★ 今、現場では
「こんなこと、やっていられない!」。職場のあちこちで悲鳴が上がる。そして、ため息。
つい先日(2010年12月)も都教委から「準備室にあるパソコンの禁止」が指示された。「個人情報保護」を錦の御旗にした命令。特別な理由がなければ廃棄(記憶装置を物理的に破壊せよ)、作業はすべてTAIMS端末で行えとのこと。これでまた*授業の準備がやりにくくなる。
TAIMS端末とは、教職員に配られたノート型のコンピューターである。現在、すべての高校で稼動している代物。全員分(保健室と図書館は例外)をひとつの部屋に配置せよとのお達しで、そのために大職員室を作った学校も多い。
TAIMS使用法の悉皆研修も実施された。大変評判が悪い。しかし、2010年の春から教職員はこのコンピューターで自己申告書を提出させられている。秋からは出張の申請もTAIMS経由となった。今後、休暇の処理などもこのシステムで行うことになっている。
TAIMSの使い方をご紹介しよう。電源を入れて、CtrlとAltとDeleteを同時に押す。そしてIDとパスワード(これは定期的な変更が強制される)を入力。これで登録ユーザーとしてログイン完了。
次にメールを見るために、クループウェアNotesを立ち上げる。ここでもIDとパスワード(最初のとは違う)の入力が必要。メールのボタンを押すと、自分宛のメールがたくさん。「教育庁報」やら「今月の処分者」、事務室(おっと経営企画室)からの「停電のお知らせ」もある。一日に一回はチェックせよ、といわれているが、忙しくてとてもできない。分掌の「主任」には、都教委からの通知の類も来るようだ。
自己申告書を記入するには、ブラウザIEを立ち上げ(都の庁内ポータルサイトが出る)、業務ポータルをクリックして、所定の場所に行き(忘れた!)、またまたIDとパスワード(さっきのとはまた違う。2ヶ月たっと期限切れ)を入れて、…。
インターネットにつながっているので、いろいろなサイトを見ることもできる。しかし業務以外は厳禁。監視されているみたいなので、私は使わない。
ワードとエクセルが入っている(「一太郎」は特別な許可が必要)ので、教材プリントなどを作り保存することはできる。だが、USB(禁止、持ち込むだけで処分)やCDなどに書き込みはできない。自分のつくった文書が持ち出せない。解決策は自宅のパソコンヘメールすることだが、「外部へ送っている」旨の警告が出る。管理職にはそれがわかるようで、「ご注意」の電話がかかってくるという噂だ。
TAIMSについて長々と記述したのは、これが管理強化の象徴だからに他ならない。
このシステム、都教委や管理者にはまことに都合が良い。なんでも通知を出し、すべて報告を上げさせる。上意下達、管理統制そのものである。
授業や生徒にはほとんど関係がない。まるで都教委の末端につながった気分だ。TAIMSの使い勝手が悪いのに、改良しないのは、「いわれた通りにやれ」との意思のように感じられる。
「校長の権限強化」が図られ、「主幹制度」が導入されて久しい。09年度からは「主任教諭」もスタートした。「校長」→(企画調整会議)→「主幹」「主任」→一般教諭の流れができた。TAIMSがこの流れを加速している。
生徒による授業評価、週案の提出などの仕組みでき、校長による教員評価も定着した。だれもが一方的で恣意的な評価だと思っているが、評価が異動や昇任に連動するとなれば話は別だ。あからさまに、評価の低い仕事(授業など!!)を軽視し、「成果」をアピールし、ICT(情報技術)の活用に走る人も出る。校長に逆らって「人事構想外」や「指導力不足」のパワハラを受けたらたまらないので、大方の人はそれなりにやる。
必然的に職場のコミュニケーションが悪くなり、連帯感は失われた。ベテランや新人が精神的に参って、休職するケースが増えている。
教員同士が対等に議論することが、ほぼなくなった。教育の場なのに、生徒や教育について議論がない。
「上から」の仕事で手一杯、他人のことまでかまっていられない、とでもいうように。
殺伐とした様子を書いてきたが、現場はもう少し元気だ。校長批判をする人も一握りはいる。分掌や学年を風通しよくするためにがんばっている人もいる。若手教員も増えている。休日勤務の振替ができるようになり、一日の勤務時間が15分減った。活用すれば元気が出る。
今後、都立高校がどうなるかはわからない。現状が「成果」と対極にあるといえ、昔に戻ることはないだろう。職場は人で回っている。チームワークなしに学校が成り立っとは思えない。せめて「隣の人にも(話しかけず)、メールを送る」ことなどがありませんように。
『都高退教ニュース №78』(2011/3/31)
東京都高等学校教職員組合退職者会広報部
四元数(現職)
