◆ 特別支援学校を再編へ
知的障害の児童・生徒10年間で約2500人増
都教育委員会は来年度、知的障害や発達障害をを抱えた児童・生徒の急増に対応するため、特別支援学校の再編に着手する。特別支援学校に通う知的障害児が従来の推計を上回って増え続けているためで、2020年度には約9500人に上ると見ている。発達障害を抱える生徒・児童を対象とする少人数制の「巡回授業」も検討する。策定中の「特別支援教育推進計画」の第3次実施計画案で明らかにした。学校や区市町村への説明・意見聴取を経て、11月に決定する。
「平成21年度 公立学校統計調査報告書<図31>」都教委HP
◆ 発達障害 少人数の巡回授業も
推計によれば、特別支援学校に通う知的障害児は、10年間で約2500人増。通常の学級に通う軽度の知的障害児も、現在より1800人増の約8900人に上る見込みだ。また、コミュニケーション能力や注意欠陥など、情緒障害を抱える指導・生徒は約8800人になり、現在の2倍弱に急増すると見られている。
都教委が07年11月に策定した計画によると、知的障害は2012年度をピークに、15年度まで緩やかに減少すると推計していたが、実際には増え続け、特別支援学校では理科室や教材室を教室に転用したり、カーテンで仕切ったりして急場をしのいでいるのが現状だ。
こうした事態を解消するため、都教委では2校を新設、3校を増築、10校で改築するなど、教室不足解消を進める方針だ。都立高の跡地を活用したり、新規に土地を取得したりして対応するという。
突施計画のもう一つの柱が、発達障害を抱える生徒の在籍校で指導る体制づくり。
現在、発達障害の度合いが重い生徒ついては、所属する学級の授業とは別に、区市町村が設置する「通級指導学級」に通い、コミュニケーションや社会的なスキルを指導している。
しかし、設置率は自治体によってまちまちで、23区を見ると小学校での設置率は4~15%と開きが大きい。普段の授業を抜けて通うことに不安を持つ親もいる。
このため、すべての小・中学校に「特別支援教室」を設置し、在籍校を担当教員が巡回指導るスタイルを検討。まずは小学校を対象に、モデル事業を行う考えだ。
発達障害の程度が重い生徒に対しては、通級指導学級を維持。自閉症・情緒障害学級を対象に「固定学級」も配置。11月の本計画策定までに区市町村と調整する。
一方で、急務になるのが、こうした生徒を指導する教員の確保。特別支援学校の学級編成は、小。中学で6人、高校で8人。重度であれば、3人で1学級どなる。また、発達障害の通級指導は、10人で1学級。
児童・生徒数の伸びから大雑把に概算すれば、特別支援学校では700人程度、小・中学校の知的障害の固定学級では約300人程度、発達障害の通級指導学級では400~500人の教員が新たに必要になるという見方もできる。
教育庁幹部は、「生徒が普通校に行くのか、特別支援学校に行くのか。また、どの学校を選択するかにより、採用計画を立てる必要がある」と話す。ただ、全体として教員需要が増えるのは間違いなく、都教委として先を見すえた人材育成が求められそうだ。
他方、肢体不自由児の指導では、トイレや姿勢の維持、経管栄養や嚥下にも介助が必要となる。このため、教員が指導に専念できるよう、看護師や理学療法士、作業療法士も含めたチームでのアプローチを導入する。現在、永福学園と青峰学園で介護人材を試行的に導入し、教員との役割分担について検証中。
また、呼吸疾患や小児がんなど、医療的なケアが必要な児童・生徒を対象とする「病弱教育」については、旧都立清瀬小児病院に近く、寄宿舎を活用して行っていた久留米特別支援学校(東久留米市)の機能を、光明特別支援学校(世田谷区)に移転。また、北、墨東、武蔵台の肢体不目由児特別支援学校でも、病弱教育の機能の一部を担う。
『都政新報』(2010/7/13)
知的障害の児童・生徒10年間で約2500人増
