パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

6月18日国会閉幕の安倍首相記者会見は、河井夫妻買収事件と安倍首相の関係を追及する絶好の機会だった

2020年06月29日 | 平和憲法
  =たんぽぽ舎です。【TMM:No3964】「メディア改革」連載第35回=
 ◆ 安倍コロナ禍での9回目会見は最悪の安倍演説会
   ~「法の支配」無視、安倍首相の壊憲野望を粉砕しよう

浅野健一(元同志社大学大学院教授、アカデミックジャーナリスト)

 安倍晋三首相は6月18日午後6時から、内閣記者会に対し、国会閉幕の記者会見を開いた。
 同日、都道府県間の「移動自粛解除」もあり、2月29日以降、コロナ禍で開かれた会見としては9回目だった。首相はいつものようにプロンプターを使って、補佐官が用意した原稿を棒読みした。
 NHKとネットの官邸HPで見たが、これまでの会見の中で最悪の部類に入る会見内容だった。
 18日午後、河井克行前法相(衆院議員)と河井案里参院議員の夫妻が東京地検に逮捕されていた。
 また、国会の閉会強行、黒川事件、検察庁法改定法案の廃案、イージス・アショア計画の突然の停止などがあり、この日の会見は辞任会見になってもおかしくない状況だった。
 昨年7月の参院選では、自民党本部が1億5000万円を夫妻の陣営に送金し、安倍首相(自民党総裁)の地元事務所(下関市)の秘書数人が広島の河井候補事務所に常駐し、配川博之筆頭秘書(安倍後援会・会計責任者)らも6月末に広島へ出張し、4日間かけて企業約50社を回っている。首相自身も広島で応援演説し、菅義偉官房長官は3回も広島入りした。
 河井案里候補の擁立は、安倍首相を「過去の人」と批判したことのある広島選挙区(定数2)の現職候補、溝手顕正氏(元内閣府特命担当大臣・自民党参院議員会長、岸田派)を落選させるためで、安倍氏個人の私怨をはらすための選挙の私物化だった。
 自民党本部が提供した1億500万円(政党助成金=血税から出ている)が買収資金になったと見られ、余った金が安倍事務所に還流された可能性もある。検察捜査は首相と首相秘書にも及んでいる。
 ◆ この機に朝鮮の「ミサイル」を持ち出し「抑止力」を強調

 自民党の記者クラブ(平河クラブ)と内閣記者会(永田クラブ)の記者たちはメディアスクラムを組み、河井夫妻の買収事件と安倍首相の関係を追及すべきで、記者会見は絶好のチャンスだった。
 18日夜の会見では、首相は冒頭発言の最初、河井夫妻の固有名詞も挙げず、「本日、我が党所属であった現職国会議員が逮捕されたことについては、大変遺憾であり、法務大臣に任命した者として、その責任を痛感している。国民の皆様に深くお詫び申し上げる」と頭を下げた。
 任命責任があると謝罪したが、どう責任を取るかを言わない。
 その後は、いつものようにコロナ禍対策に成功したと自画自賛の演説を約20分行った。幹事社のフジテレビと産経新聞の記者のやらせの代表質問と幹事以外の参加者10人が質問して終わった。河井事件を聞いたのは一人だけだった。国際標準の記者会見ではない。
 安倍内閣の統治能力が問われている時なのに、首相は壊憲への熱意を長々と語った。また、「朝鮮半島では今、緊迫の度が高まっている。弾道ミサイルの脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜いていく。平和は人から与えられるものではなく、我々自身の手で勝ち取るものである」と強調した。
 安倍首相は2017年10月の解散総選挙では「北のミサイル」と「少子化」を国難と掲げたが、トランプ米政権の朝鮮との対話政策が始まった後、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に無条件の首脳会談を呼び掛けてきたが、「弾道ミサイル開発」を久しぶりに持ち出した。記者との質疑応答では、「抑止力強化」を訴えた。
 第二次安倍政権でずっと同じだが、記者会見の終わり方も問題だ。司会の長谷川栄一内閣広報官(首相補佐官、元経産省中小企業庁長官)は多数の記者が手を挙げる中、「外交日程が迫っている」と言って会見を打ち切った。まだ手を挙げている記者が10数人いた。
 長谷川氏は「後ほど挙手をされている方には、書面でお答えさせていただきたい」と言って会見を終わらせた。20日の各紙によると、12社(うち1人はフリー)が書面で質問し、内閣報道室が首相の回答を書面で示した。
 今回の外交日程とは何かと思ったが、19日の新聞各紙に掲載された<首相動静(6月18日)>に<同7時20分から同50分まで、スペインのサンチェス首相と電話会談。午後8時46分、官邸発。午後9時、私邸着>とあった。
 首相は前にもベトナムやトルコとの電話による首脳会談を会見の後に入れていた。記者会見を時間制限するために、外交日程新型コロナ対策本部会合をセットするのは姑息だ
 記者会見は、人民の知る権利を代行する記者が権力者に聞きたいことを聞く真剣勝負の場だ。
 私は2002年から03年、英ブレア首相の会見に数回参加して、質問もしたが、ブレア氏は約3時間、内外の記者たちの様々な質問に誠意をもって答えていた
 首相、官房長官の主催は形式上、内閣記者会だ。中曽根内閣までは記者会側が会見を仕切っていたと思う。
 また、非常事態宣言が解除され、都道府県間の移動の自粛も解除されたのに、今回も首相会見の参加者を、「内閣記者会」常勤19社から1社1人に制限し、あみだによる抽選で選ばれた外国プレス・フリーランス記者10人の計29人に制限したことは問題だ。
 京都新聞は19日、首相の記者会見の在り方に疑問という記事をHPに載せている。「YAHOO!ニュース」で読んだ。
 <官邸の姿勢を容認しているとして記者クラブの責任を問う声もある>
 <首相が会見場に入室する直前、男性が演台に駆け寄り紙の束を置いて立ち去った。安倍首相のスピーチライターとされる秘書官だ。置いたのは官邸が事前に一部記者から聴取した質問と想定問答集とみられる>
 <首相記者会見を取材できる記者が1社1人に限られていることについて、京都新聞社は「質問の多様性が失われ、改善が必要」と官邸記者クラブ幹事社に指摘し、同クラブは18日、首相官邸に改善を口頭で要請した>
 「上から目線で偉そうに言うな」と私を非難した日比野敏陽氏は京都新聞東京支社編集部長(編集委員)だ。
 この記事に異論はないが、京都新聞も内閣記者会の正式メンバー(幹事業務はしない)だ。他人事のように、幹事社に「指摘」したと書いているが、記者会に問題があるなら永田クラブ会則規定にある総会などを要求すべきではないか。
 京都新聞が幹事社に指摘した内容を詳しく人民に伝えるべきだ。
 また、京都新聞の誰が首相官邸の誰に口頭要請したのか、また、官邸からの返答の有無も明らかにしてほしい。
 私は何度も官邸報道室に質問書を送っているが、何の回答もない。


コメント    この記事についてブログを書く
« 日野町事件「予断を持った裁... | トップ | 岩手県で市町村教育委員会が... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事