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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 『第5次東京都教育ビジョン案』に対するパブコメ(5本)

2024年02月28日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

  =教育ジャーナリスト・永野厚男から=
 ★ 都教委宛『第5次東京都教育ビジョン案』に対するパブコメのお願い

 東京都教育委員会はHPの「2月1日の新着情報」の欄に、『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")を載せ、3月1日の夜23時59分まで、同HPの(Microsoft連動の)URL:https://forms.office.com/r/SdDUkWG8jR?origin=lprLink と、【QRコード】から、パブコメを実施しています。
 "国を愛する態度"を2箇所、"日本人としての美徳やよさを生かし"を1箇所盛り込んだ政府の"教育振興基本計画"を"参酌"し、"案"を作成した、と都教委は言っています。後掲の「◇印」の1本目~5本目のパブコメを参考に、前記「3月1日の夜23時59分まで」に、一本でも多くの「反対と対案提示」をお寄せ頂ければ幸いです。

 特に「3本目のパブコメ」に書いた通り、"案"【28頁】、にある、

――都教委が都立高新入生全員に配布した日本史副読本(「服毒本」だという人が多い)である『江戸から東京へ』(「第二次世界大戦は自衛戦争だ」という、都教委の極右思想を盛る~育鵬社の中学社会科"教科書"でさえ文科省の検定で削らされた)の普及を主張している事案――

 には、厳しい批判のパブコメをお願いします。
 『第5次東京都教育ビジョン案』は前記都教委HPに、PDFで出ていますが、全70頁なので、分析・批判に時間がかかり、遅れてのお願いで恐縮ですが、よろしくお願いします。

◇ 1本目のパブコメ

 十倉雅和経団連会長が2023年12月4日の記者会見で「企業が自民党に政治献金するのは社会貢献だ」と放言。その経団連の渡邉光一郎副会長が会長だった中央教育審議会が同年3月8日出した答申通り、政府は6月16日、"国を愛する態度"を2箇所、"日本人としての美徳やよさを生かし"を1箇所盛り込んだ"教育振興基本計画"(以下、"計画")を閣議決定した。"計画"はWell-beingをキャッチフレ-ズにしているが、本音は第1次安倍晋三政権が改悪した教育基本法第2条5号に盛り込んだ"国を愛する態度"の方にあるのだ。

 一方、日本国憲法第11条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」、同第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定め、「個人の尊厳・尊重」を重視している。

 東京都教育委員会は『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")の【6頁】が「身体的・精神的・社会的に良い状態にあること。短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念」だと説明しているWell-beingは、この憲法の「個人の尊厳・尊重」と一体のはずなので、"国を愛する態度"="国家への帰属意識"(1986年に旧文部省の教育課程審議会が強制した、ロシアのような国家主義)とは、真逆のものだ。

 よって、東京都教育委員会は"案"策定にあたり、政府の"計画"を「参酌」する("案"【6頁】にある語)べきではない。"案"【28頁】が恥ずかしげもなく書いてしまった、「日本国民としての自覚、我が国の歴史に対する愛情(略)の大切さについての自覚等を、更に深めていきます」という政治色の濃い文言は削除syるべき。そして"案"【28頁】は、「教育では『個人の尊厳・尊重』が最重要であり、"日本国民としての自覚、我が国の歴史に対する愛情の大切さについての自覚等"の、政治色・国家主義色の濃い思想教育は許されません」という文言に差し替えるべきだ。

 

◇ 2本目のパブコメ

 東京都教育委員会の『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")【7頁】は、政府の"教育振興基本計画"の「基本的な考え方を参酌し、東京都の教育施策を展開していくことが重要です」と主張し、"基本計画"の「内容の抜粋」の最初に「教育の普遍的な使命/学制公布から約150年。教育基本法の理念・目的・目標(不易)の実現のための、社会や時代の変化への対応(流行)」と明記している。

 教育勅語下の教育を「普遍的」だする、都教委(浜佳葉子教育長や田中愛子次長、教育政策課の千葉かおり教育政策担当課長ら)は、間違っている。危険な思想だ。

 この「学制公布から約150年」云々のフレーズは、政治的中立的な組織ではない経団連【自民党に多額な政治献金をし、見返りに、保守系政治家とタイアップし、軍拡を進め軍事費を税金から浪費させ軍需産業の生産する殺傷兵器を購入させ、挙げ句の果ては海外に輸出までやらせている】の、渡邉光一郎副会長(71歳)が、会長をやっていた中央教育審議会(総会や部会)において、何度も繰り返し絶賛していたものだ。

 「学制公布から約150年」の前半・約75年間のほとんどは、子どもたちを軍国主義教育で洗脳し、戦場に駆り立て、アジアの人々を大量殺戮した元凶である、教育勅語下の教育だ。教育勅語は1948年6月19日、衆議院が「排除」、参議院が「失効確認」を決議し、謄本は回収・処分となっている。

