★ 辛淑玉さん『ニュース女子』裁判
~最高裁で名誉毀損認められる (週刊新社会)
2023年4月27日、辛淑玉さんの6年間にわたる裁判が勝訴で決着した。
2017年1月2日、DHCテレビジョン『ニュース女子』の番組内で、沖縄ヘリパッド問題の反対運動について、「反対派の暴力行為により地元の住民でさえ高江に近寄れない」「過激派が救急車も止めた?」などとテロップを流した他、辛淑玉さんが反対運動の黒幕と報道した。
これに対し、「のりこえねっと(辛淑玉・共同代表)」は抗議声明を発表し、MXテレビと長谷川幸洋氏の勤務先だった中日新聞社に抗議文を提出。
18年7月に番組内容が名誉棄損に当たるとして、DHCテレビジョン(現在は虎ノ門テレビ)と長谷川氏を東京地裁に提訴。
21年に一審判決で550万円の賠償、謝罪広告をWebサイトに掲載することを命じた。
被告は控訴したが棄却、さらに同じ趣旨で上告受理申立ても、27日に最高裁は上告を不受理とする決定、名誉棄損が認められた。
5月1日に都内で記者会見が開かれ、辛さんは胸の内を話した。
★ 勝っても消えないデマと悲しみ
長きにわたり本当にありがとうございました。この裁判は本当に勝たなければいけない裁判でした。
人生を賭けて、自分の時間を費やして「戦争は嫌だ」と言っている人々を、みんなで笑って愚弄する本当にひどい番組でした。
今回、番組が地上波で流れたことで、今までネット上でガセネタとして扱われていたものが、事実とされ、取り返しのつかないことになりました。
現場で毎日、戦争反対を訴えている人たちに対する、とてつもない侮辱であり、人間としてやってはいけないことです。
また私個人は、大衆が敵になったことが、言葉にできないくらい怖かったです。ネット時代は、どこに逃げても嫌がらせが届きます。
私は朝鮮人で生まれたことに幸せだったと胸を張って生きていきたいけれど、朝鮮人であることで、周りの人たちを傷つけてしまったことは本当にキツかったです。
それでもたくさんの人のおかげで、ここまでこれました。逃げなくてよかったです。
★ 日本社会での差別の位置
日本社会で、差別は金になります。
ヤフコメのようなプラットフォーマーが安易にヘイトを流して、差別すれば視聴率が上がり、「いいね」がつき、お金がはいります。
あの番組が放った犬笛によって、着実に社会の隅々まで差別は広がりました。
日本政府は、戦後ずっと放置しています。1日でも早く差別禁止法等を作るべきです。
★ 自分たちの手で勝ち取る民主主義
どこの国にも差別があります。
日本と他国の決定的な違いは、それに対抗する市民がいない。見えづらい。強いものに口答えすると徹底的に排除されるのが、日本社会の特徴です。
民主主義を自分の手で勝ち取らなければいけない。
マジョリティのあなたのとこに危機感がきたときにはもう危ない。移住者や朝鮮人や沖縄やアイヌの人たちが声を上げたらそれは炭坑のカナリアであり、この社会があぶないということです。
『週刊新社会』(2023年5月24日)
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