◆ トランプが煽った米議事堂乱入事件
~クレイジーなアメリカの現実 (レイバーネット日本)
レポート=和美(サンフランシスコ)
ペロシ下院議長の部屋で足をデスクの上に乗せてふんぞり返っている男性
(ライトウィンガーからのメールの写真)
あの悪夢のような2020年がやっと終わったと思ったら、この2021年もかなり厳しい年になりそうです。アメリカはクレイジーな国だと良く思いますが、つくづくクレイジーだと思わされました。
トランプは今まで、公の場で、報道関係が数えただけでもこの4年間に2万回以上の嘘をついてきました。そして、この選挙でも、ものすごい数で不正があったとサポーターを煽って、選挙違反の訴訟をあらゆるところで起こしましたが、それが全部なんの証拠もないため却下されました。
そこで、ジョージア州のSecretary of State(これはその州の選挙の責任者ですが)に電話で1時間もの長い間、コンコンと話して、どうしても11,000票をどっかから探してくれ(いわゆる嘘の数の上乗せをしてくれ)と頼みました。
この会話は全部盗聴されて、一語一句新聞などのメディアに乗りました。結局、このトランプの要請は断られました。
最後の頼みは1月6日の議会での承認で、ここで副大統領のペンスが州ごとに獲得した選挙人の数を読み上げて、大統領が正式に決まるという儀式的な役割をするのですが、トランプはこれをなんとか覆そうとして企てたのが今回の大きな集会です。
この日、自分の支持者をこちらの国会議事堂近くに集め、演説で皆で国会議事堂に押し寄せ、共和党の中の軟弱な者のお尻を叩いてこの選挙結果を覆させよう、自分も一緒にいく、というようなことを演説して、みんなを煽りました。
演説の中で、彼は自分もみんなと一緒に議事堂まで行く、と宣言。実際は、この後すぐにホワイトハウスに戻り、テレビで状況を見ていました。
その後、約4~5万の人たちは議事堂に向かい、かなりの数の人たち(何百、何千人?)が中になだれ込みました。その中にはテレビの映像でも銃を持った人がおりましたし、捕まった人の中にはバックパックの中に11個のモロトフカクテル(火炎瓶)を持っていた人もいたようです。
黒のT-シャツには“CivilWar(内戦)”と書かれていたり、催涙ガスでやられて出てきた中年の女性にリポーターが、なんでこのようなことをしたのかと聞いたら、「これはRevolution(革命)だ」と答えていました。
やっと全員がそとに追い出された後、トランプは「I love you」と参加者にねぎらいのメッセージを送りました。
この時、みんなが不思議に思ったのは、何故、ああも簡単に建物に近づいて窓ガラスを割ったり、ドアをこわしたりして中に入る事ができたのか。首都の国会議事堂は国の政治家が一堂に集まっているところで、最も守らなければいけない所のはずなのに。
ジョージフロイドが殺された時はものすごい数の警察やナショナルガード、そして所属を隠した部隊(多分、軍の兵)などがいたのに、何故、ライトウィンガー(右翼)が集まった時はそれがなされなかったのか。
これだけの被害と惨事を起こしたのに、逮捕者はたったの54人。BLMの時とは大違いです。今のところ全部で5人が死にました。そのうちの一人は警察官。
映像ではこの群集が柵まで来た時に、小競り合いが有ったところもありましたが、中には柵の内側の警備に誘導されて、簡単に入ったところもあったようです。
今日、わかったことは議員の中で、心配して1週間以上前から色々と準備は大丈夫かと確かめていたようですが、返事は大丈夫だ、ということだったようです。
群衆が建物の中に入って、議会をしている場所に近付いた時、議員たちは命からがら、警備に誘導されて、地下のどこかに逃げました。
その時、メリーランド州(ワシントンDCのすぐ隣の州)の議員が、自分の州の知事に州兵を派遣してくれと、隠れ場から電話しました。
州知事はすぐに派遣できると兵を出向かわせましたが、その途中で、ペンタゴンから待ったがかかり、止められました。兵が州を超えて動く時はペンタゴンの許可が必要だ、という理由で止められたようです。
そこで、知事はペンタゴンの責任者に電話を入れましたが、電話は無視されて、1時間半以上経ってやっと見たことのない電話番号から連絡があり、出動してくれと許可が降りました。この時の様子をこの知事は記者会見で言っていました。