 税金を払っている市民の代表である国会議員が「排除・失効確認」した教育勅語下の教育をも、無批判に「不易」だと明記した都教委(浜佳葉子教育長や教育政策課の千葉かおり教育政策担当課長ら)は、議会制民主主義を軽視しているのではないか。

 なお、このフレーズ中の「教育基本法の・・・目標」とは、第1次安倍晋三政権が改悪した教育基本法第2条5号に盛り込んだ"国を愛する態度"(「国家権力は個々人の思想・良心の自由を侵してはならない」旨定めた日本国憲法第19条に抵触すると考える人が多い)の強制も含んでいる。都教委は"案"【7頁】にある、このフレーズ全てを削除するべきだ。

 

◇ 3本目のパブコメ

 東京都教育委員会の『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")【28頁】は「施策展開の方向性⑧、我が国の伝統・文化等に立脚した広い視野や多様な人々と協働する力の育成」の「主な施策展開」に載せた、「高等学校における『江戸から東京へ』の活用推進」の項で、「東京都独自の科目『江戸から東京へ』の活用を通して、日本国民としての自覚、我が国の歴史に対する愛情(略)の大切さについての自覚等を、更に深めていきます」と、在日外国人生徒屁の配慮を欠き、国家主義を煽る主張をしている。

 都教委が作成し12年4月、4万8291人の度都立高新入生全員に配布した日本史副読本(「服毒本」だという人が多い)である『江戸から東京へ』改訂版(以下、『江戸』)は、後掲の〔1〕〔2〕で指摘する通り、大きい欠陥がある。

 よって、"案"【28頁】の政治色・国家主義色の濃い思想教育の記述は全文削除した上で、「日本史服毒本『江戸から東京へ』は廃盤にすると共に、偏向記述部分を執筆した課長や指導主事を懲戒処分にします」という文言に差し替えるべきだ。

 〔1〕 「第二次世界大戦は自衛戦争だ」という、都教委の極右思想~育鵬社の中学社会科"教科書"でさえ文科省の検定で削らされたのに・・・

 都教委の日本史服毒本・125頁「第二次世界大戦と太平洋戦争」は、日本の開戦理由を「植民地支配からアジアを解放する『大東亜共栄圏』の建設をはかること」と記述後、連合国最高司令官・マッカーサーの証言(1951年、米上院軍事外交合同委員会公聴会)の約2万2千語中の僅か9語を部分引用し、「この戦争を日本が安全上の必要に迫られて起こしたととらえる意見もある」と明記。育鵬社の中学社会科"教科書"でさえ(文科省の検定前はあったが)載せていない)、「第二次世界大戦は自衛戦争だ」と生徒に印象付ける超偏向記述だ。

 〔2〕 人権侵害している都教委。「朝鮮人虐殺」の事実を隠蔽する"歴史修正主義"→都立高校に少なからず在籍する、外国籍児童・生徒や保護者の心を、都教委は傷付けている!

 東京都墨田区横網町公園にある関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑は、「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」と明記している。ところが『江戸』13年度再改訂版の原案は、この碑の「朝鮮人虐殺」の事実を隠蔽し、「碑には、大震災の混乱のなかで、『朝鮮人の尊い命が奪われました』と記されている」と、巧妙に助詞「が→の」の改竄をしつつ、あたかも自然災害で亡くなったかのように装った。元教員らが都教委交渉し「六千余名という人数の記載が嫌というならなら、せめて『あやまった・・・ため』は引用を」と迫ったが、都教委は助詞1文字の改竄を直しただけで印刷・発行してしまった。

 

◇ 4本目のパブコメ

 東京都教育委員会の『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")【40頁】の「防災教育の推進」の項は、「防災教育デジタル教材『防災ノート~災害と安全~』の配信」「高校での『防災士』の資格取得等、防災リーダーとして活躍できる人材育成」等を記述。

 だが都教委は、"防災教育"推進の都立高校からピックアップする等し、"宿泊防災訓練"と称し全額税金支出で、2013年7月26日~28日に田無工業高ラグビー部等の男子生徒34人を陸上自衛隊朝霞駐屯地に、14年11月26~28日には大島高校2年生全員対象に同武山駐屯地に引率した"前科"がある。

 これらの"訓練"では、自衛隊東京地方協力本部の瀧澤健二3等陸佐(当時)が「気を付けー。回れー右! 前へ、進め!」等号令をかけ行進訓練させたり、「自動小銃を手に、鉄帽・迷彩戦闘服で突撃してくる自衛隊員らの写真」を生徒に7枚も見せたり、“国防の任務、抑止力”、即ち"防災"と無関係・違憲の軍事力に言及する"講話"をしたりしている。

