▼ 福島原発事故の最大の責任官庁は文科省である。
●予算規模で言えば、2011年度原子力関連予算4556億円のうち、経産省が1898億円に対して、文科省は2571億円。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/gensi/__icsFiles/afieldfile/2011/01/14/1289598_1.pdf
●環境放射能調査など安全管理の責任官庁は文科省である。今後収集蓄積されるであろう子どもを含む福島県民の厖大な「人体実験」のデータを文科省はどのように扱うのだろうか。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/anzenkakuho/1260978.htm
●被曝放射線量管理で言えば、作業員の被曝線量を250mSvに引き上げた「放射線審議会」も、作業員の「放射線管理手帳」を管理する「放射線影響協会」も文科省の所管である。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/1304518.htm
●賠償の財源となる「原子力損害賠償補償契約」は文部科学大臣が承認し、支払う「原子力損害賠償紛争審査会」も文科省の所管である。ちなみに国際的な保険は「地震多発国」では引き受ける保険会社がなかった。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1304888.htm
●文科省は「原子力政策」の最大の推進官庁であり、「原子力推進教育」だけではなく、原子力開発機構(プルトニウム)と宇宙航空研究開発機構(ロケット)の双方の監督官庁として核武装政策の推進官庁でもある。
● 福島原発事故と文科省
(略)実は、国の官庁で言えば、文科省は経産省とともに福島原発事故を引き起こした最大の責めを負うべき官庁である。そして、事故後の対応においても、学校の安全規制の問題だけでなく、実に犯罪的な役割を果たしている。子ども達を危険にさらして恥じるところところがないのは、文科省こそ原発を推進してきた、推進し続けようとしている張本人だからなのだ。
● 原子力開発・核武装推進官庁としての文科省
文科省は、「原子力村」の一員であり、経産省と並ぶ原子力政策の推進官庁である。
予算規模を見ても、2011年度原子力関連予算4556億円のうち、経産省が1898億円に対して、文科省は2571億円である。
これとは別に、所管の独立行政法人・日本原子力開発機構の予算が1740億円ある。
従来、日本の原子力行政は、通産省=電力会社と、科学技術庁=動燃という2つのラインで推進されてきた。01年の中央省庁再編により、旧科学技術庁は文科省に統合された。また、旧動燃は、核燃への改組を経て05年に原研と統合され、独立行政法人・日本原子力研究開発機構となった。文科省は、その監督官庁である。
省庁再編によって、文部科学省は、原子力研究開発・核武装推進官庁となったのである。
高速増殖炉の原型炉もんじゅの事業体は、日本原子力開発機構である。一般的に、商業用の原子炉は経済産業省が、研究開発段階の非発電用原子炉は文科省が、設置・運転の許認可権を持つ。
省庁再編に際し、もんじゅの運転の許認可権は、経産省に移されたが、高速増殖炉の研究開発は、文科省主導で行われている。文科省は、もんじゅのPRパンフを発行し、10年5月の運転再開一臨界に際して、川端文科大臣が「感慨深い」という大臣談話を出している。
高速増殖炉では、ブランケット部分に超高濃度のプルトニウム239が蓄積される。実験炉常陽は、77年から83年までの間に、原爆10発分に相当する19kgの軍用プルトニウムを生産した。
もんじゅとその燃料の再処理施設である原子力開発機構の「リサイクル機器試験施設(RETF)」は、軍用プルトニウムの濃縮・抽出施設である。
他国が撤退した高速増殖炉に日本だけが固執しているのは、核武装のためである。「核燃サイクル」の研究開発という謳い文句で進められている核武装政策の主管官庁は、文科省なのである。
ちなみに、核武装という場合に、核爆弾と運搬手段の双方の開発・製造能力が問題となるが、宇宙開発、HHB(HHAは民間移譲済)ロケットの開発を進める宇宙航空研究開発機構もまた、文科省所管である。
民主党政権下で、川端、高木と二代続けて文科大臣に旧同盟系を配置するのも、原子力開発・核武装政策の継続的推進が最大の理由であろう。
原発推進教育の問題以前に、教育労働者は、文科省は、核武装政策の主管官庁であるという認識を持つべきである。日教組本部のパートナー路線とは、核武装を推進するとんでもない路線だということである。