「こんなこと、やっていられない!」。職場のあちこちで悲鳴が上がる。そして、ため息。
つい先日(2010年12月)も都教委から「準備室にあるパソコンの禁止」が指示された。「個人情報保護」を錦の御旗にした命令。特別な理由がなければ廃棄(記憶装置を物理的に破壊せよ)、作業はすべてTAIMS端末で行えとのこと。これでまた*授業の準備がやりにくくなる。
TAIMS端末とは、教職員に配られたノート型のコンピューターである。現在、すべての高校で稼動している代物。全員分(保健室と図書館は例外)をひとつの部屋に配置せよとのお達しで、そのために大職員室を作った学校も多い。
TAIMS使用法の悉皆研修も実施された。大変評判が悪い。しかし、2010年の春から教職員はこのコンピューターで自己申告書を提出させられている。秋からは出張の申請もTAIMS経由となった。今後、休暇の処理などもこのシステムで行うことになっている。
TAIMSの使い方をご紹介しよう。電源を入れて、CtrlとAltとDeleteを同時に押す。そしてIDとパスワード(これは定期的な変更が強制される)を入力。これで登録ユーザーとしてログイン完了。
次にメールを見るために、クループウェアNotesを立ち上げる。ここでもIDとパスワード(最初のとは違う)の入力が必要。メールのボタンを押すと、自分宛のメールがたくさん。「教育庁報」やら「今月の処分者」、事務室(おっと経営企画室)からの「停電のお知らせ」もある。一日に一回はチェックせよ、といわれているが、忙しくてとてもできない。分掌の「主任」には、都教委からの通知の類も来るようだ。
自己申告書を記入するには、ブラウザIEを立ち上げ(都の庁内ポータルサイトが出る)、業務ポータルをクリックして、所定の場所に行き(忘れた!)、またまたIDとパスワード(さっきのとはまた違う。2ヶ月たっと期限切れ)を入れて、…。
インターネットにつながっているので、いろいろなサイトを見ることもできる。しかし業務以外は厳禁。監視されているみたいなので、私は使わない。
ワードとエクセルが入っている(「一太郎」は特別な許可が必要)ので、教材プリントなどを作り保存することはできる。だが、USB(禁止、持ち込むだけで処分)やCDなどに書き込みはできない。自分のつくった文書が持ち出せない。解決策は自宅のパソコンヘメールすることだが、「外部へ送っている」旨の警告が出る。管理職にはそれがわかるようで、「ご注意」の電話がかかってくるという噂だ。
TAIMSについて長々と記述したのは、これが管理強化の象徴だからに他ならない。
このシステム、都教委や管理者にはまことに都合が良い。なんでも通知を出し、すべて報告を上げさせる。上意下達、管理統制そのものである。
授業や生徒にはほとんど関係がない。まるで都教委の末端につながった気分だ。TAIMSの使い勝手が悪いのに、改良しないのは、「いわれた通りにやれ」との意思のように感じられる。
「校長の権限強化」が図られ、「主幹制度」が導入されて久しい。09年度からは「主任教諭」もスタートした。「校長」→(企画調整会議)→「主幹」「主任」→一般教諭の流れができた。TAIMSがこの流れを加速している。
生徒による授業評価、週案の提出などの仕組みでき、校長による教員評価も定着した。だれもが一方的で恣意的な評価だと思っているが、評価が異動や昇任に連動するとなれば話は別だ。あからさまに、評価の低い仕事(授業など!!)を軽視し、「成果」をアピールし、ICT(情報技術)の活用に走る人も出る。校長に逆らって「人事構想外」や「指導力不足」のパワハラを受けたらたまらないので、大方の人はそれなりにやる。
必然的に職場のコミュニケーションが悪くなり、連帯感は失われた。ベテランや新人が精神的に参って、休職するケースが増えている。
教員同士が対等に議論することが、ほぼなくなった。教育の場なのに、生徒や教育について議論がない。
「上から」の仕事で手一杯、他人のことまでかまっていられない、とでもいうように。
殺伐とした様子を書いてきたが、現場はもう少し元気だ。校長批判をする人も一握りはいる。分掌や学年を風通しよくするためにがんばっている人もいる。若手教員も増えている。休日勤務の振替ができるようになり、一日の勤務時間が15分減った。活用すれば元気が出る。
今後、都立高校がどうなるかはわからない。現状が「成果」と対極にあるといえ、昔に戻ることはないだろう。職場は人で回っている。チームワークなしに学校が成り立っとは思えない。せめて「隣の人にも(話しかけず)、メールを送る」ことなどがありませんように。
『都高退教ニュース №78』(2011/3/31)
東京都高等学校教職員組合退職者会広報部
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