◆ 古典の教科書に拉致問題、あるわけないでしょ!
公開議題は今年都議会定例会において可決・成立した都いじめ防止対策推進条例に基づき、都教委が関係する機関(都いじめ問題対策連絡協議会、都教委いじめ問題対策委員会)の規則の制定についてという二つの議案。発言なしで可決された。
報告は
①来年度都立高用教科書の調査研究資料について
②昨年度「都立高校学力スタンダード」推進校の取り組みについて
③特別支援学校における宿泊防災訓練の試行実施について
④小中学校事務共同実施の試行の結果について。
①は、7月から8月にかけて行われる高校教科書採択に当たり、昨年度検定に合格した教科書71点について調査研究した結果を一覧表にまとめたものの報告であった。
専門教科(農業、工業、商業、情報、福祉)を除けば、国語(国語表現 現代文A 古典A 古典B)、理科(生物)、芸術(音楽Ⅲ 美術Ⅲ 書道Ⅲ)、外国語(コミュニケーション英語Ⅱ 英語表現Ⅱ)のみ。他の教科の教科書については、昨年の選定・採択の際に調査研究資料をつくっている。
調査する内容として、「学習指導要領の各教科・科目の目標等を踏まえ」るだけでなく、またもや、特別調査項目「北朝鮮による拉致問題の扱い」「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」「オリンピック、パラリンピックの扱い」を挙げる。
国語、外国語については、すべての教科書について、「北朝鮮による拉致問題の扱い」を調査項目にあげ、「調査の結果、記載のないことを確認した」とある。(当り前だろう!)古典に拉致問題とは、首をかしげてしまう。
理科については、「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」を調査項目にあげ、その扱いがあるのは、実教出版の「生物」のみ。バイオマス燃料についての記載であった。何とも皮肉なことだ。
日本史教科書は昨年、一昨年に教科書検定を終えており、前回6月12日の定例会で、その記述(実教出版:「日の丸・君が代」に関し、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」)に変更がなければ、昨年の「見解」を今年も教育長名で学校に通知することが議決されていた。指導部長は、今日もその確認を繰り返した。「見解」の撤回を求める要請等がたくさん寄せられても、一切の論議、説明をせずに強行するとは、厚顔無恥と言うしかない。
②は、2013年度から2年間、32校を推進校に指定し、学力定着を図るために校内で組織的・効果的な指導・評価を行うという取り組み。
1年間の指導を経て2月、推進校の1年生を対象に、「基礎」「応用」「発展」の3コースに分けて学力テスト(ここでもテスト作りにベネッセが参加)を実施した結果を活用し、今年度は、教材の工夫や放課後及び長期休業中の補習の取り組みをしていること、対象を推進校の1,2年生と全都立校の1年生に拡大すること、等の報告。
委員は、「成績下位層をどうするか」(木村委員長)、「いい大学に入ってもらうのも大事だが、卒業後社会に出る下位層の子の学力も」(竹花委員)と言い、「経済界の期待に応えた素晴らしい取り組み」(遠藤委員)と言う。
次世代リーダー育成道場、国際バカロレア、進学重点校などのエリート育成にはお金をつぎ込む都教委だが、「成績下位層」の子どもの学力を上げるために予算を計上するという話にはならなかった。
学力テストの作成をベネッセと共同でするために不必要なお金を使うだけのことだろう。しかも、補習等に費やす教員の労働強化には一切触れないで、教育委員のほとんどが補習の推進にもろ手を挙げ賛成する始末。
学力をあげることを本気で考えるのであれば、まずは、小学校段階から、「先進国」で一般的となっている15~20人学級を実現することではないのか。
④もひどい話だ。今は小中学校に1校1名の都費の事務職員が配置されている。試行は、数校を一つの単位とし、そのうちの1校を拠点校として、そこに事務職員を集める。その事務職員は、数校の経理・給与・調査事務等を集中処理する。他の学校には支援員(非常勤)を配置し、副校長の補佐や窓口業務に従事させるというものだ。
副校長が調査等の事務に追われ、学校経営等の本来の仕事に力を注げないこと、事務職員が一人職場のため、事務処理のチェック体制が不十分。大量退職により、事務処理ノウハウの継承等が困難というのが、その理由だ。
江東区教委、武蔵村山市教委で昨年度これを試行した結果、成果が上がったので、今後他にも拡大していくという。
これまでは、学校の事情を知る事務職員が職員の声を拾い、学校予算を上手に配分してきたが、そうしたことが不可能になるのではと心配になる。都教委は合理化、効率化による弊害を考えていないのではないか。教育破壊にひた走る都教委である。
『レイバーネット日本』(2014/6/27)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0626nezu
