パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

広河隆一(チェルノブイリ子ども基金前代表)の反論

2014年05月16日 | フクシマ原発震災
  たんぽぽ舎です。【TMM:No2169】2014年5月14日
 ▼ 美味しんぼ騒動についてDAYS JAPANから知性的な反論
広瀬 隆

 *チェルノブイリでは避難民の5人に1人が鼻血を訴えた
 *2万5564人のアンケート調査で判明

2014年5月13日 株式会社デイズジャパン
「チェルノブイリ子ども基金」前代表 広河隆一

 『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に掲載中の漫画「美味しんぼ」の「福島の真実」篇に多方面からの抗議が寄せられているという。問題になったのは次の2点である。
 ・原発を訪れた主人公が鼻血を出すシーン
 ・そして疲労感を訴えるシーン
 特に鼻血「ありえない」 「不安をあおる」といった抗議を受けた。

 疲労感については、福島原発事故の後に私自身が経験している。2011年3月13日朝から原発周辺での取材を繰り返した後、持っていた測定器が振り切れるという経験をして、その後4月に突然非常な疲労感と下痢が襲ってきた。被曝と疲労感が関係あるのかどうか、あとで数字を見てもらう。
 鼻血はどうか。私自身は鼻の粘膜の異常を感じることはよくあった。しかしはっきり流れるほどの鼻血は経験していない。
 私は2012年7月に沖縄県久米島で福島の子どもたちの保養施設「沖縄・球美の里」を設立し、運営している。ここにこれまで訪れた保護者たちから、鼻血の話題はよく聞いた福島でも聞いている。だから誰でも知っていることかと思っていた。
 だがこれほど大騒ぎになって、「ありえない」とか「事実無根」とか聞くと、そんなに完全に打ち消そうとするということは、どのような意図が働いているせいかと疑ってしまう。これほど大きく問題にすると、かえって「住民の不安をあおる」ことになってしまうではないかと思う。
 鼻血は出ると訴えている人がいることを認めた上で、それが大きな病気に結びつくのを防ぐためにはどうすればいいのかを話す方が建設的ではないかと思う。
 私は1986年のチェルノブイリ原発事故以降、50回を超えて現地での取材と救援活動を続けている。そしてこの3月、映画取材班とともに、チェルノブイリを5年ぶりに取材した。
 ウクライナの高濃度汚染地域であるナロジチ地区のナロヂチ市中央病院の副院長に、日本では福島原発事故の後、鼻血がでた子どもが増えたという声を聞くが、チェルノブイリではどうだったのか、と聞いた。
 すると副院長は「チェルノブイリでも事故の後、鼻血が増えた」と答えた。被曝によって血液系統の病気が増えた。鼻血もそうだが、貧血も増えたということだった。白血病の前段階の症状も増えたという。
 1990年、IAEAはチェルノブイリの調査団を派遣し、翌年、健康被害の不安を打ち消す報告書を発表している。その報告に疑問を持った私たちは、広河事務所とチェルノブイリ子ども基金(当時は私が代表だった)共同で、現地NGOの協力を得て、1993年8月から1996年4月まで、避難民の追跡調査を行ったのだ。
 調査項目は数百にのぼり、アンケート形式で本人あるいは家族に書いてもらった。回収できたアンケートは2万5564人分である。チェルノブイリ避難民のこれほど大掛かりなアンケート調査は、ほかにはないと思われる。私たちにそれができたのは、これが救援目的におこなった調査だからである。人々の健康状況を把握できなければ、どのような救援を行っていいのかわからないからだ。
 アンケート調査は困難だったが、私たちにはIAEAにはない強みがあった。それはそれまでの救援活動の実績と現地の人々との信頼関係、チェルノブイリ支援の現地NGOとのつながり、である。ほかならぬ被災者に会うことが、私たちの仕事だったということも ある。
 この報告書は日露版の冊子の形で発行され、この3・11後にその一部を『暴走する原発』(小学館)に収録した。
 その結果から、鼻血疲労に関する数字を中心に見ていきたい。ただ人々を襲ったのはもっと多様な症状だったので、それらも記載しておきたい。(中略)
 ●チェルノブイリ市(原発から約17キロ)の避難民のアンケート回答者2,127人
  (人々は事故からおよそ8~9日後に避難した)
 「事故後1週間に体に感じた変化」
頭痛がした 1,372人 64.5%
吐き気を覚えた 882人 41.5%
のどが痛んだ 904人 42.5%
肌が焼けたように痛んだ 151人 7.1%
鼻血が出た 459人 21.6%
気を失った 207人 9.7%
異常な疲労感を覚えた 1,312人 61.7%
酔っぱらったような状態になった 470人 22.1%
その他 287人 13.4%

 「現在の健康状態」
健康 58人 2.7%
頭痛 1,587人 74.6%
のどが痛む 757人 35.6%
貧血 303人 14.2%
めまい 1,068人 50.2%
鼻血が出る 417人 19.6%
疲れやすい 1,593人 74.9%
風邪をひきやすい 1,254人 59.0%
手足など骨が痛む 1,361人 64.0%
視覚障害 649人 30.5%
甲状腺異常 805人 37.8%
白血病 15人 0.7%
腫瘍 80人 3.8%
生まれつき障害がある 3人 0.1%
その他 426人 20.0%
(後略)
──────────
 ◆このメールマガジンのバックナンバーは、ホームページをご参照下さい。
 ◆メールマガジンを送ります
  たんぽぽ舎では、「地震と原発事故情報」(メールマガジン)を
  発信しています。
   ご希望の方は、件名を「メルマガ希望」としてご自身のEメールアド
  レスからご氏名とともにたんぽぽ舎あてにメールを送ってください。
  違うアドレスから「このアドレスに送って」ということは間違いの元と
  なりますのでやめて下さい。登録できしだい発信致します。
  たんぽぽ舎のメールアドレス: nonukes@tanpoposya.net
 ◆携帯への送信は、1回の容量が多いためか全文配信されない例があります。
──────────
たんぽぽ舎は、月曜~土曜13:00~20:00オープン、日曜・休日はお休みです。
〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
HP http://www.tanpoposya.net/  Eメール nonukes@tanpoposya.net
コメント    この記事についてブログを書く
« 井戸川前双葉町長の反論 | トップ | 日の丸・君が代強制に反対す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

フクシマ原発震災」カテゴリの最新記事