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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「洋服のAOKI」の不当労働行為

2010年10月20日 | 格差社会
 ◇ 経営者のモラル
 鎌田 慧(ルポライター)

 四ヶ月間のあいだに千三百八十人、およそ八割を脱退させられたという。洋服販売店の労組、「AOKIグループユニオン」が、会社側の不当労働行為を訴えている。
 組合から脱退させるのに、解雇や配転で脅かす、というやり方は、労組の存在否定である。解雇や不当配転から労働者を守るのが、労組活動である。
 この逆転した攻撃に、悪夢のような「国鉄改革」を思い起こす。国鉄分割・民営化を決めた八三年の「再建監理委員会」の発足から、八七年のJRの出発まで、政府と学者、新聞が一体化した「改革」宣伝が、労組つぶしに拍車をかけ百人以上の自殺者と大事故を発生させた。
 労働者が組合を結成し、経営者と交渉する権利は、憲法二八条で保障されている。その団結権に対する攻撃は憲法違反である。ところが、最近では、経営者も労働者も民主主義の基盤ともいうべき、この保障されている権利を忘れがちだ。
 まして、巷の不況が「解雇」の脅しの効果を大きくしている。
 「国労を脱退しないと新会社に採用されない」という管理職の説得が、JRへの移行時に使われた。いまAOKIがそれとおなじ手法を使っているようだが、事実なら許されない犯罪行為である。
 憲法に違反しても安ければいい、という経営者のモラルは、経営の末期症状をあらわしている。
『東京新聞』(2010/10/19【本音のコラム】)

 ■ 『違法勧奨で8割脱退』 AOKI労組 申し立て

 大手紳士服店チェーン「AOKI」を展開するAOKI(横浜市)の労働組合「AOKIグループユニオン」は、組合員が会社側から違法な脱退勧奨を受けたとして、神奈川県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。
 同ユニオンの上部団体UIゼンセン同盟によると、六月に約千六百四十人いた組合員のうち、八割を超える約千三百八十人がこれまで四カ月間に脱退したという。審査で不当労働行為が認められれば、県労委が救済命令を出す。
 UIゼンセン同盟神奈川県支部によると、AOKIの複数店舗を統括するマネジャーが六月下旬ごろから、同ユニオンの組合員に対し「組合を脱退しないと異動させる」「退職してもらうこともある」などと脱退を求めていた。今月二日の団体交渉でAOKI側は「違法なことはしていない」と主張したという。
 AOKIの持ち株会社のAOKIホールディングスは「組合員の脱退は組合側の不適切な行為によるもので、不当労働行為はなかったと認識している。労働委員会で対応していくので、詳細は差し控える」としている。
 AOKIのホームページによると、同社は全国に四百八十五店舗を展開。従業員は約千八百人に上る。

『東京新聞』(2010年10月17日 朝刊)

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