《河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 都庁前通信》
● 道徳教科書採択
道徳の教科化でいじめはなくなるのか?
来年度より小学校で道徳を教科とすることから、この夏に各教委で教科書採択が行われている。8社から選ぶことになる。なお、8社のうち教育出版教科書については、教科書問題に取り組む市民団体「子どもと教科書全国ネット21」が子どもたちに使わせたくない教科書のワーストワンとして採択に反対する談話を発表している。
=7月27日都教委定例会を傍聴して=
● 《道徳教科書 都教委が採択したのは》
無記名投票がなされ、全員一致により結果は次の通り。
聴覚障害特別支援学校:学研
肢体不自由・病弱特別支援学校:日文(日本文教出版)
なお、視覚障害を持った児童用教科書は点字教科書が他社にないとの理由で、教育出版になった。
教育委員の間で意見交換がないまま、2冊ともに「全員一致」ということが偶然にもあるだろうか。
傍聴者にも配られた「調査研究資料」の他に教育委員だけに配られた資料があるのか、あるいは事前に秘密会議が開かれたのかと疑念を持ってしまう。
都教委には過去に秘密会議を開いた前例がある(2013年6月13日、秘密会議を開き、実教出版高校日本史教科書を選定しないよう各学校に通知することを決めた)。
● 日文も使わせたくないワースト2
日文6年生用には「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」と題して、64年東京オリンピックで国旗作りを担当した吹浦忠正氏(世界の国旗研究協会」会長で「国旗」に関する著書多数)をとりあげ、「正解」を強いるように3つの問いを投げかける。
「日本の文化や伝統で、外国人に伝えたいものはありますか。」「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに受けつがれる『思い』とは、どんな思いだろう。」「進んで他国の人と交流したりするには、どんな心をもつことがたいせつだろう。」
この教材に限ったことではないが、政権が求める「正解」を求める発問が日文には多い。
今回の道徳の教科化は、大津市で起きた「いじめ事件」への対応として政府が提言したことに始まる。
しかし、道徳教育でいじめがなくなるのか。正解を求めることが必要なのか。正解を求め成績評価することが子どもへの価値観の押しつけにならないのか、など疑問が投げ掛けられていた。
このような上からの価値観の押しつけは、「おじさん」を「おじいさん」へ、「パン屋」を「お菓子屋」へのささいな変更にも見られる。
日文の教科書に限らず、全体に規則や秩序を守ることが正解という方向へ子どもを誘導する傾向がみられ、自己とともに、他者である個人の考えを大切にしながら、共に生きる社会について自分で考えるという発想は乏しい。
そもそも、森友学園・加計学園問題見られるように大人がウソをつき続け、戦争の最大の犠牲者沖縄に基地を押し付け続け、原発再稼働で核廃棄物を次世代に押し付け続ける政府に子どもたちに道徳を説く資格があるのだろうか。
2020東京オリ・パラまでに江東区ではすべての小中学校が、都教委が進める「世界ともだちプロジェクト」の一環として国旗・国歌の授業をすると決め、先月20日にはトップバッターとして、江東区西大島中で吹浦氏が講演した。
オリンピックに使用する旗は、「国家間の争いではない」という五輪の理念に沿って国旗ではなく「選手団の旗」とIOC憲章が定めていることを日文も吹浦氏も都教委も知りながら、そのことを子どもたちに教えていない。いまの膨大な費用がかかりカネまみれの五輪が道徳教育のテーマにふさわしいか疑問だ。
《学校現場の意見を十分尊重して採択すること、教育出版の道徳教科書は採択しないこと、教育委員会で請願趣旨を述べられるようにすること》を求めた請願が「『つくる会』教科書採択を阻止する東京ネットワーク」から出されていたが、都教委は資料として配布しただけで、「請願は事務局で対応してほしい」(中井教育長)と無視した。
● 《公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定について》
都教委は「東京都教員人材育成基本方針」(2008年策定、2015年一部改正)を策定し、計画的に人材育成に取り組んできたが、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)ができたことにより、改めて「指標」を策定したとのこと。「指標」には、職層(教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力を事細かに羅列する。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るという。
これについては教育委員から、「東京は徹底的にやってきた。・・・東京はすでにやってきたと言えないのか」、「これを読む教員がどれだけいるだろうか」との意見が出され、人事部は言い訳のような返答をし、了承された。
都教委は9年も前に「人材育成基本方針」を策定し、「徹底的にやってきた」のに成果が出なかったのはなぜかを議論すべきなのだ。それを論議せずに、何度同じことをしても成果があらわれるはずはない。
教育は教員たちの、そして教員と子どもたちとの協働の仕事なのに、石原都政以降、都教委が学校に介入し、それまでの〈校長・教頭・教諭〉を〈校長・副校長・主幹教諭・主任教諭・教諭〉と5職層にし、学校運営を企業に真似たトップダウンに変え、教員を分断し給与と出世欲で釣って競争させ、協働の仕事を破壊し続けてきた。
このことに教育委員や事務方が気づかないかぎり、成果が出るはずはない。また、都教委が頭を悩ます、管理職受験希望者も新採用受験希望者も増えることはないし、刑事事件の括りに入るような犯罪・懲戒処分も後を絶たないだろう。
● 都教委は「君が代」不起立・「服務事故再発防止研修」を止めろ!
