★ 教科書展示会に行き、市民アンケートにあなたの意見を書いてください
大阪の会の伊賀です。
今年の中学校道徳教科書採択に関する教科書展示会が開かれています。
自治体によっては、7月上旬までのところがありますので、確認の上ぜひ行ってください。その際は、
* 採択してはならない教科書名と、採択してほしい教科書名を、理由と共にはっきり書いてください。
* 道徳教科書は文科省が定めた22の徳目の習得を目的にして作成されているため、どの教科書も問題があります。この資料では、特に問題のある教材と、「人権・平和・共生」の観点から比較的良い教材をあげました。教科書を見る際の参考にしてください。
* 自己評価の問題も含め、ご自分の視点で詳しく吟味し、よりましな教科書を選んでください。
また、この間、日本教科書が検定申請中に教育再生首長会議で不公正な宣伝活動を行っていたことも明らかになっています。
不公正な宣伝活動を行った日本教科書を採択しないように求める声も届けてください。
詳しくは、大阪の会ブログをみて下さい。
https://blog.goo.ne.jp/text2018
今年の中学校道徳教科書採択に関する大阪府内の教科書展示会の日程表です。
大阪府教科書センターへリンク
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/kyoukasyosenta/index.html
*************************************
1 特に問題があるのが<日本教科書>と<教育出版>
(1)<日本教科書>
育鵬社の歴史・公民教科書を作成した日本教育再生機構理事長の八木秀次氏が立ち上げた出版社で、自ら代表に就任したが、その後、代表は武田義輝氏に交代。武田義輝氏は晋遊舎会長を兼ねており、両社は事実上一体の会社。晋遊舎はヘイトスピーチ本『マンガ嫌韓流』や児童ポルノ本で知られた出版社。道徳教育を語る資格があるのか? 現在、HPでは代表が上間淳一氏になり、晋遊舎隠しがおこなわれているが、武田氏は今も代表のまま。
(2)<教育出版>
小学校道徳教科書同様、日本会議系の道徳学者として知られる貝塚茂樹氏、柳沼良太氏が中心で作成している。貝塚茂樹氏は育鵬社の道徳教科書パイロット版で、戦前の教育勅語教育を全面賛美している人物。
2 各社の問題のある教材
<日本教科書> 人権侵害が顕著。
○ 1年P.92「永久欠番42」 黒人初の大リーガーとなったロビンソンの契約条件は、差別をうけても「やり返さない勇気」を持つことだった。差別する側のことは問わず、差別される側が努力して自分の価値を認めさせることによってしか差別はなくならないと教えている。人種差別撤廃条約の理念を真っ向から否定。
○ 1年P.141「銅像が教えてくれたこと」 日清戦争・朝鮮侵略の中心人物であった陸奥宗光を郷土の偉人として教える。
○ 2年P.8 「14歳の責任」 14歳からは刑事責任能力が問われると罰則を強調。イジメで被害生徒を自殺させた場合、少年院送り、地元では針のむしろ、賠償金の支払いは一生続くと脅しつける。これが“心を育てる道徳教育”といえるのか?
○ 2年 P.54「雨の日のレストラン」 長時間労働の肯定。忙しいのは自分だけではないと知り、友人たちとの会食のあと、また会社へもどって働く若者の話。
○ 2年 P.92「キスからもらった勇気」 1919年、シベリアのポーランド孤児を日本で治療したという美談。同じころ、日本軍はシベリアのイワノフカ村で民間人を虐殺していたが、都合の悪いことは書かない。
○ 2年 P.152「込められた想い 和解の力」 安倍首相のホノルル演説(2016.12.27)。日米ともに謝罪のないきれいごとの演説を美化。現職首相の演説を載せているのは日本教科書だけ。森友・加計問題で関与を疑われている現職政治家を載せるのは不適切。
○ 3年 P.78 「自分が好きですか」 統計を見せて、外国に比べて日本の若者の自己肯定感が低いのはなぜかと問う。保守派の場合は、日本に誇りを持たせる教育が行われていないせいだと強引に結論付けるために利用する。
○ 3年 P.100「ライフ・ロール」 結婚した女性は、たとえ仕事をもっても家庭を優先すべきと教える男女の役割分業・女性差別の教材。