 大島高校では、大塚健一校長(当時59歳。現在は定年退職)が2年生全35人を"学校行事"名目に動員しようとしたが、生徒自身や保護者から反対の声が多く出て、過半数を超える19人が拒否し、図書室で課題学習に取り組み出席扱いにすることになった(この人数は、実際に伊豆大島に足を運ばれた種田和敏弁護士に同行なさった市民団体「自衛隊をウォッチする市民の会」の坂本茂さんが、報告会等で述べられている。詳細は『週刊金曜日』2015年3月6日号(1030号)の、教育ジャーナリスト・永野厚男さん取材・執筆記事を参照。この記事は教育学が専門の池田賢市中央大学教授のコメントも出ているので、都教委の浜佳葉子教育長や田中愛子次長、教育政策課の千葉かおり教育政策担当課長らは是非、ネットで見てほしい)。

 政治的中立性に反する実質の軍事訓練に、無理に生徒を動員させようとし、参加者が過半数を大きく下回った事実は、「学校行事は、全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として行われる活動である」旨、規定した学習指導要領・特別活動編違反である。

(都教委は卒業式等の"君が代"起立強制では、学習指導要領・特別活動編の記述を根拠にしているのに、大きく矛盾している。)

 "案"【40頁】には、「都教委は今後、"防災教育""防災訓練"に自衛隊を連携させる、政治的中立性に反する政治活動を一切やめ、純粋に生徒に役立つ真の防災教育・防災訓練に特化するよう改心します」という、反省と決意を明記するべきだ。

 なお、「防衛省関係以外の研究期間」や「消防庁・消防署・気象庁」との連携は、(教員の多忙化につながらない限り)歓迎する。

 

◇ 5本目のパブコメ

 教員志望者減の真因は?

 東京都教育委員会の『第5次東京都教育ビジョン案』(以下"案")【54頁】は、「受験者数が減少したが、採用者数が増加した」と事情説明しつつ、「22年3.2倍、23年2.1倍、24年1.6倍まで低下した教員採用試験の受験倍率」を示し、「優秀な教員を確保するため教職の魅力を伝えていく」対象を、大学生だけでなく「希望する都立高校生」にも広げると記述。

 だが教員志望者減の真因は、卒業式等の"君が代"起立強制や"自衛隊連携の宿泊防災訓練=軍事訓練"等、都教委が"上"から押し付けてくる、児童生徒のためにならない政治色の濃い(あるいは思い付きのような)誤った施策による、やりがいのなさや多忙感にある。 その典型を、後掲の「×印」に挙げるので、

――都教委は(後掲の「×印」のような)"上"から押し付けてしまう、児童生徒のためにならない政治色の濃い(あるいは思い付きのような)誤った施策により、教員にやりがいのなさや多忙感を与えてきた過去の過ちを深く反省し、今後繰り返さないようにします。――

という趣旨を、"案"【55頁】の、

――また、優秀な教員を確保するため、大学との連携を充実させ、学生等に教職の魅力を伝えていきます。――

という記述の前に、書き込むべきだ。

 × 都教委は19年11月9日、千代田区内の東京国際フォーラムで開催した「第2回都立高校生等によるボランティア・サミット」等で飾るためと称し、全日制の全都立高校に対し、一方的に"担当国"を割当て、五輪参加国の国旗を模した千羽鶴を製作し提出するよう強制。都教委が各校長に「鶴計500羽を折るだけでなく、ビーズに通した糸を針で通しつなぎ合わせツリー状にし、郵送せよ」と要求した、膨大な時間と労力を浪費する作業のため、生徒だけではできない作業を、教員がやらされた学校もある。

 (詳細は『月刊紙の爆弾』2020年10月号の、教育ジャーナリスト・永野厚男さん取材・執筆記事を参照。この記事は教育学が専門の高嶋伸欣琉球大学名誉教授のコメントも出ているので、都教委の浜佳葉子教育長や田中愛子次長、教育政策課の千葉かおり教育政策担当課長らは是非、ネットで見てほしい)。

 都民の開示請求で出た、「第2回都立高校生等によるボランティア・サミット」に生徒を引率した、教員のアンケート

「働き方改革が問われている現在において、真っ先になくすべきイベント。千羽鶴も、現場に多大な負担であった。常軌を逸している。お金と時間の無駄遣いである本イベントは、廃止すべきです」

「千羽鶴のキット到着から提出までが短く困りました。考査期間や修学旅行の時期と重なり、今回の千羽鶴作成の意義など考えさせる時間的余裕もなく、残念でした。生徒たちも毎日忙しい生活を送っておりますので、余裕のあるスケジュールを組んでいただきたいです」

「ボランティア精神をオリンピック(略)に関連付けすぎている気がする。(略)半ば強制的に千羽鶴を作るようお達しを出しておきながら、その使い道すら決まっていないとはやっつけ仕事に過ぎる。生徒の時間は無料ではないのだから、(略)活用方法を先に決めておくものではないか」

 等、悲痛な訴えを都教委は真剣に受け止め、改心するべきだ。

 


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