文科省への予算要求にしても、巨額の原子力予算を問題にすることなく、30人学級を要求するのも、考えてみればおかしなことである。共産党・全教が原子力予算を不問に付しているのも、原子力平和利用論だからである。
● 電力三法交付金を使った原発推進教育
原子力予算は、一般会計からも投入されているが、その過半は、エネルギー対策特別会計(旧電源開発促進対策特会)から出されている。この特別会計は、電源立地勘定と電源利用勘定からなり、前者は、主に電力三法交付金として主として自治体の買収に使われ、後者から高速増殖炉や再処理等の研究開発資金が出ている。
文科省は、02年から「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」制度を創設して原発推進教育を進めてきた。これも前者の中の「電源立地推進対策交付金」から金が出ている。09年度は、37都道府県が交付申請し、11年度概算要求では、8億円が計上されている。
福井県の住民団体は、この交付金は憲法・教育基本法違反だとして、文科省・教育委員会交渉を行っていた。無知と不明を差じるばかりである。
文科省・資源エネルギー庁発行の「わくわく原子カランド」「チャレンジ原子カワールド」という副読本が発行され、原子力教育支援サイト「あとみん」が文科省の外郭団体によりたちあげられている。次世代に安全神話を刷り込む原発推進教育も、教育労働運動の重大な対決課題であることは、いうまでもない。
民主党政権下で10年6月に策定されたエネルギー基本計画は、「2030年までに少なくとも14基以上の原発新増設」をうちだすとともに、「エネルギー教育の促進」の名による原発推進教育を強調していた。エネルギー白書にも、「原子力教育に関する取組」が重要な位置付けを与えられている。
「大きな地震や津波にも耐えられる」「放射能が漏れないようしっかり守られている」などと書かれた「わくわく原子力ランド」は、今回の事故を踏まえ、回収を検討するという。原発問題に限らず、墨塗り教科書に匹敵する価値転換が、教育労働者にも子ども・保護者にも生まれているはずである。
● 環境放射能調査と被曝放射線量管理
文科省は、原子力の研究・開発だけでなく、安全規制・防災対策も所管する。もんじゅは、95年にナトリウム漏れ事故を起こし、10年5月に14年半ぶりに運転再開した途端に、原子炉容器に中継装置が落下する事故を起こし、復旧の見込みが立っていない。
環境放射能の調査、放射線管理も、文科省の所管である。今回の福島原発事故において、文科省は、これらの所管領域でも極めて犯罪的な役割を果たしている。
放射能調査について言えば、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のシュミレーション結果を3月24日に一度発表したきり、ひた隠しにしていることが重大である。
作業員の被曝線量は、放射線管理手帳に記載され、管理される。原発からオンラインででデータを送り、管理するシステムもあるが、福島原発では事故後、使用できていないという。放管手帳は、労働者の手元になく元請け会社が管理し、しばしば改ざんも行われるなどデタラメなものである。
この手帳は、労働安全衛生法上の健康管理手帳とも異なり、法的根拠がなく、財団法人・放射線影響協会が電力会社、下請け会社との間で自主的に運用されているものにすぎない。この放射線影響協会が、文科省の所管なのである。
作業員の被曝線量は、通常、5年間で100ミリシーベルト、1年間で50ミリシーベルトに抑えることとされ、緊急時には100ミリシーベルトが上限とされていた。今回、それが特例措置として250ミリシーベルトに引き上げられた。この引き上げを妥当と答申したのも、文科省所管の放射線審議会である。
このことについて、厚労省の見解は、「通常規則は、有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合は、5年間は放射線業務はさせない方向で指導する」というもの。
ところが、文科省所管の放射線影響協会は、「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめると、相当年数、就業の機会を奪ってしまう」として、別扱いにするなどと言っている。
● 原発損賠制度と東電救済への税金投入
原子力損害賠償制度、原子力損害賠償紛争審査会も、文科省の所管である。
