パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

外国人労働者の受け入れをする前に、まず国内で先進国並みの最低賃金を支払え

2018年12月28日 | 格差社会
  =森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」=
 ◆ 日本は人手不足ではない (週刊実話)


 外国人単純労働者の受け入れに道をひらく、出入国管理法の改正案が衆議院を通過した。国の形を変える重要法案であるにもかかわらず、審議時間はわずか17時間余りだった。参議院の審議で、与党は強権を発動してでも、会期内に法案を成立させ、来年4月からの施行を実現させる構えだ。
 なぜそんなに急ぐのか。政府の一貫した答弁は、「人手不足の解消は喫緊の課題で、急がないといけない」というもの。しかし、本当に人手不足なのだろうか
 経済学では、人手が不足するということは、理論的にあり得ない。不足が発生すれば、賃金が上昇して、働きたい人が増えて、需給のバランスがとれるからだ。
 人手が足りないと言っている経営者の本音は、いまの賃金では、十分な人手が確保できないということなのだ。それでは、いまの単純労働者の賃金は、果たして妥当なものなのだろうか
 労働政策研究・研修機構が発表している今年の各国の最低賃金を現時点の為替レートで円換算すると、日本の848円に対して、アメリカ823円、イギリス1133円、ドイツ1135円、フランス1269円となっている。
 つまり、日本の最低賃金は米国と同水準で、欧州は、日本の3割から5割増しなのだ。
 しかも、7月15日付けの朝日新聞によると、韓国の最低賃金は835円と、この10年で2倍に上がっている。さらに、韓国では「週休手当て」が支給されるため、それを含めた実質最低賃金は日本円換算で1010円と、日本を大きく上回っている
 最低賃金を引き上げたのは、韓国だけではない。イギリスも、この8年間で最低賃金を32%も引き上げているのだ。
 私は、外国人労働者の受け入れをする前に、まず国内で、先進国並みの最低賃金を支払うように変えるべきだと思う。
 そうすれば、高齢者も女性もニートも、働く人が増えるだろう
 介護の分野でも、資格を持ちながら介護現場で働いていない介護福祉士は約62万人も存在している。
 経営者はなぜ国内人材の活用を言わないのか。その理由はたった一つ、高い賃金を支払うのが嫌なのだ。
 実はいま、大都市中心部では、労働力のひっ迫で、パートやアルバイトの時給が上がっている。
 東京の深夜帯になると、時給1500円を支払わないと、労働者が集まらなくなっている。それは世界的にみたらごく普通のことなのだが、経営者たちは、外国人単純労働者の受け入れを拡大することによって、それを最低賃金レベルに戻そうというのだ。
 日本の正社員は、先進国と比べて賃金がひどく低いわけではない。
 低いのは、パート、アルバイト、派遣といった非正社員層だ。
 しかも、その中には正社員と同じ仕事をしているのに、賃金が半分以下という人が多く含まれている。
 私が知る限り、世界の中で同一労働同一賃金の原則を守っていないのは、日本だけだ。
 また、正社員の平均労働時間の1972時間と同じ時間を、最低賃金の848円の時給で働いても、年収は167万円にしかならない。それでは、生活が難しい。
 日本が先進国の一員になるためにも、外国人労働者の受け入れをするのではなく、先進国並みの最低賃金を実現することが、人手不足解消の第一歩なのだ。
『週刊実話』(2018年12月27日号)
https://wjn.jp/article/detail/8689609/
コメント    この記事についてブログを書く
« 第30回多田謡子反権力人権... | トップ | 強制感が半端ない五輪ボラン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事