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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2/12)

2015年02月16日 | 暴走する都教委
 ◆ 刷り込み教育・エリート主義教育に突っ走る都教委
 議案は、来年度から教育委員会が現行の委員長職を廃止し新「教育長」に一本化することに伴う、既存の規則改正の7案件と都指定文化財の指定について他。懲戒処分案件が今回は7件
 1月の懲戒処分は、都教委HPを見ると6件。目を覆いたくなるような処分行為が並ぶ。窃盗が2件のほか、セクハラや体罰による処分だ。体罰により児童に全治8週間の骨折をさせて減給6ヶ月、生徒の保護者とホテルで性的な関係をもって停職6ヶ月。この処分量定と、私が『君が代』不起立をして停職6ヶ月とされ、司法がそれを追認してきたこととの整合性はどこにあるのだろうか。
 報告は、①人間としての在り方生き方に関する新教科「人間と社会(仮称)」について ②平成26年度東京都統一体力テストの結果について ③平成27年度教育庁主要施策について。以下に、①~③の報告を紹介したい。
 ①について
 高校で「人間と社会」という教科を新設するという。一言でいえば「道徳教育+キャリア教育」で、「道徳性を養い、判断基準(価値観)を高めることで、社会的現実に照らし、より良い生き方を主体的に選択し行動する力を育成する」ことを目標とする。「地域社会を築く」「人間関係を築く」「文化の多様性」など8つの単元について、テキストを読み、意見交換をしたうえで、奉仕活動・インターンシップ等の体験活動をする。考えさせることが大事、という。来年度20校で試行し、再来年度から全都立高校で全面実施とのこと。
 山口委員の「テキストを使うと誘導的になりがち。正解を求めるものにしない。上から『これが大事、これが正解』としないよう注意してほしい」との発言にはうなずけた。
 しかし、都教委がやっている「日の丸・君が代」の刷り込みが“考えさせない教育”でり、唯一絶対の正解を誘導している現実には、全員が申し合せたように蓋をしていた。むなしい議論を通り越し、なんと犯罪的なことか。
 正解を求めるのではなく、考えさせることが大事というならば、考えさせずに「日の丸に正対し、君が代を起立し斉唱するよう指導する」現実について取り上げたらいいではないか。そのくらいの度量を持て、と言いたい。また、「地域社会を取り上げるとはなんと画期的なことか」と木村委員長が絶賛したことには唖然としてしまった。
 ②について
 2011年度から毎年、全児童・生徒を対象として実施してきた体力テストの今年度の結果報告。高校は学校名を、小中学校は区市町村を明記しての調査結果が分厚い冊子になっている。
 都道府県別順位で見ると、小学5年生は下位層から全国平均以上まで向上したが、中学2年生は男女ともに最低水準。
 そこで「ア.2020年に児童・生徒の体力をピーク時である昭和50年代の水準まで向上させる イ.東京オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい運動・スポーツに親しむ児童・生徒を育成することを目標に、都教委が作成する「東京都アクティブプランto 2020」に沿って各地教委、学校は具体的目標を設定して取り組め」というもの。都教委は全中学校訪問を実施するとまで決めている。
 小学校低学年を担当する教員からこの弊害を聞いたことがある。「点数がすべてであり、高得点を取れない子どもを運動嫌いにさせている」と。それは必然と思う。来年度からは全中学校の体育の教員が直接都教委の訪問「指導」を受けるとなれば、教員は成果を上げるべく、生徒を過剰「指導」するだろう。あるいは、訪問「指導」に耐えられない教員が出るのではなかろうか。体力向上の前に、心が荒んでしまうのではないだろうか。
 ③について

 「1 学びの基礎を徹底する」「2 個々の能力を最大限に伸ばす」「3 豊かな人間性を培い、規範意識を高める」など10のこれまでの取り組みに、来年度はあらたに「11 オリンピック・パラリンピック教育を推進する」を加えるという。
 また、10の取り組みとして行う来年度新規事業が提示された。
 ・東京都の理数教育を牽引する理数イノベーション校を3校指定し、大学や研究機関と連携し、将来の科学技術をリードする人材を輩出する。
 ・グローバル人材の育成を推進する先導的学校として10校を「東京グローバル10」に指定し、教育環境整備などを支援する。
 ・英語以外の外国語を科目の実施拡大や異文化交流等を行う外国語部活動を推進するなどの環境を充実する。
 以上3つは都立高校において。ほかに、2017年度に全ての特別支援学校での一泊二日の防災宿泊訓練を目指し、来年度は20校でこれを実施する、など。またもや、防災に名を借りた自衛隊との連携を進めるのか。
 刷り込み教育、そして、エリート主義教育に突っ走る都教委。定例会を重ねるごとにそれがひどさを増していることを実感し、恐ろしく思う。
 竹花委員の姿は2回続けてなかった。司会役の木村委員長は定例会の冒頭必ず、「これまでの東京都教育委員会において、傍聴人が大声で騒ぐなど議事を著しく妨害する行為があり、傍聴人に対し、委員長から退場命令が出される事態となっています。(中略)傍聴人が、教育委員会室に入退室する際に大声で騒ぎ、速やかに着席しないといった行為や、速やかに退室しないといった行為も議事を妨害する行為に当たり、委員長による退場命令の対象となります。このことについて、あらかじめ告知します。」と長い文章を読み上げるのに、その時間は取るのに、採決の構成員である委員の欠席については説明をしない。傍聴人を歓迎しない、いや、見下した委員長の態度が見え見えの運営である。
『レイバーネット日本』(2015-02-15)
http://www.labornetjp.org/news/2015/0212nezu
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