簡単にいうと、電力会社は、政府との間で「原子力損害賠償補償契約」という保険のような仕組みつくっており、原発1箇所につき、毎年3600万円の保険料を収めるかわりに、事故があったとき1200億円の賠償財源をもらえる仕組みになっている。
まず、補償契約は文部科学大臣の承認に係るものであるから、事故隠しや虚偽報告に目をつぶり、安全対策もとらない東電との契約を解除をしなかった責任(原子力損害賠償補償契約に関する法律9条、15条三参照)、地震・津波で事故必至の老朽原発について東電と補償契約を結んできた責任(原子力損害賠償補償契約に関する法律施行令第1条の二、三参照)が問われるべきだ。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO148.html
文科省による紛争審査会の委員の人選が妥当なものかどうかは、今後の審議とうちだされてくる補償基準で明らかになっていくだろう。
その上で、1200億円では、到底足りず、政府は、支援機構をつくって数兆円の公的資金を投入し、増税・電気料金値上げで労働者に負担転嫁しようとしている。
今後、株主代表訴訟も起こされるだろうが、まず、東電は、内部留保2兆円をはき出し、歴代会長、社長、経産省から天下った副社長などの個人資産は没収されるべきだ。
さらに、数兆円の「原発埋蔵金」がある。2005年に成立した「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立て及び管理のための法律」により、電力各社は、「原子力環境整備促進・資金管理センター」という公益財団法人に3兆円の資金を積み立てている。そのうち2兆4千億は、使用済み燃料再処理のための費用である。
http://www.lawdata.org/law/htmldata/H17/H17F15001000082.html
再処理は、プルトニウム抽出の軍事技術であり、いまは混合抽出法によりMOXを作っているが、コックの開閉一つでプルトニウムの単独抽出ができる。
再処理工場は、「原発1年分の放射能を1日でだす」といわれるほど、排出する放射能は桁違いに多く、プルトニウムも大気中・海洋に放出される。再処理工場をただちに閉鎖し、再処理事業費は補償にまわすべきである。 (A)
●予算規模で言えば、2011年度原子力関連予算4556億円のうち、経産省が1898億円に対して、文科省は2571億円。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/gensi/__icsFiles/afieldfile/2011/01/14/1289598_1.pdf
●環境放射能調査など安全管理の責任官庁は文科省である。今後収集蓄積されるであろう子どもを含む福島県民の厖大な「人体実験」のデータを文科省はどのように扱うのだろうか。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/anzenkakuho/1260978.htm
●被曝放射線量管理で言えば、作業員の被曝線量を250mSvに引き上げた「放射線審議会」も、作業員の「放射線管理手帳」を管理する「放射線影響協会」も文科省の所管である。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/1304518.htm
●賠償の財源となる「原子力損害賠償補償契約」は文部科学大臣が承認し、支払う「原子力損害賠償紛争審査会」も文科省の所管である。ちなみに国際的な保険は「地震多発国」では引き受ける保険会社がなかった。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1304888.htm
●文科省は「原子力政策」の最大の推進官庁であり、「原子力推進教育」だけではなく、原子力開発機構(プルトニウム)と宇宙航空研究開発機構(ロケット)の双方の監督官庁として核武装政策の推進官庁でもある。
● 福島原発事故と文科省
(略)実は、国の官庁で言えば、文科省は経産省とともに福島原発事故を引き起こした最大の責めを負うべき官庁である。そして、事故後の対応においても、学校の安全規制の問題だけでなく、実に犯罪的な役割を果たしている。子ども達を危険にさらして恥じるところところがないのは、文科省こそ原発を推進してきた、推進し続けようとしている張本人だからなのだ。
● 原子力開発・核武装推進官庁としての文科省
文科省は、「原子力村」の一員であり、経産省と並ぶ原子力政策の推進官庁である。
