◆ 府教委との交渉で府教委「調査研究」のズサンさが明らかに!
6月23日、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」は、大阪の府立学校における2015年度用教科書の選定と採択に関する府教委交渉を持ちました。大阪の会の呼びかけに集まったのが11名。府教委からは高等学校課から2名。予定時間を大幅に超える2時間30分の話し合いとなりました。
以下、交渉で明らかになったことを報告します。私たちは、この交渉結果に基づき、再質問を府教委に突きつける予定にしています。
1.府教委の「調査研究」の仕方が極めてズサンであることが明らかに!
府教委は、今年度の調査研究対象は635冊(新学習指導要領に基づく教科書)であり、その内、昨年度検定合格した71冊について調査を実施したと回答。
残りは、昨年8月に行った「全冊調査」で調査済みであり、調査の観点も「全冊調査」と同じであると回答しました。来年度以降も同様の調査研究を行っていくことになるとも発言しました。
しかし、交渉の過程で府教委による「調査研究」が極めていい加減な内容で、公平性も公正性も透明性もまったく確保されていないことが明らかとなりました。
府教委は「指導資料等委員会」を設置しているが、調査員は高等学校課と教育センターの指導主事のみとなっています。
その調査方法は、各教科1~3名の調査員が、「課題がある」と考える記述に付箋を貼る(付箋が付けられたのは、11冊13カ所)だけ。高等学校課教務グループが、付箋付きの教科書を教育委員一人一人にに見せて説明するだけ。
「調査」に入って以降、「指導資料等委員会」は一度も開かれておらず、どの教科書の記述に「課題がある」か、集団的な審議を一度も行っていませんでした。
教育委員は、付箋の付いた部分を見て課題があるかどうか意見を述べるだけでした。
教育委員の「課題あり」という意見が多数であれば「課題がある」として集約した。それが,今回の「調査結果」です。教育委員間の議論もありませんでした。
専門的立場からの集団的な調査研究は全く行われていません。あまりにもズサンな調査研究であることは明らかです。
2.府教委の「調査研究結果」も恣意的内容に!
今回の交渉で、最初に府教委側は、実教日本史の「国旗・国歌」記述は、「調査研究の視点」にある「2.特定の事項を特別に強調しすぎている、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げている」に関わっていると回答しました。
しかし、私たちから「7.実際に使用する際、教員や生徒に誤解を招く」に関わっているのではないかと問えば、「そうだ」と回答を修正しました。あまりにも場当たり的な回答でした。
さらに突っ込んで聞けば、府教委は「実教日本史の記述は、職務命令という意味では強制ということになるが、説明が足りない。最高裁判決が明示されていない。」と回答しました。
府教委の昨年の「全冊調査」や今年の「調査研究結果」には、実教日本史が「調査研究の視点」のどこに該当しているから「課題がある」としたのか、全く明らかではありませんでした。今回の交渉によって初めて「2」と「7」に該当していることを明らかにしました。
そこで私たちは、なぜ実教日本史の記述が「2」「7」に該当するのか、追及しました。府教委は、昨年の7月9日に教育振興室長名で校長に出されたメールに書かれていると回答しました。
ここには重大な矛盾があります。このメールは、府教委が組織的に行った調査研究の結果まとめられたものではなく、あくまでも教育振興室長が流した指示文書です。しかも、昨年の「全冊調査」以前に出されているものです。昨年の「全冊調査」は、結局昨年の7月9日メールを追認するために行われたことを自ら暴露することになります。
府教委も、このメールをもって説明できるとするのは「確かにおかしい」と認めざるを得ませんでした。
3.「府教育委員会が通知する調査研究結果を踏まえ」ることを求めることは、校長への強制にならないか。
私たちは「踏まえる」とは、どういうことか追及しました。府教委は「踏まえて」も「参考にする」も同じ意味であると回答しました。しかし、府教委がどんな言葉を使おうが、現在の府教委と校長の関係からすれば、校長への強い圧力になることは明らかです。府教委は、この点について最後まではぐらかしました。各学校からの教科書選定の締め切りは7月23日です。私たちは、府教委の指導が強制にならないように監視を強めなければならないと思いました。