<教育出版> 偉人伝が多く、日本自慢の教材が多いのは小学校と同じ。
(1)各学年の巻末に47都道府県にゆかりのある偉人とその言葉を紹介。戦国武将、勤王の志士など、子どもたちのロールモデルにはふさわしくない人物が多い。
・戦国武将―伊達政宗、大友宗麟、上杉謙信、武田信玄、織田信長、徳川家康、毛利元成、前田利家、石田三成、加藤清正、真田幸村
・勤王の志士―吉田松陰、橋本左内、高杉晋作、坂本龍馬、西郷隆盛、大隈重信 戦国武将は下剋上と戦争・殺戮・略奪にあけくれ、勤王の志士はテロを辞さなかった。
子どもたちに最も伝えなければならない「命の大切さ」とは縁遠い人物たち。
(2)特に西郷隆盛を美化―これは小学校道徳教科書も同じ
○ 3年P.164「徳の交わり~西郷どんと菅はん」 もともと武力討幕のために、西郷隆盛が幕府側の庄内藩を挑発したことには触れず、平和的で寛容な政治家として美化。
(3)在日外国人の子どもたちへの配慮がまったくない“自国中心主義・排外主義”
の教材。
○ 3年 P.70「外国人から見た日本人」 日本人のすばらしさを強調。東日本大震災の時の日本人の行動に対する外国人の高い評価(「我慢する精神」「秩序を守る気高い姿」など)を紹介し、最後に「あなたは世界の人たちに胸を張れるどんな人になりたいですか?」と子どもたちに問いかけている。無言のうちに「立派な日本人になれ」と同調圧力をかける教材。こんな教科書は教室では使えない。
○ 3年 P.150「それでも僕は桃を買う」福島県産の桃を避けるのは差別と決めつける。福島原発事故による放射能の危険性についてはいろいろな意見があり、大阪には福島から避難してきている子どももいるのに配慮に欠ける。いじめの原因にもなる。
<学校図書>
全学年で「日本人としての自覚」を強調。愛国主義的傾向が強い。
<東京書籍>
○ 1年 P.17「権利と義務を考えて」 個人の権利より義務の押しつけ。
○ 2年 P.182「郷土のことを考える」 山形県は軍人の工藤俊作
○ 3年 P.113「差別や偏見をなくすために」 第五福竜丸のことを取り上げている。平和教材ではあるが、アメリカの水爆実験による被害ということが明確でなく、差別の問題にされている。
<日本文教出版>
○ 2年 P.120「いじめをなくすために」 罰則を持ち出して子どもを脅す。
<学研教育みらい>
○ 2年 P.83「あなたへの質問」 日本の若者の自己肯定感の低さを強調。
○ 2年 P.44「ヨコスカネイビーパーカー」 軍港横須賀には触れずに、地域起こしを美化。
○ 2年 P.178「声援を力に 第72代横綱稀勢の里」 久々の日本人横綱を強調。現在の相撲界は外国人力士の活躍によって成り立っていることが明確でない。
<廣済堂あかつき>
全体として保守的。文章が長く、1時間内に消化しきれない教材が多い。
3 子どもに数値で自己評価させることの問題
中学校道徳教科書は8社すべてが子どもに自己評価させている。
評価については議論があったものの、文科省は最終的には「道徳に数値評価はなじまない」として文章表記とした。
ところが中学校の学習指導要領・解説では「生徒自身による自己評価」が奨励されているため、日本教科書をはじめとして5社は子どもによる自己評価を数値でさせている。
<第1のパターン> 22の徳目ごとに数値評価―日本教科書、教育出版、廣済堂あかつき
<第2のパターン> 一定の観点を数値評価―東京書籍、日本文教出版
<第3のパターン> 文章で振り返る―光村図書、学研教育みらい、学校図書
日本教科書は特に悪質。
各学年の教科書の最後に「心の成長を振り返りましょう」というページを設けて、22の徳目それぞれをどの程度達成できたか、レベル1からレベル4まで「態度や行動」を自己評価させている。
「愛国心」をどのレベルまで「態度と行動」に現わすことができたかを子どもに問えば、「日の丸」に敬意を表し、「君が代」をしっかり歌うように、目に見える形で表現するように強制することにしかならない。
さらに日本教科書は「理想の人物はだれか、その人物に何パーセント近づいたか」まで書かせている。特定の人物の特定の側面だけを美化した教材を学習させ、その人物をロールモデルにさせるのは、子どもたちの視野をせばめ、一面的な価値観のもとに行動させることにしかならない。
4 各社の「人権・平和・共生」教材は?
