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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

<報告③>教育出版「道徳」教科書の安倍首相写真について

2017年10月08日 | こども危機
 ◆ 安倍首相の「裏ピース」サイン写真は、なぜ検定で見逃されたか?
   皆さま   高嶋伸欣です


 1 教育出版「道徳」の検定合格後の訂正申請は、総合計(1~6年)1106件
 *安倍首相の「裏ピース」サイン写真を他の写真と差し変えるかしていないかの確認をしましたが、当該の写真はそのままであることは、<報告②>でお伝えした通りです。
 *その際、同社が「道徳」(1~6年)の検定合格以後に提出した「訂正申請」すべての修正表を入手できたので、その件数を集計してみました。
 2 訂正申請は3月10日提出(すべて承認3月30日)、と8月25日提出(すべて9月15日に承認)の2回です
         3・10申請(件)      8・25申請
   1年生用     90(件)       37(件)
   2年生用     108         44
   3年生用     157         19
   4年生用     171         50
   5年生用     190         48
   6年生用     152         40
   小計        868        238
   総計           1106件

 *内容はルビの位置の微調整や色彩をより明る物へなどの変更が大半ですが、学校で教員と生徒が顔を合わせている場面のイラストに、胸の名札を描き足したり、シャツの胸のポケットが右側にあるのを左に移動させたりという具合です。
 服装を徹底して糺すというあたり、さすがは戦前回帰願望の「日本会議」系の教科書です。
 *参考までに2件の修正表を添付します。
         以上 ご参考までに。

 3 次は「裏ピース」サインが海外ではセクハラポ-ズを意味していることが見落とされた原因についてです。
 1)気付く機会は2度ありました。一つは検定の場においてです。今回の場合、検定官や検定審議会委員委員も気づいていませんでした。
 でも、かつては検定審議会委員には「外務省枠」があって、外交官経験者が任命されていました。1982年の「侵略ー進出」書き換え検定による外交問題化と検定基準への「近隣諸国条項」設置に合わせた措置でした。
 外務省枠の委員は、検定申請本(白表紙本)を外務省のアジア関係部局の職員の協力を得て、チェックをしていたとのことです。
 2)ところが、2000年秋にこの外務省枠が廃止されてしまったのです。

 3)原因は藤岡信勝氏などによる「新しい歴史教科書」(扶桑社版)を問題視した外務省枠委員に対する『産経新聞』のバッシング報道でした。
 4)扶桑社版歴史教科書白表紙本を見た外務省枠の委員がこれを合格させたら1982年の外交問題の再現になると危惧して、他の審議会委員にその旨を伝えたところ、その動きを『産経新聞』が察知して2000年10月13日~19日の間に集中的に同委員を批判する報道を展開したのです。
 5)当時、自民党のタカ派文教族は森喜朗氏たちから安倍晋三氏たちの第二世代に交代しつつある時でした。大森理・文部大臣は藤岡氏たちの背後にいる安倍氏たちへの政治的配慮から、
  ① 批判された外務省枠の審議会委員を更迭
  ② 検定審議会委員会の外務省委員枠の廃止
 に踏み切ってしまいました。

 6)その状況が現在も続いていいるのです。
 仮に外務省枠の審議会委員が存在していたら、この「裏ピース」写真に気付いて、検定段階で差し替えられ、安倍首相も無知の恥をかかないで済んだ可能性は大です。
 7)今後、同様の事態を生じさせないためにも、文科省は検定審議会委員に外務省枠を復活させるべきと考えられます。
 8)藤岡氏たちが『産経』と連携し、安倍氏たちの政治力を悪用した検定制度の改悪を是正する必要性を、現在の検定担当者たちに認識させるのにぴったりの話題ではないでしょうか?
 9)今回の採択で教育出版の「道徳」を採択してしまった教委に責任を取るように迫る際、この件での是正措置(外務省枠の復活)を講じるように教委などから要求するようにと提案するのも一案かと思われます。
 10) さらに、今回のような海外事情がらみの話題は、海外体験の有無によって気づく時期が左右されます。その意味で、一般の人向けの教科書展示会が早くても6月初旬からと言うのは遅すぎますし、期間も短すぎます。これがもう一つの機会を逸した件です。
 11) 見本本は5月の連休明け頃には教育委員会に届けることを義務付けられています。遅くとも5月下旬からの開催は可能ですし、会場も自治体の判断に任されています(北海道では市町村役場の住民票発行ロビーなどとすることを教員組合が要求して、ほぼ実現できているそうです)。
 12) 来年の中学「道徳」教科書の採択に向けた取り組みとして、今年のこういう事例、安倍首相のセクハラ写真掲載の事実確認と教委の対応措置の遅れの責任問題発生などを教訓とするように各地の教委に要求しておくというのもいかがでしょうか。
 13) 私自身は、かつてから文科省に要求している、3月末の報道解禁以後の文科省記者クラブに提供した検定関係資料(白表紙本、検定意見一覧、修正表など)の即時公開(展示会の開催。見本本は納入され次第に順次公開)を、請求するつもりです。
 そうした請求をするには、野党系国会議員を通じて教科書課と話し合うのが最も効果的なので、今回の安倍首相による国会解散の結果を楽しみにしています。
 *年内に、来年の中学「道徳」の採択に向けた攻勢状況が、これほど整えられるとは予想していませんでした。
*今朝の『産経』第1面には「前原さんありがとう!」という皮肉一杯の記事が掲載されていますが、カウンターとしてこちらからは「『産経』よ『裏ピース』問題で寝た子を起こしてくれてありがとう!」の一言を進呈しておこうかとも思います。
      皆さまいかがでしょうか。

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