予算規模を見ても、2011年度原子力関連予算4556億円のうち、経産省が1898億円に対して、文科省は2571億円である。
これとは別に、所管の独立行政法人・日本原子力開発機構の予算が1740億円ある。
従来、日本の原子力行政は、通産省=電力会社と、科学技術庁=動燃という2つのラインで推進されてきた。01年の中央省庁再編により、旧科学技術庁は文科省に統合された。また、旧動燃は、核燃への改組を経て05年に原研と統合され、独立行政法人・日本原子力研究開発機構となった。文科省は、その監督官庁である。
省庁再編によって、文部科学省は、原子力研究開発・核武装推進官庁となったのである。
高速増殖炉の原型炉もんじゅの事業体は、日本原子力開発機構である。一般的に、商業用の原子炉は経済産業省が、研究開発段階の非発電用原子炉は文科省が、設置・運転の許認可権を持つ。
省庁再編に際し、もんじゅの運転の許認可権は、経産省に移されたが、高速増殖炉の研究開発は、文科省主導で行われている。文科省は、もんじゅのPRパンフを発行し、10年5月の運転再開一臨界に際して、川端文科大臣が「感慨深い」という大臣談話を出している。
高速増殖炉では、ブランケット部分に超高濃度のプルトニウム239が蓄積される。実験炉常陽は、77年から83年までの間に、原爆10発分に相当する19kgの軍用プルトニウムを生産した。
もんじゅとその燃料の再処理施設である原子力開発機構の「リサイクル機器試験施設(RETF)」は、軍用プルトニウムの濃縮・抽出施設である。
他国が撤退した高速増殖炉に日本だけが固執しているのは、核武装のためである。「核燃サイクル」の研究開発という謳い文句で進められている核武装政策の主管官庁は、文科省なのである。
ちなみに、核武装という場合に、核爆弾と運搬手段の双方の開発・製造能力が問題となるが、宇宙開発、HHB(HHAは民間移譲済)ロケットの開発を進める宇宙航空研究開発機構もまた、文科省所管である。
民主党政権下で、川端、高木と二代続けて文科大臣に旧同盟系を配置するのも、原子力開発・核武装政策の継続的推進が最大の理由であろう。
原発推進教育の問題以前に、教育労働者は、文科省は、核武装政策の主管官庁であるという認識を持つべきである。日教組本部のパートナー路線とは、核武装を推進するとんでもない路線だということである。
文科省への予算要求にしても、巨額の原子力予算を問題にすることなく、30人学級を要求するのも、考えてみればおかしなことである。共産党・全教が原子力予算を不問に付しているのも、原子力平和利用論だからである。
● 電力三法交付金を使った原発推進教育
原子力予算は、一般会計からも投入されているが、その過半は、エネルギー対策特別会計(旧電源開発促進対策特会)から出されている。この特別会計は、電源立地勘定と電源利用勘定からなり、前者は、主に電力三法交付金として主として自治体の買収に使われ、後者から高速増殖炉や再処理等の研究開発資金が出ている。
文科省は、02年から「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」制度を創設して原発推進教育を進めてきた。これも前者の中の「電源立地推進対策交付金」から金が出ている。09年度は、37都道府県が交付申請し、11年度概算要求では、8億円が計上されている。
福井県の住民団体は、この交付金は憲法・教育基本法違反だとして、文科省・教育委員会交渉を行っていた。無知と不明を差じるばかりである。
文科省・資源エネルギー庁発行の「わくわく原子カランド」「チャレンジ原子カワールド」という副読本が発行され、原子力教育支援サイト「あとみん」が文科省の外郭団体によりたちあげられている。次世代に安全神話を刷り込む原発推進教育も、教育労働運動の重大な対決課題であることは、いうまでもない。
民主党政権下で10年6月に策定されたエネルギー基本計画は、「2030年までに少なくとも14基以上の原発新増設」をうちだすとともに、「エネルギー教育の促進」の名による原発推進教育を強調していた。エネルギー白書にも、「原子力教育に関する取組」が重要な位置付けを与えられている。
「大きな地震や津波にも耐えられる」「放射能が漏れないようしっかり守られている」などと書かれた「わくわく原子力ランド」は、今回の事故を踏まえ、回収を検討するという。原発問題に限らず、墨塗り教科書に匹敵する価値転換が、教育労働者にも子ども・保護者にも生まれているはずである。
● 環境放射能調査と被曝放射線量管理
