東京都教育委員会教育長 比留間英人 殿
板橋特別支援学校校長 真下 智 殿
2012年1月16日の減給以上処分取消最高裁判決以来、服務事故再発防止研修が、質・量共に大幅に強化された。
そもそも2004年、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁は、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたのである。(2004/7/23東京地裁須藤決定)
そして、この決定直後の8月に行われた当時の再発防止研修では、「地方公務員法を中心とする解説がなされたに過ぎず」、「『受講報告書』は、受けた研修の内容及びその所感について記載させるものに過ぎず、原告らが主張するような『反省の実質を有する文書』でもない」(研修命令取消訴訟における都教委代理人の主張)として、須藤決定の範囲に留まることを意識したような内容で行われ、以降このやり方が継承されていった。
ところが、2012年3月の通知から変更された今のやり方は、実施時期・回数とその研修内容において「合理的に許容されている範囲を超えるもの」となっている。実施期間が半年の長きに及び実施回数も大幅増したのみならず、内容において「地方公務員法違反」の処分事案にも関わらず、「学習指導要領国旗国歌条項」を持ち出して起立斉唱を強要するやり方は、「起立斉唱命令」が「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」と判示した『最高裁判決』(2011/6/6)に明らかに抵触する。自らの歴史観ないし世界観および教育的信念に基づく不起立者に対して、その行為を禁止したり反省を迫ったり変更を強いるような研修は、思想転向強要の実質を有する憲法違反の人権侵害と言わなければならない。
8月27日には、田中聡史さんに対して、3回目の訪問指導が実施されようとしている。
都教委及び校長は、法令に基づき公務を執行する行政の責任者として、司法の決定を遵守し、違憲違法の問題を生ずる可能性がある研修はただちに中止し、同時に現行の『研修実施要領』を抜本的に見直し、田中さんの思想及び良心の自由を尊重し侵害することのないように求める。
また、所属校の校長に対する支援者たちによる穏やかな要請に対して、校長並びに都教委は、憲法16条及び請願法の規定によれば、国民からの要請に対しては差別待遇することなく「これを受理し誠実に処理」すべきとされているところ、問答無用に警察力を導入してこれを力尽くで排除したことは、官公署の責任者としての責務を蔑ろにするものとして抗議すると同時に、二度とかかる暴挙が繰り返さないよう、開かれた都政の実現と公務員の法令遵守の立場から強く要望しておく。
板橋特別支援学校校長 真下 智 殿
◎ 田中聡史さんに対するこれ以上の再発防止研修の中止を求める要請文
2012年1月16日の減給以上処分取消最高裁判決以来、服務事故再発防止研修が、質・量共に大幅に強化された。
そもそも2004年、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁は、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたのである。(2004/7/23東京地裁須藤決定)
そして、この決定直後の8月に行われた当時の再発防止研修では、「地方公務員法を中心とする解説がなされたに過ぎず」、「『受講報告書』は、受けた研修の内容及びその所感について記載させるものに過ぎず、原告らが主張するような『反省の実質を有する文書』でもない」(研修命令取消訴訟における都教委代理人の主張)として、須藤決定の範囲に留まることを意識したような内容で行われ、以降このやり方が継承されていった。
ところが、2012年3月の通知から変更された今のやり方は、実施時期・回数とその研修内容において「合理的に許容されている範囲を超えるもの」となっている。実施期間が半年の長きに及び実施回数も大幅増したのみならず、内容において「地方公務員法違反」の処分事案にも関わらず、「学習指導要領国旗国歌条項」を持ち出して起立斉唱を強要するやり方は、「起立斉唱命令」が「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」と判示した『最高裁判決』(2011/6/6)に明らかに抵触する。自らの歴史観ないし世界観および教育的信念に基づく不起立者に対して、その行為を禁止したり反省を迫ったり変更を強いるような研修は、思想転向強要の実質を有する憲法違反の人権侵害と言わなければならない。
8月27日には、田中聡史さんに対して、3回目の訪問指導が実施されようとしている。
都教委及び校長は、法令に基づき公務を執行する行政の責任者として、司法の決定を遵守し、違憲違法の問題を生ずる可能性がある研修はただちに中止し、同時に現行の『研修実施要領』を抜本的に見直し、田中さんの思想及び良心の自由を尊重し侵害することのないように求める。
また、所属校の校長に対する支援者たちによる穏やかな要請に対して、校長並びに都教委は、憲法16条及び請願法の規定によれば、国民からの要請に対しては差別待遇することなく「これを受理し誠実に処理」すべきとされているところ、問答無用に警察力を導入してこれを力尽くで排除したことは、官公署の責任者としての責務を蔑ろにするものとして抗議すると同時に、二度とかかる暴挙が繰り返さないよう、開かれた都政の実現と公務員の法令遵守の立場から強く要望しておく。
2014年8月25日
H(東京「君が代」裁判原告)
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