公開議題は今年都議会定例会において可決・成立した都いじめ防止対策推進条例に基づき、都教委が関係する機関(都いじめ問題対策連絡協議会、都教委いじめ問題対策委員会)の規則の制定についてという二つの議案。発言なしで可決された。
報告は
①来年度都立高用教科書の調査研究資料について
②昨年度「都立高校学力スタンダード」推進校の取り組みについて
③特別支援学校における宿泊防災訓練の試行実施について
④小中学校事務共同実施の試行の結果について。
①は、7月から8月にかけて行われる高校教科書採択に当たり、昨年度検定に合格した教科書71点について調査研究した結果を一覧表にまとめたものの報告であった。
専門教科(農業、工業、商業、情報、福祉)を除けば、国語(国語表現 現代文A 古典A 古典B)、理科(生物)、芸術(音楽Ⅲ 美術Ⅲ 書道Ⅲ)、外国語(コミュニケーション英語Ⅱ 英語表現Ⅱ)のみ。他の教科の教科書については、昨年の選定・採択の際に調査研究資料をつくっている。
調査する内容として、「学習指導要領の各教科・科目の目標等を踏まえ」るだけでなく、またもや、特別調査項目「北朝鮮による拉致問題の扱い」「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」「オリンピック、パラリンピックの扱い」を挙げる。
国語、外国語については、すべての教科書について、「北朝鮮による拉致問題の扱い」を調査項目にあげ、「調査の結果、記載のないことを確認した」とある。(当り前だろう!)古典に拉致問題とは、首をかしげてしまう。
理科については、「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」を調査項目にあげ、その扱いがあるのは、実教出版の「生物」のみ。バイオマス燃料についての記載であった。何とも皮肉なことだ。
日本史教科書は昨年、一昨年に教科書検定を終えており、前回6月12日の定例会で、その記述(実教出版:「日の丸・君が代」に関し、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」)に変更がなければ、昨年の「見解」を今年も教育長名で学校に通知することが議決されていた。指導部長は、今日もその確認を繰り返した。「見解」の撤回を求める要請等がたくさん寄せられても、一切の論議、説明をせずに強行するとは、厚顔無恥と言うしかない。
②は、2013年度から2年間、32校を推進校に指定し、学力定着を図るために校内で組織的・効果的な指導・評価を行うという取り組み。
1年間の指導を経て2月、推進校の1年生を対象に、「基礎」「応用」「発展」の3コースに分けて学力テスト(ここでもテスト作りにベネッセが参加)を実施した結果を活用し、今年度は、教材の工夫や放課後及び長期休業中の補習の取り組みをしていること、対象を推進校の1,2年生と全都立校の1年生に拡大すること、等の報告。
委員は、「成績下位層をどうするか」(木村委員長)、「いい大学に入ってもらうのも大事だが、卒業後社会に出る下位層の子の学力も」(竹花委員)と言い、「経済界の期待に応えた素晴らしい取り組み」(遠藤委員)と言う。
次世代リーダー育成道場、国際バカロレア、進学重点校などのエリート育成にはお金をつぎ込む都教委だが、「成績下位層」の子どもの学力を上げるために予算を計上するという話にはならなかった。
学力テストの作成をベネッセと共同でするために不必要なお金を使うだけのことだろう。しかも、補習等に費やす教員の労働強化には一切触れないで、教育委員のほとんどが補習の推進にもろ手を挙げ賛成する始末。
学力をあげることを本気で考えるのであれば、まずは、小学校段階から、「先進国」で一般的となっている15~20人学級を実現することではないのか。
④もひどい話だ。今は小中学校に1校1名の都費の事務職員が配置されている。試行は、数校を一つの単位とし、そのうちの1校を拠点校として、そこに事務職員を集める。その事務職員は、数校の経理・給与・調査事務等を集中処理する。他の学校には支援員(非常勤)を配置し、副校長の補佐や窓口業務に従事させるというものだ。
副校長が調査等の事務に追われ、学校経営等の本来の仕事に力を注げないこと、事務職員が一人職場のため、事務処理のチェック体制が不十分。大量退職により、事務処理ノウハウの継承等が困難というのが、その理由だ。
江東区教委、武蔵村山市教委で昨年度これを試行した結果、成果が上がったので、今後他にも拡大していくという。
これまでは、学校の事情を知る事務職員が職員の声を拾い、学校予算を上手に配分してきたが、そうしたことが不可能になるのではと心配になる。都教委は合理化、効率化による弊害を考えていないのではないか。教育破壊にひた走る都教委である。
『レイバーネット日本』(2014/6/27)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0626nezu
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