<光村図書> 小学校同様、人権教材がもっとも多い。
○ 1年 P.42「私の話を聞いてね」 手に障害を持つアメリカの少女
○ 1年 P.46「ユニバーサルデザイン―誰もが使いやすいものを」
○ 1年 P.143「異文化の人々と共に生きる」
○ 1年 P.148「考えの違いを乗り越える」
○ 1年 P.183「親友」 男らしさ・女らしさ
○ 2年 P.90「アダプテッド・スポーツって何だろう」 個人の条件に合わせたスポーツ
○ 2年 P.135「明日、みんなで着よう」 いじめの被害者への連帯
○ 2年 P.140「アンネのバラ」
○ 2年 P.146「国際人道支援―どんな仕事があるのだろう」 国境なき医師団
○ 2年 P.164「桃太郎の鬼退治」 鬼の立場からも考える
○ 3年 P.60「ぼくの物語 あなたの物語」 人種差別
○ 3年 P.68「世界の子どもたちの状況」
○ 3年 P.94「一票を投じることの意味」 18歳選挙権
○ 3年 P.100「社会の一員として」 年齢ごとに関係してくる権利・法律
○ 3年 P.150「希望の義足」 ルワンダ内戦
○ 3年 P.156「本当に意味のある国際協力とは」
<日本文教出版>
○ 1年 P.62「花火に込めた平和への願い」 ホノルル市と長岡市の交流
○ 2年 P.20「最後のパートナー」 引退盲導犬
○ 2年 P.42「リスペクト アザーズ」 他者の尊重
○ 2年 P.46「人権課題への取り組み」
○ 2年 P.48「戦争を取材する」 戦場カメラマン山本美香
○ 3年 P.122「自分・相手・周りの人」 マタニティマークなど
○ 3年 P.145「さまざまな性」
<東京書籍>
○ 3年 P.144「その子の世界、私の世界」 少年兵、児童労働など
○ 3年 P.151「子どもの権利条約」
○ 3年 P.172「命見つめて」 第二次大戦の被害者の憎しみと許し
<学校図書>
○ 1年 P.6「誰も知らない」 障がい児への偏見
○ 2年 P.172「自分らしい多様な生き方を共に実現させるためにできること」 セクシュアル・マイノリティ
○ 3年 P.36「豊かなれ阿賀の流れよ―新潟水俣病の苦悩をこえて―」
<学研教育みらい>
○ 1年 P.65「ノーマライゼーション」
○ 2年 P.128「ものづくり」 障がい者が使いやすいスプーン
<廣済堂あかつき>
○ 3年 P.96「虹の国―ネルソン・マンデラ―」 アパルトヘイト
*ここにあげた教材はごく一部です。多様な観点から教材を読み、ぜひあなたの意見を教育委員会に届けてください。
大阪の会の伊賀です。
今年の中学校道徳教科書採択に関する教科書展示会が開かれています。
自治体によっては、7月上旬までのところがありますので、確認の上ぜひ行ってください。その際は、
* 採択してはならない教科書名と、採択してほしい教科書名を、理由と共にはっきり書いてください。
* 道徳教科書は文科省が定めた22の徳目の習得を目的にして作成されているため、どの教科書も問題があります。この資料では、特に問題のある教材と、「人権・平和・共生」の観点から比較的良い教材をあげました。教科書を見る際の参考にしてください。
* 自己評価の問題も含め、ご自分の視点で詳しく吟味し、よりましな教科書を選んでください。
また、この間、日本教科書が検定申請中に教育再生首長会議で不公正な宣伝活動を行っていたことも明らかになっています。
不公正な宣伝活動を行った日本教科書を採択しないように求める声も届けてください。
詳しくは、大阪の会ブログをみて下さい。
https://blog.goo.ne.jp/text2018
今年の中学校道徳教科書採択に関する大阪府内の教科書展示会の日程表です。
大阪府教科書センターへリンク
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/kyoukasyosenta/index.html
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★ 2019年度使用、中学校道徳教科書の分析
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
1 特に問題があるのが<日本教科書>と<教育出版>
(1)<日本教科書>
育鵬社の歴史・公民教科書を作成した日本教育再生機構理事長の八木秀次氏が立ち上げた出版社で、自ら代表に就任したが、その後、代表は武田義輝氏に交代。武田義輝氏は晋遊舎会長を兼ねており、両社は事実上一体の会社。晋遊舎はヘイトスピーチ本『マンガ嫌韓流』や児童ポルノ本で知られた出版社。道徳教育を語る資格があるのか? 現在、HPでは代表が上間淳一氏になり、晋遊舎隠しがおこなわれているが、武田氏は今も代表のまま。
(2)<教育出版>
小学校道徳教科書同様、日本会議系の道徳学者として知られる貝塚茂樹氏、柳沼良太氏が中心で作成している。貝塚茂樹氏は育鵬社の道徳教科書パイロット版で、戦前の教育勅語教育を全面賛美している人物。
2 各社の問題のある教材
<日本教科書> 人権侵害が顕著。
○ 1年P.92「永久欠番42」 黒人初の大リーガーとなったロビンソンの契約条件は、差別をうけても「やり返さない勇気」を持つことだった。差別する側のことは問わず、差別される側が努力して自分の価値を認めさせることによってしか差別はなくならないと教えている。人種差別撤廃条約の理念を真っ向から否定。
○ 1年P.141「銅像が教えてくれたこと」 日清戦争・朝鮮侵略の中心人物であった陸奥宗光を郷土の偉人として教える。
○ 2年P.8 「14歳の責任」 14歳からは刑事責任能力が問われると罰則を強調。イジメで被害生徒を自殺させた場合、少年院送り、地元では針のむしろ、賠償金の支払いは一生続くと脅しつける。これが“心を育てる道徳教育”といえるのか?
