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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

大田区教委に食い込んでいたモラロジー研究所

2018年11月02日 | こども危機
 ◆ モラロジー研究会による「教育者研究会」体験記
   ~質問という形の意見表明
(教科書ネット事務局通信)


 大田区2011年に育鵬社の歴史、公民教科書が採択された地区です。
 なぜ、大田で育鵬社が採択されるほどの勢いがあったのか、分かりませんでした。しかし、このところお騒がせしているモラロジー研究会が、大田では10年以上前から区教委と「共催」で研究会を行っているということが分かり、これが育鵬社採択の力になっていたのではないかと考えられます。
 そこで、実際に参加してみることにしました。

 8月27日(月)の午後から会場に行くと、名簿には96名分の座席番号が書いてありました。全校で88校ですから、多分ほとんどの学校から参加しているのでしょう。そして、その後ろに30人余りのオジサン、オバサンたちが座っていて、モラロジーの肩書がある講師の話に万雷の拍手を送っていました。彼らが育鵬社教科書採択の時に大田で動いた人たちではないかと感じました。
 ◆ 中身は「モラロジー」オンパレード

 渡された資料には、どっさりモラロジーの宣伝物が入っていて、資料はモラロジー「主催」の「第55回教育者研究会」となっていました。
 封筒にも大田区教育委員会の名前はありません。開会の挨拶も、モラロジー研究所の辻庸介がモラロジーの宣伝から始まるというひどいものでした。
 2人の講師の話がありましたが、そのうちの1人の話は特にひどいものでした。

 ◆ 「道徳は日本の良さを伝えるものだ」

 講師は、元全国小学校道徳教育研究会会長馬場喜久雄。大田区教育研究会道徳部会ではよく呼ばれているなじみのある人物です。
 話の初めから「道徳は日本の良さを伝えるものだ」として、「シングルマザーが日本は1けた、北欧は40%もいる」というお粗末な話。
 東日本大震災で「並んで食料品を受け取る日本人」の話を例に出し、福島では我慢する大切さ、遠慮する心、故郷に誇りを持っ、故郷を愛する心があると言うのです。
 これが道徳を語る人物かと腹立たしくなりました。

 ◆ そこで、講和の後に2つの質問をしました。

 (1)「日本人のほこり」という話がありましたが、「日本人の」というと、その裏に他国は劣っていると感じさせるように思うのですが、なぜ人間としての誇りではなく日本人のほこりなのですか
 ⇒「2つある。①他の国が劣っているということではない。国際理解と言う時に、日本のことをよく知らなければ説明できない。②戦後の反省である。日本人は自己肯定感が低いと言われているが、それは、日本人の謙虚さもあるが、戦後の日本の教育で、日本は戦争で悪いことをしたと、日本の良さをやってきませんでした。それで、自分はできないと思って育ってきた。」
 (2)モラロジー研究会は、教育勅語が日本人としての誇りを持つのにふさわしいと言っていますが、それについてどうでしようか。
 ⇒「教育勅語は否定されている。でも、その一つ一つを見た時に、どこがいけないのか、いけなくない最後に、何かあった時に国のためにやる、その中身が違う。今の時代は大震災などがあったという時にみんなで協力してやる。あれは、戦争のためにみんなが協力してやる。そこが違う。」
 これを聞いて若い参加者がどう思ったかはわかりません。
 質問は2つで打ち切られてしまいましたが、意見を言う隙がない中で、質問という形で発言することで、参加者に特別の教科道徳の狙いを少しでも考えてもらうことができればと思いました。
 私は区教委主催の研修や講演会に行ったときは、その問題点を参加者に感じてもらおうと思って必ず質問をするようにしています。
 また、昨年から「公正な教科書採択を求める大田区民の会」では、「道徳地区公開講座」を見に行って意見を言おう、という取り組みを行っています。
 それぞれの立場でいろいろな所へ出向き、意見表明していくことは1つの運動として大事なことだと思います。
 (村石真依子)

教科書ネット21ニュース付録『事務局通信』(2018年10月10日)


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