文科省は、原子力の研究・開発だけでなく、安全規制・防災対策も所管する。もんじゅは、95年にナトリウム漏れ事故を起こし、10年5月に14年半ぶりに運転再開した途端に、原子炉容器に中継装置が落下する事故を起こし、復旧の見込みが立っていない。
環境放射能の調査、放射線管理も、文科省の所管である。今回の福島原発事故において、文科省は、これらの所管領域でも極めて犯罪的な役割を果たしている。
放射能調査について言えば、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のシュミレーション結果を3月24日に一度発表したきり、ひた隠しにしていることが重大である。
作業員の被曝線量は、放射線管理手帳に記載され、管理される。原発からオンラインででデータを送り、管理するシステムもあるが、福島原発では事故後、使用できていないという。放管手帳は、労働者の手元になく元請け会社が管理し、しばしば改ざんも行われるなどデタラメなものである。
この手帳は、労働安全衛生法上の健康管理手帳とも異なり、法的根拠がなく、財団法人・放射線影響協会が電力会社、下請け会社との間で自主的に運用されているものにすぎない。この放射線影響協会が、文科省の所管なのである。
作業員の被曝線量は、通常、5年間で100ミリシーベルト、1年間で50ミリシーベルトに抑えることとされ、緊急時には100ミリシーベルトが上限とされていた。今回、それが特例措置として250ミリシーベルトに引き上げられた。この引き上げを妥当と答申したのも、文科省所管の放射線審議会である。
このことについて、厚労省の見解は、「通常規則は、有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合は、5年間は放射線業務はさせない方向で指導する」というもの。
ところが、文科省所管の放射線影響協会は、「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめると、相当年数、就業の機会を奪ってしまう」として、別扱いにするなどと言っている。
● 原発損賠制度と東電救済への税金投入
原子力損害賠償制度、原子力損害賠償紛争審査会も、文科省の所管である。
簡単にいうと、電力会社は、政府との間で「原子力損害賠償補償契約」という保険のような仕組みつくっており、原発1箇所につき、毎年3600万円の保険料を収めるかわりに、事故があったとき1200億円の賠償財源をもらえる仕組みになっている。
まず、補償契約は文部科学大臣の承認に係るものであるから、事故隠しや虚偽報告に目をつぶり、安全対策もとらない東電との契約を解除をしなかった責任(原子力損害賠償補償契約に関する法律9条、15条三参照)、地震・津波で事故必至の老朽原発について東電と補償契約を結んできた責任(原子力損害賠償補償契約に関する法律施行令第1条の二、三参照)が問われるべきだ。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO148.html
文科省による紛争審査会の委員の人選が妥当なものかどうかは、今後の審議とうちだされてくる補償基準で明らかになっていくだろう。
その上で、1200億円では、到底足りず、政府は、支援機構をつくって数兆円の公的資金を投入し、増税・電気料金値上げで労働者に負担転嫁しようとしている。
今後、株主代表訴訟も起こされるだろうが、まず、東電は、内部留保2兆円をはき出し、歴代会長、社長、経産省から天下った副社長などの個人資産は没収されるべきだ。
さらに、数兆円の「原発埋蔵金」がある。2005年に成立した「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立て及び管理のための法律」により、電力各社は、「原子力環境整備促進・資金管理センター」という公益財団法人に3兆円の資金を積み立てている。そのうち2兆4千億は、使用済み燃料再処理のための費用である。
http://www.lawdata.org/law/htmldata/H17/H17F15001000082.html
再処理は、プルトニウム抽出の軍事技術であり、いまは混合抽出法によりMOXを作っているが、コックの開閉一つでプルトニウムの単独抽出ができる。
再処理工場は、「原発1年分の放射能を1日でだす」といわれるほど、排出する放射能は桁違いに多く、プルトニウムも大気中・海洋に放出される。再処理工場をただちに閉鎖し、再処理事業費は補償にまわすべきである。 (A)
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