○ 2年 P.54「雨の日のレストラン」 長時間労働の肯定。忙しいのは自分だけではないと知り、友人たちとの会食のあと、また会社へもどって働く若者の話。
○ 2年 P.92「キスからもらった勇気」 1919年、シベリアのポーランド孤児を日本で治療したという美談。同じころ、日本軍はシベリアのイワノフカ村で民間人を虐殺していたが、都合の悪いことは書かない。
○ 2年 P.152「込められた想い 和解の力」 安倍首相のホノルル演説(2016.12.27)。日米ともに謝罪のないきれいごとの演説を美化。現職首相の演説を載せているのは日本教科書だけ。森友・加計問題で関与を疑われている現職政治家を載せるのは不適切。
○ 3年 P.78 「自分が好きですか」 統計を見せて、外国に比べて日本の若者の自己肯定感が低いのはなぜかと問う。保守派の場合は、日本に誇りを持たせる教育が行われていないせいだと強引に結論付けるために利用する。
○ 3年 P.100「ライフ・ロール」 結婚した女性は、たとえ仕事をもっても家庭を優先すべきと教える男女の役割分業・女性差別の教材。
<教育出版> 偉人伝が多く、日本自慢の教材が多いのは小学校と同じ。
(1)各学年の巻末に47都道府県にゆかりのある偉人とその言葉を紹介。戦国武将、勤王の志士など、子どもたちのロールモデルにはふさわしくない人物が多い。
・戦国武将―伊達政宗、大友宗麟、上杉謙信、武田信玄、織田信長、徳川家康、毛利元成、前田利家、石田三成、加藤清正、真田幸村
・勤王の志士―吉田松陰、橋本左内、高杉晋作、坂本龍馬、西郷隆盛、大隈重信 戦国武将は下剋上と戦争・殺戮・略奪にあけくれ、勤王の志士はテロを辞さなかった。
子どもたちに最も伝えなければならない「命の大切さ」とは縁遠い人物たち。
(2)特に西郷隆盛を美化―これは小学校道徳教科書も同じ
○ 3年P.164「徳の交わり~西郷どんと菅はん」 もともと武力討幕のために、西郷隆盛が幕府側の庄内藩を挑発したことには触れず、平和的で寛容な政治家として美化。
(3)在日外国人の子どもたちへの配慮がまったくない“自国中心主義・排外主義”
の教材。
○ 3年 P.70「外国人から見た日本人」 日本人のすばらしさを強調。東日本大震災の時の日本人の行動に対する外国人の高い評価(「我慢する精神」「秩序を守る気高い姿」など)を紹介し、最後に「あなたは世界の人たちに胸を張れるどんな人になりたいですか?」と子どもたちに問いかけている。無言のうちに「立派な日本人になれ」と同調圧力をかける教材。こんな教科書は教室では使えない。
○ 3年 P.150「それでも僕は桃を買う」福島県産の桃を避けるのは差別と決めつける。福島原発事故による放射能の危険性についてはいろいろな意見があり、大阪には福島から避難してきている子どももいるのに配慮に欠ける。いじめの原因にもなる。
<学校図書>
全学年で「日本人としての自覚」を強調。愛国主義的傾向が強い。
<東京書籍>
○ 1年 P.17「権利と義務を考えて」 個人の権利より義務の押しつけ。
○ 2年 P.182「郷土のことを考える」 山形県は軍人の工藤俊作
○ 3年 P.113「差別や偏見をなくすために」 第五福竜丸のことを取り上げている。平和教材ではあるが、アメリカの水爆実験による被害ということが明確でなく、差別の問題にされている。
<日本文教出版>
○ 2年 P.120「いじめをなくすために」 罰則を持ち出して子どもを脅す。
<学研教育みらい>
○ 2年 P.83「あなたへの質問」 日本の若者の自己肯定感の低さを強調。
○ 2年 P.44「ヨコスカネイビーパーカー」 軍港横須賀には触れずに、地域起こしを美化。
○ 2年 P.178「声援を力に 第72代横綱稀勢の里」 久々の日本人横綱を強調。現在の相撲界は外国人力士の活躍によって成り立っていることが明確でない。
<廣済堂あかつき>
全体として保守的。文章が長く、1時間内に消化しきれない教材が多い。
3 子どもに数値で自己評価させることの問題
中学校道徳教科書は8社すべてが子どもに自己評価させている。
