=教育3法案=の強行採決に断固抗議する声明
1 本日与党は、昨日の参議院文教科学委員会に引き続いて、参議院本会議で、いわゆる教育3法案、すなわち、「学校教育法等の一部を改正する法律案」(学校教育法等「改正」案)、「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案」(教員免許法等「改正」案)、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」(地教行法「改正」案)の採決を強行して、法案を成立させた。
これら教育3法案は、教育への国家統制を図るものとして違憲の疑いが強いものである。のみならず、衆議院でなされた11項目の附帯決議に基づいて修正されることも全くなく、参議院の審議でようやく明らかになり始めた法的問題点も放置されたままであった。
自由法曹団は、このような常軌を逸する強行採決に強く抗議するものである。
2 学校教育法等「改正」案においては、「教育課程」を定める権限まで文部科学大臣に与え、教育内容に広く国が介入できることとした。
国が考える「正しい歴史認識」や愛国心の押しつけなど、憲法違反の疑いが極めて強いものとなっている。
副校長・主幹教諭等の管理職の設置についても、管理を強化して国家による教育の統制を図ろうとするものにほかならない。
慢性的な教員不足の中で、教員定数を見直すことなく設置を進めるのであれば、大阪府の例のように、既存の教員が主幹等に配置されることとなり、教員が子どもたちと向かい合う時間を今以上に確保できなくなるという事態を引き起こしかねない。そうなれば、教育現場が混乱し、子どもたちの教育を受ける権利が大きく阻害されることになる。
3 教員免許法等「改正」案は、研修制度と免許すなわち教員の資格問題という、本来は別次元の問題を不当にリンクさせるものである。
また、講習といってもその実質は試験であり、その内容・講師に至るまで省令に白紙委任されるものとなっている。
教員に対する国家的統制を強め、「国のいいなりになる教員づくり」を目指しているものと言わざるを得ない。
また、適格性を欠くなどとして分限免職処分を受けた場合、教員免許状は失効することが新たに盛り込まれているが、恣意的な処分及び資格剥奪がなされる危険がある。そればかりでなく、これに対する不服申立手段の保障もなされていない。
教員免許法等「改正」案は、親や子に寄り添って創意工夫にあふれた教育をなそうとする教師の努力を阻害するものである。
4 地教行法「改正」案は、新たに「基本理念」の条項を置き、「改正」教育基本法の趣旨に則って地方教育行政を行うものとするとともに、文部科学大臣の権限を飛躍的に強化している。
国会審議では、大臣が教育委員会に対して「具体的な措置の内容を示して」行う「是正要求」の具体例として、「教育委員会が国旗・国歌の指導をしない」場合が明示されている。この「是正要求」が、愛国心や国旗・国歌を強制するための統制手段であることは明らかである。
このように、地教行法「改正」案は、愛国心を明記した「改正」教育基本法をさらに具体化し、教育委員会への国家的統制をさらに強化するものにほかならない。
5 以上のように、教育3法案は、子ども、学校組織、個々の教師及び教育委員会という教育に携わる全ての者に対し、国家的統制を敷こうとするものである。このような事態は、まさに、戦前の「国家による教育」の再現である。
また、法案の抱える法的問題点についてまともな審議もしないまま、党利党略を最優先して強行採決を行うことは、民主主義のルールを破壊するものであり、もはや国民の付託を受けた議会の採決と呼ぶことはできない。
自由法曹団は、教育の国家的統制を図る教育3法案の強行採決に強く抗議するものである。
http://www.jlaf.jp/jlaf_file/070620kyouiku.pdf
『自由法曹団HP』
http://www.jlaf.jp/index.html
1 本日与党は、昨日の参議院文教科学委員会に引き続いて、参議院本会議で、いわゆる教育3法案、すなわち、「学校教育法等の一部を改正する法律案」(学校教育法等「改正」案)、「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案」(教員免許法等「改正」案)、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」(地教行法「改正」案)の採決を強行して、法案を成立させた。
これら教育3法案は、教育への国家統制を図るものとして違憲の疑いが強いものである。のみならず、衆議院でなされた11項目の附帯決議に基づいて修正されることも全くなく、参議院の審議でようやく明らかになり始めた法的問題点も放置されたままであった。
自由法曹団は、このような常軌を逸する強行採決に強く抗議するものである。
2 学校教育法等「改正」案においては、「教育課程」を定める権限まで文部科学大臣に与え、教育内容に広く国が介入できることとした。
国が考える「正しい歴史認識」や愛国心の押しつけなど、憲法違反の疑いが極めて強いものとなっている。
副校長・主幹教諭等の管理職の設置についても、管理を強化して国家による教育の統制を図ろうとするものにほかならない。
慢性的な教員不足の中で、教員定数を見直すことなく設置を進めるのであれば、大阪府の例のように、既存の教員が主幹等に配置されることとなり、教員が子どもたちと向かい合う時間を今以上に確保できなくなるという事態を引き起こしかねない。そうなれば、教育現場が混乱し、子どもたちの教育を受ける権利が大きく阻害されることになる。
3 教員免許法等「改正」案は、研修制度と免許すなわち教員の資格問題という、本来は別次元の問題を不当にリンクさせるものである。
また、講習といってもその実質は試験であり、その内容・講師に至るまで省令に白紙委任されるものとなっている。
教員に対する国家的統制を強め、「国のいいなりになる教員づくり」を目指しているものと言わざるを得ない。
また、適格性を欠くなどとして分限免職処分を受けた場合、教員免許状は失効することが新たに盛り込まれているが、恣意的な処分及び資格剥奪がなされる危険がある。そればかりでなく、これに対する不服申立手段の保障もなされていない。
教員免許法等「改正」案は、親や子に寄り添って創意工夫にあふれた教育をなそうとする教師の努力を阻害するものである。
4 地教行法「改正」案は、新たに「基本理念」の条項を置き、「改正」教育基本法の趣旨に則って地方教育行政を行うものとするとともに、文部科学大臣の権限を飛躍的に強化している。
国会審議では、大臣が教育委員会に対して「具体的な措置の内容を示して」行う「是正要求」の具体例として、「教育委員会が国旗・国歌の指導をしない」場合が明示されている。この「是正要求」が、愛国心や国旗・国歌を強制するための統制手段であることは明らかである。
このように、地教行法「改正」案は、愛国心を明記した「改正」教育基本法をさらに具体化し、教育委員会への国家的統制をさらに強化するものにほかならない。
5 以上のように、教育3法案は、子ども、学校組織、個々の教師及び教育委員会という教育に携わる全ての者に対し、国家的統制を敷こうとするものである。このような事態は、まさに、戦前の「国家による教育」の再現である。
また、法案の抱える法的問題点についてまともな審議もしないまま、党利党略を最優先して強行採決を行うことは、民主主義のルールを破壊するものであり、もはや国民の付託を受けた議会の採決と呼ぶことはできない。
自由法曹団は、教育の国家的統制を図る教育3法案の強行採決に強く抗議するものである。
2007年6月20日 自由法曹団 団長 松井 繁明
http://www.jlaf.jp/jlaf_file/070620kyouiku.pdf
『自由法曹団HP』
http://www.jlaf.jp/index.html
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