の決定を覆す可能性もある。
いずれの判断が出ようとも、「辺野古新基地建設にNO!」という沖縄の人々の意思を支持し、支え、「本土」の責任ある闘いを進めていかなくてはならない。情勢は大きな岐路を迎えている。
◆ オール沖縄会議による「ブルーアクション」
緊急事態宣言も明けた沖縄現地ではオール沖縄会議による「ブルーアクション」が開始された。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1396177.html
東京でも、この動きに連携した沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック呼びかけのスタンディングが第一土曜日の午後一一時から新宿南口で行われる。
岸田政権による暴走を食い止める「本土」での粘り強い闘いが求められている。
『月刊救援 631号』(2021年11月10日)
◆ 辺野古NOの民意は揺るぎない!
機動隊派遣違法訴訟は不当判決
中村利也/辺野古への基地建設を許さない実行委員会
◆ 総選挙の結果は「引き分け」
一〇月三一日行われた総選挙では、自民・公明が議席数を大きく減らしたものの過半数を維持し、期待された政権交代は実現しなかった。
「辺野古新基地建設」が初めて争点となった今回の選挙では、市民連合と政策協定を結んだ立民、共産、社民などは反対を明確に掲げたが、自民、公明、維新は推進、国民はあいまいな態度を示すなど、各党の姿勢が問われた。
沖縄では、1、2区で辺野古新基地建設に反対する候補が当選したが、3、4区で自民が議席を取り、「引き分け」となった。
「オール沖縄会議」から保守の金平グループが撤退したことなどが影響したのだろうか?岸田政権は、過半数を取ったことで「辺野古基地建設が支持された」として今後更に強硬な施策を打ってくるのではないか。
辺野古新基地NO!の民意は変わらない。十分な警戒と批判が必要だ。
◆ 名古屋高裁判決から大きく後退した東京高裁判決
一〇月二九日には、五年前の二〇一六年七月に沖縄・高江での米軍ヘリパッド建設強行のため警視庁機動隊を派遣した違法性を問う住民訴訟の高裁判決が行われた。
同訴訟の第一審は、建設現場である北部訓練場Nーゲート前にあった現地住民のテントと車を撤去したことを違法と認定しながらも派遣自体は適法だという矛盾した判断だった。
しかし高裁判決は、被告・東京都や当時の警備部長で現警視庁副総監が証人尋問でその違法認定に反論すらしなかったにもかかわらず、敢えて違法性はなかったと言及、警視庁・都の主張に全面的に従属する不当判決だ。
一〇月七日には、愛知県警機動隊の派遣を問う訴訟で名古屋高裁が、派遣決定手続きに違法性があったとして、当時の県警本部長に派遣費用を賠償させるよう愛知県に求める判決を行った。
そこでは、Nーゲート前のテントと車を撤去した点も違法と指摘しており、派遣自体は合法としたものの画期的な判決だ。
東京高裁の判決は、そこからも大きく後退した、まさに司法の国に対する政治的色彩を帯びた「忖度判決」だ。
◆ 八月に強行されたサンゴの移植に早くも危機的な結果
一方、玉城デニー知事の「許可」条件を踏みにじって八月に強行された、大浦湾に生息するサンゴの移植については早くも危機的な結果が発生している。
一〇月一五日、日本自然保護協会とヘリ基地反対協議会が移植地点を潜水して調べたところ、辺野古漁港沖合の岩場に移植されたサンゴは全体が砂や土砂をかぶり、一部が死んでいたという。
工事の影響かどうかは断定できないとしているが、元々生存率二割と言われ、移植先の環境影響予測もしていない杜撰さが原因ではないだろうか。
一〇月二一日には、沖縄県から意見照会を受けていた日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会が、「高水温期の移植は避けるべきだ」と回答していた。
防衛局は「専門家の助言を踏まえて適切に実施している」というが、実際には、サンゴの専門家のいない「環境監視等専門委員会(委員長・中村由行・横浜国立大学大学院元教授)」という御用学者集団が「助言」していただけだ。
◆ 資料提出要求も無視し、協議も行わないまま着工に踏み切った美謝川の水路切り替え工事
一〇月一日には、埋め立てに伴う美謝川の水路切り替え工事が着工された。辺野古ダムを経て大浦湾にそそぐ美謝川の水路を北側に大きく変更する工事は、多様性に富む大浦湾の生態系への影響も大きい。
新基地容認の渡具知市長は「協議は不要」と判断を放棄。
県は、防衛局が提出した林地開発協議書に不備があると、資料提出を求めたが、防衛局はこれを無視し、協議も行わないまま、着工に踏み切ったのだ。
どこまでも傲慢で民主主義住民の声を無視するしか能のない防衛官僚の醜い姿だ。
◆ 相次ぐPFASの流出に頬被りする米軍
また、米軍から流出した、泡消火剤に含まれる発ガン性物質である有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の影響が広がっている。
米軍キャンプハンセンのある金武町で昨年六月実施した水質調査で、国が定めた暫定指針値・目標値(一リットル当たり五〇ナノグラム)以上のPFASが検出されていたことが一〇月一日分かった。
町は上流部の地下水源二か所での取水を止めたとするが、約一〇日間放置しており、また現在まで公表していなかった。
キャンプハンセンには三〇年以上前から一〇〇%県水道局の水道水が提供されており、町の隠蔽体質と米軍優先の姿勢に批判が高まっている。
相次ぐPFASの流出に対して米軍は明確な証拠を示さないまま関与を否定し、立ち入り検査すら認めない。
基地周辺の住民の健康、生活が脅かされている事態が続いているにも関わらず、国・防衛省は形式的な「照会」をするだけで、強く米軍に抗議・情報開示要求をしない。
いつまで米軍に従属した植民地根性に毒されているのか。
◆ 大幅設計変更への玉城デニー知事の「不承認」の行方
注目されている、大幅設計変更への玉城デニー知事の「不承認」は、県の部暑で慎重に検討されていると言われるが、判断が遅いことを捉えて国土交通相から「是正指示」が出されたり、国・防衛局から「不作為の違法確認訴訟」を起こされる可能性がある。
これまでいくつもの訴訟で行政・立法の暴走をチェックする役割を放棄し、国策に従属した判断を下してきた司法は、またもや地方自治、住民の意思を踏みにじるのだろうか。
「不承認」を決定したとしても、「私人」に成りすまして、行政不服審査を請求し、知事の決定を覆す可能性もある。
いずれの判断が出ようとも、「辺野古新基地建設にNO!」という沖縄の人々の意思を支持し、支え、「本土」の責任ある闘いを進めていかなくてはならない。情勢は大きな岐路を迎えている。
◆ オール沖縄会議による「ブルーアクション」
緊急事態宣言も明けた沖縄現地ではオール沖縄会議による「ブルーアクション」が開始された。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1396177.html
東京でも、この動きに連携した沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック呼びかけのスタンディングが第一土曜日の午後一一時から新宿南口で行われる。
岸田政権による暴走を食い止める「本土」での粘り強い闘いが求められている。
『月刊救援 631号』(2021年11月10日)
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