《教職員評価システムを考える》
★ 「大阪府教委『まとめ』は『隠蔽、改竄』!」
~杉浦氏講演は新勤評交流会の主張を裏付けている。
会員A
新勤評交流会が2018年に府教委に提出した「アンケート調査結果について質問書」(以下「質問書」)は、原データを手作業により分析することにより、府教委「まとめ」がアンケート結果を恣意的にねじ曲げ、システムの問題点を隠蔽し、制度が着実に定着していると捏造する偽りのまとめであり、教職員は廃止を含めたシステムの抜本的な見直しを求めていることを明らかにしました。
私たちはこれに基づき「要望書」を提出し、府教委に「まとめ」の全面的な見直しと授業アンケートに関する補充アンケートの実施、システムによる労働負荷の実態調査を求めてきました。これに対し、府教委はあくまで「見解の相違だ」として拒否しています。
しかしながら、杉浦氏らが行なったAIによる自由記述についてのテキストマイニングとKWICコンコーダンスを用いたテキスト分析結果は、私たちの分析結果の正しさを裏付けるものとなっています。
杉浦氏は、「評価・育成システムについての否定的意見は非常に多く、肯定的意見の10倍以上」であることや、「廃止意見が多い」にもかかわらず府教委「まとめ」がそれに「全く触れられておらず」、逆に①評価・育成システムについて、「評価者・非評価者ともに肯定的な意見が増加し、制度が適切に運営され、着実に定着」と総括し、②評価結果の給与への反映についても「概ね理解され、定着してきている。現状では見直しの必要はない」としているのは「隠蔽もしくは結果改竄といってもいいほどである」と結論づけています。
今回は、府教委の「まとめ」批判の1回目として、「システム全体」に関する被評価者の回答と自由記述を取り上げ、新勤評交流会の手作業による分析結果と杉浦氏らのAIによる分析結果を比較・検討します。両者の分析結果が、府教委「まとめ」が「隠蔽と捏造」であることで基本的に一致していることが分かると思います。
1,新勤評交流会のアンケート結果の分析から
(「質問書」冊子収録、全国交流会ニュース15号)
1)設問に対する回答の大多数がシステムの教育効果を否定
●被評価者の3分の2がシステムが学校目標の共有につながらず、教員の意欲・資質向上に逆効果で、教育活動の充実と学校の活性化には役に立たないとシステムの効果に否定的回答をしています。
評価・育成システムがその目的とする
①「学校目標共有」、
②「意欲・資質能力の向上」
③「教育活動充実・学校の活性化」
に「つながっていますか」とのアンケート項目への否定的回答(「余りつながっていない」、全くつながっていない」)が
①で66.8%、
②で66.8%、
③で72.5%
と3分の2を占めています。
2)自由記述においても、圧倒的多数が批判的です。
●システム否定が肯定の12倍
回答被評価者4556名中2770名が自由記述を書いていますが、その大部分がシステムに対する批判や疑問を呈するものでした。
システムの教育効果に関する上記①②③について記述した680人中、
590人、86%が批判的評価で、
効果があるなど肯定的評価は7%、50人に過ぎません。
否定的評価としては、
役に立っていない(90人)、
かえって教育意欲をなくしている(180人)、
子どものためではなく、良い評価を得るための仕事になっている(90人)、
教員間の協力・助け合いが失われた(110人)、
労働過重になった(120人)等。
●システムがもたらす弊害について書かれた自由記述例
①評価システムは協力・協働を阻害している。子どもの成長のためではなく、自分の評価を上げるための教育になっている。そのようなシステムの廃止を願っている。
「現在のシステムは、個人評価に基盤を置き、チームプレイとしての側面をばっさりと切り捨ててしまっている。生徒の成長を第一の喜びとする教員集団の中に、それよりも個人評価を上げることを優先する風潮を産み、教員集団全体としての教育力と教育成果を下げる結果になっていると思う」(高・50代)。
「連携とチームワークの構築に歪みが生まれている。評価・育成システム自体が逆効果ではないか」(小・30代)
「教師同士は競争心を抱き、互いにいがみ合い、失敗が許されずとてもやりにくい状況で、職場の雰囲気は最悪です。・・・そんな環境で育てられる子どもは、本来子どもに付けたい他人と協力し、思いやる心よりも、他人を踏み台にして、自分の評価を気にし、上に行くことだけを感がえる子どもになるはずです。・・・そんな子どもを育てるために教師になったのではない、と日々思っています。このシステムが、1日も早く廃止されることを願っています。」(小・20代)。
②評価のための本来の仕事ではない業務が増大し、労働過重となり、教員が疲弊している。
「管理職や主席の先生方がこのシステムで毎年計画を立てそれを実現して評価をもらうために、新しい行事の立ち上げやプロジェクトの新設など必ずしも要るとは思えない『学校改革』を毎年矢継ぎ早に計画し、校内の反対を押し切って拙速に実行するという弊害も見えます。いわゆる『改革のための改革』というもので、・・・職場に混乱を招いたことも、過去数年間で何度もあったように思えます(高・40代)」
「評価のためのスタンドプレーも多く、結果的に学校全体の疲弊を生んでいるように感じられる。評価ありきでどんどんと目新しいことを増やして、取捨選択をせずに職務を増大させるなど愚の骨頂である(高・40代)」
「このシステムが教員の時間を奪っている(中・20代)」
「本来の業務とは別のところで余計な負荷を与えられている」(中・20代)。
「評価・育成システムのおかげで時間ばかり無駄に浪費させられている気持ちだ。自分の授業や大切な生徒のためにかけるための時間を削られている」(高・30代)。
2,杉浦氏の自由記述の分析から (4.23学習・交流会レジュメp6~p7)
1)システムの教育効果に否定的意見が肯定的意見の10倍以上
システムに肯定的記述=73名、
否定的記述=801名
肯定否定両論=456名
判定不能=53名
2)意欲(モチベーション)を失うが肯定の14倍
意欲(653記述)、やる気(157記述)モチベーション(87記述)計897記述中、
肯定的述=43名、
否定的記述=609名、
両論=71名、
判定不能=71名。
システムによる評価とその給与への反映がやる気を失わせる結果を招いていると思われます。
3)「少なくない教職員(126の記述)が「システムの廃止、それも多くが即時廃止を求めている」。
4)恣意的な府教委「まとめ」は隠蔽・捏造で信用できない
以上から、杉浦氏は「問題なのはこれだけの廃止意見があるにもかかわらず」、
府教委「まとめ」には「このような意見があったことは一切示されず『評価者・被評価者ともに肯定的な意見が増加し、制度が適切に運営され着実に定着』していると総括されていることである」。
「このような恣意的なアンケート結果に基づいた総括は十分に信用することができない」。
「再び言うが、このような結果総括はもはや隠蔽もしくは捏造と言ってもいいほどである」
と繰り返し強調しています。
*次回は「評価結果の給与への反映」についての分析結果とその評価から府教委「まとめ」の「隠蔽・捏造」を明らかにします。
『教職員評価システムを考える』(2022/12/14)
https://blog.goo.ne.jp/shinkinpyouhantai2019/e/2db85953ce377b22b6118829e5697e00
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