評価については議論があったものの、文科省は最終的には「道徳に数値評価はなじまない」として文章表記とした。
ところが中学校の学習指導要領・解説では「生徒自身による自己評価」が奨励されているため、日本教科書をはじめとして5社は子どもによる自己評価を数値でさせている。
<第1のパターン> 22の徳目ごとに数値評価―日本教科書、教育出版、廣済堂あかつき
<第2のパターン> 一定の観点を数値評価―東京書籍、日本文教出版
<第3のパターン> 文章で振り返る―光村図書、学研教育みらい、学校図書
日本教科書は特に悪質。
各学年の教科書の最後に「心の成長を振り返りましょう」というページを設けて、22の徳目それぞれをどの程度達成できたか、レベル1からレベル4まで「態度や行動」を自己評価させている。
「愛国心」をどのレベルまで「態度と行動」に現わすことができたかを子どもに問えば、「日の丸」に敬意を表し、「君が代」をしっかり歌うように、目に見える形で表現するように強制することにしかならない。
さらに日本教科書は「理想の人物はだれか、その人物に何パーセント近づいたか」まで書かせている。特定の人物の特定の側面だけを美化した教材を学習させ、その人物をロールモデルにさせるのは、子どもたちの視野をせばめ、一面的な価値観のもとに行動させることにしかならない。
4 各社の「人権・平和・共生」教材は?
<光村図書> 小学校同様、人権教材がもっとも多い。
○ 1年 P.42「私の話を聞いてね」 手に障害を持つアメリカの少女
○ 1年 P.46「ユニバーサルデザイン―誰もが使いやすいものを」
○ 1年 P.143「異文化の人々と共に生きる」
○ 1年 P.148「考えの違いを乗り越える」
○ 1年 P.183「親友」 男らしさ・女らしさ
○ 2年 P.90「アダプテッド・スポーツって何だろう」 個人の条件に合わせたスポーツ
○ 2年 P.135「明日、みんなで着よう」 いじめの被害者への連帯
○ 2年 P.140「アンネのバラ」
○ 2年 P.146「国際人道支援―どんな仕事があるのだろう」 国境なき医師団
○ 2年 P.164「桃太郎の鬼退治」 鬼の立場からも考える
○ 3年 P.60「ぼくの物語 あなたの物語」 人種差別
○ 3年 P.68「世界の子どもたちの状況」
○ 3年 P.94「一票を投じることの意味」 18歳選挙権
○ 3年 P.100「社会の一員として」 年齢ごとに関係してくる権利・法律
○ 3年 P.150「希望の義足」 ルワンダ内戦
○ 3年 P.156「本当に意味のある国際協力とは」
<日本文教出版>
○ 1年 P.62「花火に込めた平和への願い」 ホノルル市と長岡市の交流
○ 2年 P.20「最後のパートナー」 引退盲導犬
○ 2年 P.42「リスペクト アザーズ」 他者の尊重
○ 2年 P.46「人権課題への取り組み」
○ 2年 P.48「戦争を取材する」 戦場カメラマン山本美香
○ 3年 P.122「自分・相手・周りの人」 マタニティマークなど
○ 3年 P.145「さまざまな性」
<東京書籍>
○ 3年 P.144「その子の世界、私の世界」 少年兵、児童労働など
○ 3年 P.151「子どもの権利条約」
○ 3年 P.172「命見つめて」 第二次大戦の被害者の憎しみと許し
<学校図書>
○ 1年 P.6「誰も知らない」 障がい児への偏見
○ 2年 P.172「自分らしい多様な生き方を共に実現させるためにできること」 セクシュアル・マイノリティ
○ 3年 P.36「豊かなれ阿賀の流れよ―新潟水俣病の苦悩をこえて―」
<学研教育みらい>
○ 1年 P.65「ノーマライゼーション」
○ 2年 P.128「ものづくり」 障がい者が使いやすいスプーン
<廣済堂あかつき>
○ 3年 P.96「虹の国―ネルソン・マンデラ―」 アパルトヘイト
*ここにあげた教材はごく一部です。多様な観点から教材を読み、ぜひあなたの意見を教育委員会に届けてください。
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