これらから分かることは、すでに前もって、警察からペンタゴンまで、手を出すな、群衆を入れさせろ、と上から指示が出ていたように思えます。
この間、乱入した群衆は特に民主党議員の部屋に入り、書類や家具をひっくり返してかなりのダメージを与えました。
特にペロシ下院議長の部屋は、あるライトウィンガーからのメールによると、コンピューターの中身が全てダウンロードされたとか。この部屋で足をデスクの上に乗せてふんぞり返っている男性の写真が出ていました。(冒頭の写真)
次の日あたりから、今まで一言もトランプに異議を申し立てず、全てをトランプのいうがままに実行してきた閣僚たちが、まるで沈みかける船からドブネズミが飛び降りるように次々と辞任しました。
今日、ペロシは副大統領のペンスに憲法の修正箇条25を使って、トランプを大統領から引き摺り下ろすか、そうでなければまた、インピーチメント(弾劾)の手続きに入ると通達しました。
ペンスは25条を使うガッツはないと思うので、多分、来週の月曜日ごろにインピーチメントの体制に入るでしょう。
トランプの大統領としての任期は残り2週間もないのですが、何をしだすかわからない、核爆弾のボタンも押すことのできるため、いっときも早くこれを止めさせたいと動き出したようです。
今回は前の時のインピーチメントと違って、かなりの共和党議員も賛成に回るようです。
それにしても、これだけ自分のことだけを考えて、嘘で人々を騙して4年間してきた彼の政治に対して、まだ7千400万人、約半数弱の人が彼を支持していることにアメリカの現実があります。
※ 動画紹介(5:53)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0109douga
『レイバーネット日本』(2021-01-09)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0109kazumi
~クレイジーなアメリカの現実 (レイバーネット日本)
レポート=和美(サンフランシスコ)
ペロシ下院議長の部屋で足をデスクの上に乗せてふんぞり返っている男性
(ライトウィンガーからのメールの写真)
あの悪夢のような2020年がやっと終わったと思ったら、この2021年もかなり厳しい年になりそうです。アメリカはクレイジーな国だと良く思いますが、つくづくクレイジーだと思わされました。
トランプは今まで、公の場で、報道関係が数えただけでもこの4年間に2万回以上の嘘をついてきました。そして、この選挙でも、ものすごい数で不正があったとサポーターを煽って、選挙違反の訴訟をあらゆるところで起こしましたが、それが全部なんの証拠もないため却下されました。
そこで、ジョージア州のSecretary of State(これはその州の選挙の責任者ですが)に電話で1時間もの長い間、コンコンと話して、どうしても11,000票をどっかから探してくれ(いわゆる嘘の数の上乗せをしてくれ)と頼みました。
この会話は全部盗聴されて、一語一句新聞などのメディアに乗りました。結局、このトランプの要請は断られました。
最後の頼みは1月6日の議会での承認で、ここで副大統領のペンスが州ごとに獲得した選挙人の数を読み上げて、大統領が正式に決まるという儀式的な役割をするのですが、トランプはこれをなんとか覆そうとして企てたのが今回の大きな集会です。
この日、自分の支持者をこちらの国会議事堂近くに集め、演説で皆で国会議事堂に押し寄せ、共和党の中の軟弱な者のお尻を叩いてこの選挙結果を覆させよう、自分も一緒にいく、というようなことを演説して、みんなを煽りました。
演説の中で、彼は自分もみんなと一緒に議事堂まで行く、と宣言。実際は、この後すぐにホワイトハウスに戻り、テレビで状況を見ていました。
その後、約4~5万の人たちは議事堂に向かい、かなりの数の人たち(何百、何千人?)が中になだれ込みました。その中にはテレビの映像でも銃を持った人がおりましたし、捕まった人の中にはバックパックの中に11個のモロトフカクテル(火炎瓶)を持っていた人もいたようです。