今春の卒業式で「君が代」不起立をした都立高校の教員に対し、都教委は今月29日に水道橋にある研修センターで「服務事故再発防止研修」を強行しようとしている。不当処分をした上に、さらに「研修」という名の拷問を行うことに私たちは抗議する。
国旗国歌法は、「第1条 国旗は、日章旗とする。 第2条 国歌は、君が代とする。」と明記しただけで尊重規定はない。尊重規定を設けることは、憲法19条「思想・良心の自由」に抵触するからである。
「君が代」不起立をする教員たちは、「思想・良心の自由」を憲法は保障していること、そして、自身の考えにしたがって行動を選択していいのだと子どもたちに伝えることが大事、と考える。
教育勅語・御真影・「日の丸・君が代」で、子どもたちを戦場に送った過ちを再び繰り返してはならないとの決意から。
皆さん、都教委に抗議の声を届けてください。
『河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会』(2017年8月)
http://kaikosasenaikai.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/index.html#entry-87951565
● 道徳教科書採択
道徳の教科化でいじめはなくなるのか?
来年度より小学校で道徳を教科とすることから、この夏に各教委で教科書採択が行われている。8社から選ぶことになる。なお、8社のうち教育出版教科書については、教科書問題に取り組む市民団体「子どもと教科書全国ネット21」が子どもたちに使わせたくない教科書のワーストワンとして採択に反対する談話を発表している。
=7月27日都教委定例会を傍聴して=
● 《道徳教科書 都教委が採択したのは》
無記名投票がなされ、全員一致により結果は次の通り。
聴覚障害特別支援学校:学研
肢体不自由・病弱特別支援学校:日文(日本文教出版)
なお、視覚障害を持った児童用教科書は点字教科書が他社にないとの理由で、教育出版になった。
教育委員の間で意見交換がないまま、2冊ともに「全員一致」ということが偶然にもあるだろうか。
傍聴者にも配られた「調査研究資料」の他に教育委員だけに配られた資料があるのか、あるいは事前に秘密会議が開かれたのかと疑念を持ってしまう。
都教委には過去に秘密会議を開いた前例がある(2013年6月13日、秘密会議を開き、実教出版高校日本史教科書を選定しないよう各学校に通知することを決めた)。
● 日文も使わせたくないワースト2
日文6年生用には「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」と題して、64年東京オリンピックで国旗作りを担当した吹浦忠正氏(世界の国旗研究協会」会長で「国旗」に関する著書多数)をとりあげ、「正解」を強いるように3つの問いを投げかける。
「日本の文化や伝統で、外国人に伝えたいものはありますか。」「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに受けつがれる『思い』とは、どんな思いだろう。」「進んで他国の人と交流したりするには、どんな心をもつことがたいせつだろう。」
この教材に限ったことではないが、政権が求める「正解」を求める発問が日文には多い。
今回の道徳の教科化は、大津市で起きた「いじめ事件」への対応として政府が提言したことに始まる。
しかし、道徳教育でいじめがなくなるのか。正解を求めることが必要なのか。正解を求め成績評価することが子どもへの価値観の押しつけにならないのか、など疑問が投げ掛けられていた。
このような上からの価値観の押しつけは、「おじさん」を「おじいさん」へ、「パン屋」を「お菓子屋」へのささいな変更にも見られる。
日文の教科書に限らず、全体に規則や秩序を守ることが正解という方向へ子どもを誘導する傾向がみられ、自己とともに、他者である個人の考えを大切にしながら、共に生きる社会について自分で考えるという発想は乏しい。
そもそも、森友学園・加計学園問題見られるように大人がウソをつき続け、戦争の最大の犠牲者沖縄に基地を押し付け続け、原発再稼働で核廃棄物を次世代に押し付け続ける政府に子どもたちに道徳を説く資格があるのだろうか。