4.採択要領に明記されていた各学校で「教科用図書選定調査委員会」(以下「選定委員会」)の設置する規定の削除は、中原教育長が主導した
昨年度の採択要領から「選定委員会」の文言が消えました。さらに、今年の「教科用図書選定の手引き」からは、「教科担当者全員による協議の上、選定」するとの「留意」事項まで削除されています。
「選定委員会」が削除された経過を質問すれば、府教委は昨年採択方針を決める前に中原教育長が「選定委員会はどういう組織なのか」「校長の権限と責任で行うのであれば、選定委員会の規定をとっても良い」と発言し、原案から消えることになったのです。
府教委は、「各校での調査報告を重視して選定するように通知しているつもり」で、従来の立場と変わらないような発言をしました。そうだとすれば、わざわざ「選定委員会」の規定を削除する必要はありません。今年すぐにできるかどうかは別にして、今後は教科書選定において教員の意見を排除し、校長の独断で決めていく方向性を打ち出したとしか思えません。
5.残された課題
今回の交渉で、府教委は不十分な回答しかできませんでした。少なくとも以下の項目については、再質問をすることを確認しました。私たちは、以下の項目だけでなく、今回の交渉で明らかになった府教委の矛盾点さらに追及する再質問を検討したいと思っています。
(1) 私たちは、「補充教材」について、明らかな事実誤認を含む問題点を指摘しました。「補充教材」の内容が「適切」であるとする根拠について、再回答を求めます。また、「補充教材」の使用報告を求めないように要望します。
(2) 昨年、中原教育長は教科書採択が終わる前に、大阪維新の会府議団の要請に応えて実教日本史を選定している学校の選定資料を開示しました。今年度、同様の要請があった場合、府教委としてどのように対応するつもりですか。
また、府民からの情報公開請求についてどのように対応するつもりですか。府教委として採択前に取得している採択関連資料の情報公開について基本的な考え方を明らかにしてください。
6月23日、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」は、大阪の府立学校における2015年度用教科書の選定と採択に関する府教委交渉を持ちました。大阪の会の呼びかけに集まったのが11名。府教委からは高等学校課から2名。予定時間を大幅に超える2時間30分の話し合いとなりました。
以下、交渉で明らかになったことを報告します。私たちは、この交渉結果に基づき、再質問を府教委に突きつける予定にしています。
1.府教委の「調査研究」の仕方が極めてズサンであることが明らかに!
府教委は、今年度の調査研究対象は635冊(新学習指導要領に基づく教科書)であり、その内、昨年度検定合格した71冊について調査を実施したと回答。
残りは、昨年8月に行った「全冊調査」で調査済みであり、調査の観点も「全冊調査」と同じであると回答しました。来年度以降も同様の調査研究を行っていくことになるとも発言しました。
しかし、交渉の過程で府教委による「調査研究」が極めていい加減な内容で、公平性も公正性も透明性もまったく確保されていないことが明らかとなりました。
府教委は「指導資料等委員会」を設置しているが、調査員は高等学校課と教育センターの指導主事のみとなっています。
その調査方法は、各教科1~3名の調査員が、「課題がある」と考える記述に付箋を貼る(付箋が付けられたのは、11冊13カ所)だけ。高等学校課教務グループが、付箋付きの教科書を教育委員一人一人にに見せて説明するだけ。
「調査」に入って以降、「指導資料等委員会」は一度も開かれておらず、どの教科書の記述に「課題がある」か、集団的な審議を一度も行っていませんでした。
教育委員は、付箋の付いた部分を見て課題があるかどうか意見を述べるだけでした。
教育委員の「課題あり」という意見が多数であれば「課題がある」として集約した。それが,今回の「調査結果」です。教育委員間の議論もありませんでした。
専門的立場からの集団的な調査研究は全く行われていません。あまりにもズサンな調査研究であることは明らかです。
2.府教委の「調査研究結果」も恣意的内容に!