都教育委員会は来年度、知的障害や発達障害をを抱えた児童・生徒の急増に対応するため、特別支援学校の再編に着手する。特別支援学校に通う知的障害児が従来の推計を上回って増え続けているためで、2020年度には約9500人に上ると見ている。発達障害を抱える生徒・児童を対象とする少人数制の「巡回授業」も検討する。策定中の「特別支援教育推進計画」の第3次実施計画案で明らかにした。学校や区市町村への説明・意見聴取を経て、11月に決定する。
「平成21年度 公立学校統計調査報告書<図31>」都教委HP
◆ 発達障害 少人数の巡回授業も
推計によれば、特別支援学校に通う知的障害児は、10年間で約2500人増。通常の学級に通う軽度の知的障害児も、現在より1800人増の約8900人に上る見込みだ。また、コミュニケーション能力や注意欠陥など、情緒障害を抱える指導・生徒は約8800人になり、現在の2倍弱に急増すると見られている。
都教委が07年11月に策定した計画によると、知的障害は2012年度をピークに、15年度まで緩やかに減少すると推計していたが、実際には増え続け、特別支援学校では理科室や教材室を教室に転用したり、カーテンで仕切ったりして急場をしのいでいるのが現状だ。
こうした事態を解消するため、都教委では2校を新設、3校を増築、10校で改築するなど、教室不足解消を進める方針だ。都立高の跡地を活用したり、新規に土地を取得したりして対応するという。
突施計画のもう一つの柱が、発達障害を抱える生徒の在籍校で指導る体制づくり。
現在、発達障害の度合いが重い生徒ついては、所属する学級の授業とは別に、区市町村が設置する「通級指導学級」に通い、コミュニケーションや社会的なスキルを指導している。
しかし、設置率は自治体によってまちまちで、23区を見ると小学校での設置率は4~15%と開きが大きい。普段の授業を抜けて通うことに不安を持つ親もいる。
このため、すべての小・中学校に「特別支援教室」を設置し、在籍校を担当教員が巡回指導るスタイルを検討。まずは小学校を対象に、モデル事業を行う考えだ。
発達障害の程度が重い生徒に対しては、通級指導学級を維持。自閉症・情緒障害学級を対象に「固定学級」も配置。11月の本計画策定までに区市町村と調整する。
一方で、急務になるのが、こうした生徒を指導する教員の確保。特別支援学校の学級編成は、小。中学で6人、高校で8人。重度であれば、3人で1学級どなる。また、発達障害の通級指導は、10人で1学級。
児童・生徒数の伸びから大雑把に概算すれば、特別支援学校では700人程度、小・中学校の知的障害の固定学級では約300人程度、発達障害の通級指導学級では400~500人の教員が新たに必要になるという見方もできる。
教育庁幹部は、「生徒が普通校に行くのか、特別支援学校に行くのか。また、どの学校を選択するかにより、採用計画を立てる必要がある」と話す。ただ、全体として教員需要が増えるのは間違いなく、都教委として先を見すえた人材育成が求められそうだ。
他方、肢体不自由児の指導では、トイレや姿勢の維持、経管栄養や嚥下にも介助が必要となる。このため、教員が指導に専念できるよう、看護師や理学療法士、作業療法士も含めたチームでのアプローチを導入する。現在、永福学園と青峰学園で介護人材を試行的に導入し、教員との役割分担について検証中。
また、呼吸疾患や小児がんなど、医療的なケアが必要な児童・生徒を対象とする「病弱教育」については、旧都立清瀬小児病院に近く、寄宿舎を活用して行っていた久留米特別支援学校(東久留米市)の機能を、光明特別支援学校(世田谷区)に移転。また、北、墨東、武蔵台の肢体不目由児特別支援学校でも、病弱教育の機能の一部を担う。
『都政新報』(2010/7/13)
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