2020東京オリ・パラまでに江東区ではすべての小中学校が、都教委が進める「世界ともだちプロジェクト」の一環として国旗・国歌の授業をすると決め、先月20日にはトップバッターとして、江東区西大島中で吹浦氏が講演した。
オリンピックに使用する旗は、「国家間の争いではない」という五輪の理念に沿って国旗ではなく「選手団の旗」とIOC憲章が定めていることを日文も吹浦氏も都教委も知りながら、そのことを子どもたちに教えていない。いまの膨大な費用がかかりカネまみれの五輪が道徳教育のテーマにふさわしいか疑問だ。
《学校現場の意見を十分尊重して採択すること、教育出版の道徳教科書は採択しないこと、教育委員会で請願趣旨を述べられるようにすること》を求めた請願が「『つくる会』教科書採択を阻止する東京ネットワーク」から出されていたが、都教委は資料として配布しただけで、「請願は事務局で対応してほしい」(中井教育長)と無視した。
● 《公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定について》
都教委は「東京都教員人材育成基本方針」(2008年策定、2015年一部改正)を策定し、計画的に人材育成に取り組んできたが、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)ができたことにより、改めて「指標」を策定したとのこと。「指標」には、職層(教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力を事細かに羅列する。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るという。
これについては教育委員から、「東京は徹底的にやってきた。・・・東京はすでにやってきたと言えないのか」、「これを読む教員がどれだけいるだろうか」との意見が出され、人事部は言い訳のような返答をし、了承された。
都教委は9年も前に「人材育成基本方針」を策定し、「徹底的にやってきた」のに成果が出なかったのはなぜかを議論すべきなのだ。それを論議せずに、何度同じことをしても成果があらわれるはずはない。
教育は教員たちの、そして教員と子どもたちとの協働の仕事なのに、石原都政以降、都教委が学校に介入し、それまでの〈校長・教頭・教諭〉を〈校長・副校長・主幹教諭・主任教諭・教諭〉と5職層にし、学校運営を企業に真似たトップダウンに変え、教員を分断し給与と出世欲で釣って競争させ、協働の仕事を破壊し続けてきた。
このことに教育委員や事務方が気づかないかぎり、成果が出るはずはない。また、都教委が頭を悩ます、管理職受験希望者も新採用受験希望者も増えることはないし、刑事事件の括りに入るような犯罪・懲戒処分も後を絶たないだろう。
● 都教委は「君が代」不起立・「服務事故再発防止研修」を止めろ!
今春の卒業式で「君が代」不起立をした都立高校の教員に対し、都教委は今月29日に水道橋にある研修センターで「服務事故再発防止研修」を強行しようとしている。不当処分をした上に、さらに「研修」という名の拷問を行うことに私たちは抗議する。
国旗国歌法は、「第1条 国旗は、日章旗とする。 第2条 国歌は、君が代とする。」と明記しただけで尊重規定はない。尊重規定を設けることは、憲法19条「思想・良心の自由」に抵触するからである。
「君が代」不起立をする教員たちは、「思想・良心の自由」を憲法は保障していること、そして、自身の考えにしたがって行動を選択していいのだと子どもたちに伝えることが大事、と考える。
教育勅語・御真影・「日の丸・君が代」で、子どもたちを戦場に送った過ちを再び繰り返してはならないとの決意から。
皆さん、都教委に抗議の声を届けてください。
『河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会』(2017年8月)
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