黒のT-シャツには“CivilWar(内戦)”と書かれていたり、催涙ガスでやられて出てきた中年の女性にリポーターが、なんでこのようなことをしたのかと聞いたら、「これはRevolution(革命)だ」と答えていました。
やっと全員がそとに追い出された後、トランプは「I love you」と参加者にねぎらいのメッセージを送りました。
この時、みんなが不思議に思ったのは、何故、ああも簡単に建物に近づいて窓ガラスを割ったり、ドアをこわしたりして中に入る事ができたのか。首都の国会議事堂は国の政治家が一堂に集まっているところで、最も守らなければいけない所のはずなのに。
ジョージフロイドが殺された時はものすごい数の警察やナショナルガード、そして所属を隠した部隊(多分、軍の兵)などがいたのに、何故、ライトウィンガー(右翼)が集まった時はそれがなされなかったのか。
これだけの被害と惨事を起こしたのに、逮捕者はたったの54人。BLMの時とは大違いです。今のところ全部で5人が死にました。そのうちの一人は警察官。
映像ではこの群集が柵まで来た時に、小競り合いが有ったところもありましたが、中には柵の内側の警備に誘導されて、簡単に入ったところもあったようです。
今日、わかったことは議員の中で、心配して1週間以上前から色々と準備は大丈夫かと確かめていたようですが、返事は大丈夫だ、ということだったようです。
群衆が建物の中に入って、議会をしている場所に近付いた時、議員たちは命からがら、警備に誘導されて、地下のどこかに逃げました。
その時、メリーランド州(ワシントンDCのすぐ隣の州)の議員が、自分の州の知事に州兵を派遣してくれと、隠れ場から電話しました。
州知事はすぐに派遣できると兵を出向かわせましたが、その途中で、ペンタゴンから待ったがかかり、止められました。兵が州を超えて動く時はペンタゴンの許可が必要だ、という理由で止められたようです。
そこで、知事はペンタゴンの責任者に電話を入れましたが、電話は無視されて、1時間半以上経ってやっと見たことのない電話番号から連絡があり、出動してくれと許可が降りました。この時の様子をこの知事は記者会見で言っていました。
これらから分かることは、すでに前もって、警察からペンタゴンまで、手を出すな、群衆を入れさせろ、と上から指示が出ていたように思えます。
この間、乱入した群衆は特に民主党議員の部屋に入り、書類や家具をひっくり返してかなりのダメージを与えました。
特にペロシ下院議長の部屋は、あるライトウィンガーからのメールによると、コンピューターの中身が全てダウンロードされたとか。この部屋で足をデスクの上に乗せてふんぞり返っている男性の写真が出ていました。(冒頭の写真)
次の日あたりから、今まで一言もトランプに異議を申し立てず、全てをトランプのいうがままに実行してきた閣僚たちが、まるで沈みかける船からドブネズミが飛び降りるように次々と辞任しました。
今日、ペロシは副大統領のペンスに憲法の修正箇条25を使って、トランプを大統領から引き摺り下ろすか、そうでなければまた、インピーチメント(弾劾)の手続きに入ると通達しました。
ペンスは25条を使うガッツはないと思うので、多分、来週の月曜日ごろにインピーチメントの体制に入るでしょう。
トランプの大統領としての任期は残り2週間もないのですが、何をしだすかわからない、核爆弾のボタンも押すことのできるため、いっときも早くこれを止めさせたいと動き出したようです。
今回は前の時のインピーチメントと違って、かなりの共和党議員も賛成に回るようです。
それにしても、これだけ自分のことだけを考えて、嘘で人々を騙して4年間してきた彼の政治に対して、まだ7千400万人、約半数弱の人が彼を支持していることにアメリカの現実があります。
※ 動画紹介(5:53)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0109douga
『レイバーネット日本』(2021-01-09)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0109kazumi
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