《教科書ネット21ニュースから》
◆ 「不当判決」呉教科書裁判は「実質勝利」だった!
◆ 経過
2011、2015年度中学校教科書採択で、呉市教委は育鵬社歴史・公民を採択した。
しかし、採択資料には「1054カ所の誤記(市教委公表)」、育鵬社公民だけ高評価の「水増し、改ざん」、「指導主事が選定委員と調査研究委員との重複禁止に違反」、「小村市長(当時)が育鵬社採択推進の教育再生首長会議の主要会員」等が明らかになった。
これを機に、育鵬社排除のため・呉市民は新たに「教科書ネット・呉」を結成し、当会と共に不正採択への取り組みを始めた。
2016年の住民監査請求では、監査委員会が市教委に対して「多くの誤記等が市民に疑念を抱かせたことは誠に遺憾」「今後万全を期して教科書の採択を行うよう要望する」と異例の付言を出した。
同年10月、私たちは政治の不当支配が採択を歪めたことについて司法による厳正な審理が不正を正すことを期待して、広島地裁に住民訴訟を提訴した。
住民訴訟には4請求類型に合わないものは裁判の対象にしない制限がある。私たちは
①育鵬社の教師用教科書、指導書購入費の無効確認(2号)
②育鵬社教科書採択の無効確認(2号)
③任期終了後の再委嘱選定委員への公金支出の無効確認(2号)
④前市長への教師用教科書、指導書代支出の損害賠償請求(4号)
の審理を求めたが、地裁は不当判決を出した。
◆ 高裁の不当判決
高裁は、地裁不当判決を支持し補強・強化するいっそう不当な判決を出した。
教科書採択は、行政処分に当たらない。
教科書採択が購入費の直接支出の原因ではないから教科書採択は財務会計行為ではない。
市教委が呉市長から政治的に中立ではないと認定はできない。
小山主事が意図的に育鵬社を有利にしたとはいえない。
1054ヶ所の誤記等は教育委員会の専門的裁量判断。
2011年と2015年の「視点・方法」は同じだから恣意的変更ではない。
総合所見の多数の誤記等について採択の手続と同様の手続で採択について再度、判断をした市教委の判断は尊重すべき(高裁判示概略)。
2011、2015年とも市教委と主事が小村元市長の影響下で育鵬社有利の「視点・方法」を作り、選定委員と研究委員の業務を「重複」させ育鵬社評価を「水増し・改ざん」した不正資料を作り、教育委員会会議で説明した。
裁判所は不正を正さず、「教育行政の独立の尊重」「教育委員会の自律的判断の尊重」として訴えを棄却した。
◆ しかし、裁判は「実質勝利!」
裁判闘争を通じて市教委は多くの採択手続きの改善に追い込まれた。
①指導主事を選定委員(2016年)、調査研究委員(2019年)から外す。
②採択資料のチェックをしていた呉市教委事務局を採択過程から外す(2019年)。
③教科書採択の教育委員会会議の公開(傍聴)(2018
年)。
④選定委員会会議録に加え新たに調査・研究委員会の会議録のHP公表(2019年)。
⑤教科書展示会の機関の延長(2019年)。
⑤展示会場を狭い市教委小部屋から「市立図書館」に変更(2019年)。
⑦「不適切な内容の多い教育出版」道徳教科書の不採択(2018、2019年)。
⑧自衛隊「第六潜水艇追悼式」への参加を該当学校がとりやめ(2019年)。
以上の通り、呉裁判闘争は呉市教委に育鵬社採択を可能にするシステムの大部分を排除させ、今夏育鵬社採択を阻止する道を確実に開いた重要な闘いであった。
『子どもと教科書全国ネット21NEWS 130号』(2020年2月)
◆ 「不当判決」呉教科書裁判は「実質勝利」だった!
岸直人(きしなおと 教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま事務局)
◆ 経過
2011、2015年度中学校教科書採択で、呉市教委は育鵬社歴史・公民を採択した。
しかし、採択資料には「1054カ所の誤記(市教委公表)」、育鵬社公民だけ高評価の「水増し、改ざん」、「指導主事が選定委員と調査研究委員との重複禁止に違反」、「小村市長(当時)が育鵬社採択推進の教育再生首長会議の主要会員」等が明らかになった。
これを機に、育鵬社排除のため・呉市民は新たに「教科書ネット・呉」を結成し、当会と共に不正採択への取り組みを始めた。
2016年の住民監査請求では、監査委員会が市教委に対して「多くの誤記等が市民に疑念を抱かせたことは誠に遺憾」「今後万全を期して教科書の採択を行うよう要望する」と異例の付言を出した。
同年10月、私たちは政治の不当支配が採択を歪めたことについて司法による厳正な審理が不正を正すことを期待して、広島地裁に住民訴訟を提訴した。
住民訴訟には4請求類型に合わないものは裁判の対象にしない制限がある。私たちは
①育鵬社の教師用教科書、指導書購入費の無効確認(2号)
②育鵬社教科書採択の無効確認(2号)
③任期終了後の再委嘱選定委員への公金支出の無効確認(2号)
④前市長への教師用教科書、指導書代支出の損害賠償請求(4号)
の審理を求めたが、地裁は不当判決を出した。
◆ 高裁の不当判決
高裁は、地裁不当判決を支持し補強・強化するいっそう不当な判決を出した。
教科書採択は、行政処分に当たらない。
教科書採択が購入費の直接支出の原因ではないから教科書採択は財務会計行為ではない。
市教委が呉市長から政治的に中立ではないと認定はできない。
小山主事が意図的に育鵬社を有利にしたとはいえない。
1054ヶ所の誤記等は教育委員会の専門的裁量判断。
2011年と2015年の「視点・方法」は同じだから恣意的変更ではない。
総合所見の多数の誤記等について採択の手続と同様の手続で採択について再度、判断をした市教委の判断は尊重すべき(高裁判示概略)。
2011、2015年とも市教委と主事が小村元市長の影響下で育鵬社有利の「視点・方法」を作り、選定委員と研究委員の業務を「重複」させ育鵬社評価を「水増し・改ざん」した不正資料を作り、教育委員会会議で説明した。
裁判所は不正を正さず、「教育行政の独立の尊重」「教育委員会の自律的判断の尊重」として訴えを棄却した。
◆ しかし、裁判は「実質勝利!」
裁判闘争を通じて市教委は多くの採択手続きの改善に追い込まれた。
①指導主事を選定委員(2016年)、調査研究委員(2019年)から外す。
②採択資料のチェックをしていた呉市教委事務局を採択過程から外す(2019年)。
③教科書採択の教育委員会会議の公開(傍聴)(2018
年)。
④選定委員会会議録に加え新たに調査・研究委員会の会議録のHP公表(2019年)。
⑤教科書展示会の機関の延長(2019年)。
⑤展示会場を狭い市教委小部屋から「市立図書館」に変更(2019年)。
⑦「不適切な内容の多い教育出版」道徳教科書の不採択(2018、2019年)。
⑧自衛隊「第六潜水艇追悼式」への参加を該当学校がとりやめ(2019年)。
以上の通り、呉裁判闘争は呉市教委に育鵬社採択を可能にするシステムの大部分を排除させ、今夏育鵬社採択を阻止する道を確実に開いた重要な闘いであった。
『子どもと教科書全国ネット21NEWS 130号』(2020年2月)
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