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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国連人種差別撤廃委員会の対日審査会合で

2014年09月02日 | 人権
  =師岡弁護士に聞く=
 ◆ ヘイトスピーチ国連審査 日本批判続出


 国連人種差別撤廃条約の履行状況を監視する人種差別撤廃委員会の対日審査会合では、「朝鮮人を殺せ」などと連呼する「ヘイトスピーチ」(差別扇動表現)の法規制を求める声が続出した。日本は今、国際社会から何を問われているのか。審査を傍聴した師岡康子弁護士に聞いた。(林啓太)
 ◆ 「殺せ」野放しに危機感
 日本政府は二十、二十一の両日、スイス・ジュネーブで行われた審査で人権状況を報告した。人種差別撤廃条約は百七十六力国が批准。日本は一九九五年に加盟した。加盟国は原則二年に一回、履行状況を委員会に報告し、審査を受ける義務がある。
 委員は加盟国が選挙で選んだ各国の弁護士や外交官、大学教授ら人権問題の専門家十八人。対日審査は二〇一〇年以来、四年ぶりだ。
 ◆ 政府は人権政策を自賛
 日本政府の説明は、アイヌ民族や難民の差別撤廃に向けた人権政策の「自画自賛」に終始した。しかし、各国の委員が姐上に載せたのは、日本政府が「表現の自由」を理由に、ヘイトスピーチの法規制を義務付ける条約四条を「留保」している問題だ。
 師岡氏は「日本政府が報告でヘイトスピーチに触れたのは全体の一割程度だったが、委員らの質問はヘイトスピーチ問題が約七割を占めた。委員らは、ヘイトスピーチに対する日本政府の対応が、国際水準からみて不十分だとの認識を突きつけた」と強調する。
 ヴァスケス委員(米国)は、ヘイトスピーチデモの「殺せ」といった言動を「非常に過激」と指弾。
 ディアコヌ委員(ルーマニア)も「四条で規制の対象とする差別の流布や扇動は、表現の自由に入らない」と断じ、四条を留保したままでも法規制が可能だとの認識を示した。
 ユエン委員(モーリシャス)は、ヘイトデモの警備体制について「警察は加害者側の立場で取り締まっているのではないか。ほとんどの国では、加害者を逮捕、収監するはずだ」。
 クリックリー委員(アイルランド)は「警察が中立公正なのか疑わしい」と指摘した。
 一部の委員は審査の直前、師岡氏が所属する市民団体「外国人人権法連絡会」(東京)など日本の非政府組織(NGO)が主催した説明会に出席し、ヘイトデモの映像を見た。
 「映像を見た委員らは一様に黙り込んだ。ナチスのかぎ十字の旗や『殺せ』といった言葉がデモで普通に使われ、それを警察が守っていることに大きなショックを受けたように見えた。日本のヘイトが、国際的な水準からみても深刻な状況にあることを実感したはずだ」(師岡氏)
 だが、日本政府は、ヘイトスピーチの法規制について「名誉殿損や脅迫は刑法で罰することができる」とけむに巻いた。
 警察のデモ警備についても「デモ参加者ではなく、公衆一般の安全を守るために警備している」と言い張った。
 委員会は審査を基に、日本への具体的な人権状況の改善勧告を盛り込んだ「最終見解」を今月末にも公表する。
 師岡氏は「一部の委員が審査で、少なくとも、ヘイトスピーチの暴力的な扇動が表現の自由には当たらず、四条の留保の範囲外であるとの『国際基準』を示したことを、日本政府は重く受け止めるべきだ」と訴える。
『東京新聞』(2014/8/27【ニュースの追跡】)

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