
☆ 金子 勝著『裏金国家-日本を覆う「2015年体制」の呪縛』から読み解く
「新しい戦前」に向かって特定秘密保護法などが推進されていった
山中幸男(救援連絡センター)
経済学者の金子勝が2024年9月に著した『裏金国家-日本を覆う「2015年体制」の呪縛』(朝日新書)の中で、今の日本の惨状について、「2015年体制」と命名している。
金子勝は、本書の冒頭で、
「2015年7月16日と9月19日。衆議院に次いで参議院で集団的自衛権を認める安全保障関連法案が通過する日でした。…『裏金国家』というこの国の体質を導いている仕組みが全面的に動き出したのは、あの時から始まったのです。私はそれを『2015年体制』と表現しました。」
と述べています。
2012年12月の衆院総選挙で勝利、発足した第二次安倍政権が作り出した「2015年体制」は、第一次安倍政権の当時、秘書官や補佐官だった官僚たちを官邸に集めて「官邸官僚」を軸に、官邸に権限を集中する体制としてできあがった。
「官邸官僚」は、現行の憲法秩序を無視して最高権力に忠実な親衛隊としての役割を負った。
ひとつは政務秘書官の今井尚哉を筆頭に経産省の原子力ムラ、
もうひとつは官僚人事権を握った内閣官房副長官(後に内閣人事局長)の杉田和博が公安警察出身、
内閣情報官(後に国家安全保障局長)の北村滋が公安の外事部門出身という公安警察官僚が安倍「官邸」の中軸に座った。
「官邸官僚」たちは、安倍政権に対する批判的言論を封じるために、官僚の人事権を握ることで行政権を支配するとともに、NHK・民放などのテレビメディアおよび大学と学会に圧力を加えていった。
戦後の立憲主義と民主主義を根本的にくつがえすために、「静かなクーデター」はすそ野に向かっていった。
2014年5月に内閣人事局を発足させ、審議官級以上の約600名もの官僚人事を一手に握るようになった。
しかも2017年8月からは杉田和博が内閣人事局長になり、高級公務員の人事を警察官僚、特に公安警察が握る事態となったのである。
当初から内閣情報官には北村滋が就いた。
北村内閣情報官は、公安警察の外事部門出身で第一次安倍政権時の秘書官だった安倍最側近の一人であった。
「新しい戦前」に向かって特定秘密保護法などが推進されていった。(本書36~37頁)
『月刊救援 第670号』(2025年2月10日)
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