今回の交渉で、最初に府教委側は、実教日本史の「国旗・国歌」記述は、「調査研究の視点」にある「2.特定の事項を特別に強調しすぎている、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げている」に関わっていると回答しました。
しかし、私たちから「7.実際に使用する際、教員や生徒に誤解を招く」に関わっているのではないかと問えば、「そうだ」と回答を修正しました。あまりにも場当たり的な回答でした。
さらに突っ込んで聞けば、府教委は「実教日本史の記述は、職務命令という意味では強制ということになるが、説明が足りない。最高裁判決が明示されていない。」と回答しました。
府教委の昨年の「全冊調査」や今年の「調査研究結果」には、実教日本史が「調査研究の視点」のどこに該当しているから「課題がある」としたのか、全く明らかではありませんでした。今回の交渉によって初めて「2」と「7」に該当していることを明らかにしました。
そこで私たちは、なぜ実教日本史の記述が「2」「7」に該当するのか、追及しました。府教委は、昨年の7月9日に教育振興室長名で校長に出されたメールに書かれていると回答しました。
ここには重大な矛盾があります。このメールは、府教委が組織的に行った調査研究の結果まとめられたものではなく、あくまでも教育振興室長が流した指示文書です。しかも、昨年の「全冊調査」以前に出されているものです。昨年の「全冊調査」は、結局昨年の7月9日メールを追認するために行われたことを自ら暴露することになります。
府教委も、このメールをもって説明できるとするのは「確かにおかしい」と認めざるを得ませんでした。
3.「府教育委員会が通知する調査研究結果を踏まえ」ることを求めることは、校長への強制にならないか。
私たちは「踏まえる」とは、どういうことか追及しました。府教委は「踏まえて」も「参考にする」も同じ意味であると回答しました。しかし、府教委がどんな言葉を使おうが、現在の府教委と校長の関係からすれば、校長への強い圧力になることは明らかです。府教委は、この点について最後まではぐらかしました。各学校からの教科書選定の締め切りは7月23日です。私たちは、府教委の指導が強制にならないように監視を強めなければならないと思いました。
4.採択要領に明記されていた各学校で「教科用図書選定調査委員会」(以下「選定委員会」)の設置する規定の削除は、中原教育長が主導した
昨年度の採択要領から「選定委員会」の文言が消えました。さらに、今年の「教科用図書選定の手引き」からは、「教科担当者全員による協議の上、選定」するとの「留意」事項まで削除されています。
「選定委員会」が削除された経過を質問すれば、府教委は昨年採択方針を決める前に中原教育長が「選定委員会はどういう組織なのか」「校長の権限と責任で行うのであれば、選定委員会の規定をとっても良い」と発言し、原案から消えることになったのです。
府教委は、「各校での調査報告を重視して選定するように通知しているつもり」で、従来の立場と変わらないような発言をしました。そうだとすれば、わざわざ「選定委員会」の規定を削除する必要はありません。今年すぐにできるかどうかは別にして、今後は教科書選定において教員の意見を排除し、校長の独断で決めていく方向性を打ち出したとしか思えません。
5.残された課題
今回の交渉で、府教委は不十分な回答しかできませんでした。少なくとも以下の項目については、再質問をすることを確認しました。私たちは、以下の項目だけでなく、今回の交渉で明らかになった府教委の矛盾点さらに追及する再質問を検討したいと思っています。
(1) 私たちは、「補充教材」について、明らかな事実誤認を含む問題点を指摘しました。「補充教材」の内容が「適切」であるとする根拠について、再回答を求めます。また、「補充教材」の使用報告を求めないように要望します。
(2) 昨年、中原教育長は教科書採択が終わる前に、大阪維新の会府議団の要請に応えて実教日本史を選定している学校の選定資料を開示しました。今年度、同様の要請があった場合、府教委としてどのように対応するつもりですか。
また、府民からの情報公開請求についてどのように対応するつもりですか。府教委として採択前に取得している採択関連資料の情報公開について基本的な考え方を明らかにしてください。
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