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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 文科省が学習指導要領改訂を諮問

2025年03月13日 | 「日の丸・君が代」強制反対

学習指導要領改訂の諮問文は、海外出張中の阿部俊子文科大臣の代理・武部新(あらた)副大臣が、荒瀬克己・中央教育審議会会長に手交した(2024年12月25日の文科省HPから、中教審総会会場の文科省第2講堂で)。

 ★ 戦争できる国へ教育でも まい進か(週刊新社会)

教育ジャーナリスト 永野厚男

 ★ 真の主権者教育実践を

 文部科学省が「全小中高校等の教育課程編成に、大綱的基準として法的拘束力がある」と主張する学習指導要領(以下、指導要領)の改訂に向け、阿部俊子文科相が24年12月25日、中央教育審議会総会に諮問した。
 諮問文は検討事項として、「質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい指導要領の在り方」「多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方」等、ソフトな文言を並べる。そして「『正解王義』『同調圧力』への偏りから脱却するとともに、民主的かつ公正な社会の基盤として学校を機能させ、社会の分断や格差の拡大を防ぎ、共生社会を実現する」「子供一人一人の可能性が輝く柔軟な教育課程編成を促進する」とも主張。
 しかし、これまでほぼ10年おきに改訂してきた指導要領は、”国を愛する態度・心情”や、自衛隊等の政策を教化するくだりでは、児童生徒ではなく国家権力が”主人公”であるような記述が増えている。
 元・現文部官僚の高橋道和(みちやす)氏(63歳)と合田(ごうだ)哲雄氏(55歳)が、自民党・衛藤晟一(えとうせいいち)参院議員(77歳)と08年2月15日の指導要領改訂案公表当日に早々と面会する等、癒着ぶりを示した。

 八木秀次(ひでつぐ)麗澤大教授ら日本会議系活動家らによる文科省宛”同一内容の偏向パブコメ集中送付作戦”の“数の力”も相まって、08年3月28日の官報告示時には小学校音楽の指導要領の各曲のうち”君が代”だけは改訂案になかった「歌えるよう」の5文字を加筆。「発達段階に応じて指導→いずれの学年においても指導→いずれの学年においても歌えるよう指導」と、改訂のたびに全体主義化させた。

 ★ 君が代と天皇制

 文科省作成の音楽の『指導要領解説』(以下『解説』)は、”君が代”の”指導”について「(略)天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であることを理解できるようにする必
要がある」と主張。
 ”天皇”の政治的意味や昭和天皇の戦争責任等、事実が十分分からない小1(6歳児)にまで、「歌えるよう指導」せよとは、人権無視だ。また小6社会指導要領も、「天皇への敬愛の念を深める」ことまで強制している。これら社会・音楽の指導要領は、「国家権力による個々人の思想・良心・信教の自由への介入を禁じる憲法第19条・20条」に違反する。
 指導要領による”国を愛する心情・態度”の教化は、それまでの社会・道徳に加え、第1次安倍晋三政権の06年教育基本法改悪後、08年改訂で総則(全教科・科目に影響あり)に、さらに17年改訂では前文(法律っぼく見せかける意図で新設)にまで拡大。
 また第2次安倍晋三政権の道徳教科化で15年に先行改訂した道徳指導要領では、”愛国心”教化をそれまでの「小3以上」から「小1から」に前倒しした。

 ★ 愛国心と、一体の軍事問題

 ”愛国心”と表裏一体の軍事(防衛)問題はどうか?
 小学校社会科指導要領は、6年で憲法の三大原則を学ぶが、第9条・戦争放棄の意義は深入りしない教科書が多い。半面、17年改訂後の『解説』は、「平和主義については、自衛隊が我が国の平和と安全を守っていることに触れるようにする」と明記。世論調査等で人々の間に集団的自衛権での武力行便には違憲論や反対意見が多い事実を無視している。
 17年改訂では更に、9条を学んでいない4年生の時点で自然災害への対応名目に、「自衛隊は役立つ」と教え込むよう改悪。その『解説』は、4年生から軍事面を含め「自衛隊は役立つ」と教化する主張までしている。
 08年改訂までの指導要領に比し2学年も前倒しし、自衛隊を肯定的に教え込む手口は、自民や維新の固執する憲法9条改悪の国民投票が政治日程に上った時、将来の有権者に賛成票を投じさせる意図があるのではないか。

 ★ 若年層の保守化

 24年10月27日投開票の衆議院選挙で、東京の計30の小選挙区で当選した立憲民主党内のリベラル派議員に絞り、「NNN全国出口調査・年代別」を精査すると、18・19歳や20代等の若年層の低い支持率を中高年層の高支持率でカバーし、自民系候補に競り勝った人がかなりいる。

学習指導要領改訂で、文科省は「子どもの意見を聞く」というが、こども家庭庁に事前登録した小中高校生に限定した上、「ワクワクした授業は?」等問うのみで、"愛国心・君が代”や"天皇への敬愛の念」"の強制問題での賛否は問うていない。

『週刊新社会』(2025年3月12日)

 

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